過去のドンドコ掲示板
2002年12月01日〜15日

S.S☆「更生,可不可?」☆     あや太郎



 無残な殺人事件が起きた。

 犯人は未成年の男。 

 未成年であっても凶悪犯には死刑の適用を!―――そんな遺族と世間の声にも関わ
らず、裁判の結果、判決は「無期懲役」であった。

「五年もすればまた娑婆に戻れそうだ。そうしたら思いっきり遊ぶぞぉぉお」

 被告はそうウソぶいた。

恐れていた事が起こった。 

その判決理由「更生する可能性が無いとは言えない」……この論旨が多くの犯罪者を
勇気付けてしまったのだ。

「あんな血も泪も無い、同情の余地も無い悪質な犯罪でも、5、6年の懲役で社会復
帰できるんなら、我々なんてもっと更生の可能性があるはずだ」

 量刑を巡り、減刑を求める上告、控訴、再審請求求が続出した。

「困った事になった。いや、あのケースは未成年だったから……」

「成人した者を差別するのか!?」

 新たな人権問題まで発生した。

「無論、上告する権利は誰にでもあり、特定の被告だけに『更生の可能性』が認めら
れる訳がありません。皆さん、こぞって上告、再審を」」

 収拾をはかろうとして、墓穴を掘った。

「食い詰めて犯罪に走った人間に更生の機会は与えられないのか?」

「恨みか゛重なり、人をアヤめた人間は血も涙も無いというのか?」

「会社のため、組織のために、手を汚した人間なら、社会のために尽くそうという気
持ちは人一倍だ。より早い社会復帰を!」

「親分のために、よその組長をヤッたのは義理堅さのせいじゃござんせんか。きっと
出所後は世のため国のため、皆様方のお役に立てるはずでござんす」

 そして誰より活気付いたのは灰色とクロの政治家だ。

「国のため、世界のために働こうという我々が,わずかばかりの賄賂や袖の下で失脚
させられるとは間尺に合わない。社会への貢献度から、不正した分を差し引いて一刻
も早く復帰させてくれ」

 ああせいこうせい、さっさと更生……要求するものは増える一途。そして重大な判
例を残してしまった法曹界はすべての罪人に更生の機会を与えるほか無かった。

 ―――そして混乱した社会は、「更生する可能性」を失った。

   ――――完―――――
2002年12月15日23時13分43秒投稿

S.S☆「謎の超絶空間」☆     あや太郎



「ヘリコプターからの映像をご覧下さい。これがイスラエル沿岸の死海に忽然と浮き
上がった謎の超絶空間であります。紛争続くこの地域で、ついに行われた大規模空爆
の際、例の如く誤爆が相次ぎ、沿岸部の堤防や河口堰から、各河川のダムや水門の多
くが破壊された結果、死海に流れ込む水量まで半減するという惨状を呈した事は、皆
さんご存知の遠野です。ところがその直後、異変が起きました。死海沿岸部に忽然
と、この直径百メートルにも及ぶ巨大空間が現れたのです。

 それは外部からの進入も攻撃も受け付けぬ破壊不能な透明の壁に切り取られた空間
であります。音波探知やX線、赤外線探査、そして最新のレーザー・スキャンによっ
てさえ解析できない謎の壁であります。いや、厳密に言いますと『壁』があるのかど
うかさえ確認出来ません。構成物質はおろか何らの厚みすら検知できず、電磁波、磁
力波などのエネルギーすら検知できません。隔壁でもなくバリヤーでもなく・・・む
しろ空間と空間とを仕切る『切れ目』とて゛も解釈するほかありません。

立ち入り禁止の警戒態勢にも関わらず、無断でその空間に近づき、見えぬ壁に手で触
れ、威光に打たれたかのように平伏す参拝者、巡礼者も跡を絶ちません。直に触った
人々の話によると、それはまるでガラスか水晶のようにツルリと滑らかで気持ちの良
い、また熱く厚くも無く冷たくも無い完全なる滑らかさなを有しているとの事でし
た。

 そしてこの超絶空間を神格化しているのは、ここが宗教的な聖地に近いというだけ
ではなく、何よりその空間の中に時折現れる、あの謎の人物の姿であることは、間違
いありません。直系百メートルの水晶ドームの中央に据えられた玉座の如き明滅する
椅子に、その白い髪、白い髭、白い衣の人物は時折り現れ、また姿を消すのです。

 多くの人間が『神のイメージ』を見いださずにはおれない、その悠揚迫らぬ姿に
は、否応なく人間を引きつけ、世界の目を吸い寄せ、何かを考えさせ、行動を求めて
いるように感じざるを得ません。

 ましてやそれが紛争絶えぬ地の絶望的な場面に忽然と現れ、静かに我々の目覚めを
待つかの如き存在と思えば、人類に課せられた命題、課題が如何なるものであるか、
今更問い直すまでもありません。

 空間の主は何も語りません。如何なる神であるかも告げません。自負の力も誇示し
ません。ただ黙ってニンゲンの行動を見守っているばかりです。

何も言わない事が、なお一層、厳粛で絶対的な説得力を感じさせずにおきません。

さぁ、我々は何をすれば良いのでしょうか?

 どうすれば合格なのでしょうか?

 おそらく、すべてが我々の出かた次第で決まるのでありましょう・・・」

 そんなある日、ドームの主の顔つきが険しくなった。

 玉座の周囲に配置された明滅するレリーフを何度も見直すと、溜息と供にレリーフ
を消した。

 主が立ち上がる。同時に玉座が消えた。

 主が歩き出す。間もなく謎の空間の壁が消えた。

どよめきと嬌声が涌いた。

・ ・・ついに神が光臨されるのだ。

周囲に集っていたニンゲンどもが後ずさり、踏み出し、恐れおののき、神々しさに打
たれ、歩み来る白き神ほ遠く近く神を取り囲む。神の足元は死海の水面に静かに触れ
ていた。。

そのお告げを待つ世界人類に向かい、ついに神の第一声が放たれた。

「もっと水を!」

 何と、それだけを告げ、白き神はまた水面を静かに歩み、中央の玉座へと戻って
いった。

……空間の壁もいつの間にか現れ、神の世界は二度と下界に開かれる事はなかった。

「これを我々はどう解釈したら良いのでしょう?もっと水を?死海に、水を注ぎ込
め…という意味にしか取れません。それともこれが戦争を繰り返す我々への叱声なの
でしょうか。人類への裁きなのでありましょうか?」

 途方に暮れながらも、とにかく人類は水の供給でもするほか無かった。

 近辺の河川の流れを変え、大量の水が死海に流れ込むようにした。

―― 結果的に民族国家を超えるプロジェクトになり、連日膨大な量の真水が死海に
注ぎ込まれた。

空間の主は流れ込む水を厳しい目で眺め続けていた。

数ヶ月がたち、死海の水の何分の一かが入れ替わった頃、白き神の表情が和み始め
た。そしてある日、主が大きく頷くと、何としたことか、直径百メートルの超絶空間
が、

ゆっくりと海中に沈み始めた。

巨大水晶玉のような神の宮殿はやがて完全に水中に没し、急速に海底へ向かい沈下し
たかと思うや、その姿を忽然と消し去った。

もともとレーダーやスキャナーにも補足できなかったその空間は永久にニンゲンの観
測能力の外へと姿を消した。

「結局、我々に神の言葉は理解できませんでした。いや、あの白き神が、本当に我ら
が信じてきた神かどうかさえ、確認できなかったのです。たた、面白い結果だけが残
りました。神の怒りや罰を恐れたためか、ニンゲンは必死になって死海へ大量の水を
送り込んだのです。そのためには地元の対立や紛争を続けていた民族たちだけでな
く、世界中の民族、国家が一致協力した事です。その結果、我々は地域紛争を忘れ、
その理不尽さを再認識する時間を得ました。これこそ正に神の啓示だったのかもしれ
ません・・・」

後に成された比重計算の結果、戦災などによる死海の塩分濃度の変化が、あの謎の
ドームを海面に浮き上がらた事が推測された。

 しかし人間の直感は単なる塩分濃度の変化だけが、人類の英知を超えたあの存在を
呼び起こしたのではないと一人一人の心に告げていた。

戦渦に巻き込まれた多くの民の塩辛い「涙」があの超絶空間を浮上させたに違いない
のだと。

―――――完―――――

2002年12月14日23時09分30秒投稿

S.S☆「宗教裁判」☆     あや太郎



 二十一世紀も末となった昨今・・・一部の期待にも関わらずますます衰退してきた
世界中の宗教を、今どう評価するか。そして今後どう付き合っていくか。これまで曖
昧にしてきた問題をついに今回この法廷で結論に導こうという歴史的な裁判でありま
す。それでは大昔はさておき、過去1世紀にわたる宗教の功罪について厳粛な評価を
下しましょう。否定的な評価をくだす者は、×印のボタンを押してください」

 ・・・ ピペパポパ・・・

「予想通り、過半数が×印を押したようです。どなたかコメントを」

「議長。数千年にわたる前近代的な人類の歴史に於いて宗教は、優しい顔と悪魔の顔
を交互に見せ、人心や社会に平安を与えたかと思えば、民衆を苦しめ、また慈悲の教
えを賜るかと思えば、一転牙を剥き、一体人類を、癒したいのか痛め付けたいのか分
からない多重人格者として振舞ってきました。そしてそれは前近代だけではなかった
のです。二十世紀から21世紀に掛けて、もはや宗教は死んだと言われるこの時代に
あっても尚、凝りもせず人間同士、民族同士、国家同士を戦わせてしまいました。時
代が進んでも、宗教の犠牲となる人間の数は一向に減らない。このように、どちらへ
転んでも人間に災いを為す宗教や神などという存在は一度ハッキリと叱ってやらねば
なりません。良い事は神のなせる業。悪い事は人間の自業自得・……もはやこのよう
な誤魔化しは説得力をもちません。故に我々は信仰心を持つ者、持たぬ者、宗教家、
科学者、無心論者、唯物論者、オカルト信奉者、自然主義者の壁を越えて、ここに宗
教及び神の弾劾要求をするものであります」

「そうか。宗教者・無宗教者の枠を越えて、話はそこまで進んでいたのか。分かりま
した、先ずは何から神に責めを負ってもらうべきでしょうか?」

「先ず、宗教と神の名のもとに、これまで義性になってきた無数の人間に着いて、ど
のように弁明し責任をとるつもりなのか問いただしたい!」

「それでは聞いてみましょう・・・特別ゲストの神様、どうぞ」

「ヨヨヨヨヨ・・・。わしが本当の犠牲者じゃ・・・!」

―――――完―――――

2002年12月13日23時11分54秒投稿

S.S☆「遺伝子組み替えギョーザ」☆     あや太郎



「ついに完成しました・・・これこそ完璧なる遺伝子組み替え食品第一号です」

「完璧と言いますと・・・安全性のことですか?それとも栄養価の点ですか?」

「どちらもクリアしてますが、何より効率の良さ、便利さの点です」

「どういう風に便利なのか聞かせ貰いましょう。先ずどんな食品です?」

「遺伝子組み替えギョーザです」

「ほほぉ、これは興味深い」

「これが商品化されれば、一兆円産業になること請け合いですよ」

「これはスケールの大きな話だ。そもそもギョーザの何を遺伝子組み替えしたんです
か?」

「だから……全部ですよ。つまりギョーザの皮から具から味付けからラー油風味ま
で、すべてが揃っているギョーザの実なんです」

「ギョーザの実?これは初耳だ。まるで植物の一種みたい」

「正にそのとおり。実はエンドウ豆を見てヒントを得ました」

「マメとギョ―ザねぇ……」

「先ず、小麦のグルテン質製造遺伝子をエンドウ豆の遺伝子に組み込み、豆の房を小
麦粉と同質になるように改良しました」

「ほお、それは大胆な」

「次に中の種子……つまり豆の部分を挽き肉に近い風味の植物性蛋白に変化させ、
キャベツ、白菜、韮、ニンニクなどに似た繊維質と風味を発生させるよう遺伝子を組
替えました」

「徹底してますな。それでラー油のタレはどの辺から?」

「これは苦労しました。しかし豆乳成分をラー油成分に置き換え……」

「おいおい、そんな事できるの?」

「これが出来たんですねぇ。製法は特許だから秘密ですよ。……そんな風にして生育
したギョーザ・エンドウの房は熟れるともうギョーザそっくり。豆が弾ける前に収穫
して、フライパンで炒めると、本来が豆ですから、良質の植物油が滲み出て、油も調
味料も不要で、コンガリ仕上がります。ほら、ここにさっき炒めたサンプルが」

「おぉ、本当だ。良い焼き目が付いて旨そうだし、調理にも便利そうだけど、一つ気
になるのは……コストだな。一人前どれぐらいで出来るの?」

「そうですねぇ。量産化してコストダウンすれば……ひと房、つまり一個あたり…一
万円

切ると思いますよ」

「一万円!そんなギョーザ、誰が食うんだ?」

「そこは珍しさで」

「ご祝儀相場にも程が有る」

「国民一人当たり、一個食べるだけで一兆円産業です」

「そりゃ売れたら良いけど、何しろ高い」

「なにせコストが掛かるもんですから。でも、ギョーザとしての出来は良いでしょう
?」

「値段さえ忘れたら、なかなかのモンだ。特に焼け具合が良い。どうやって実現した
んだね?……この食欲をそそるキツネ色の焼き目」

「もちろんキツネの遺伝子を組み込んだんですよ。これで売れるんじゃないかな?」

「売れるか〜〜!」

  ―――――完――――――
2002年12月12日22時44分26秒投稿

今日は、亀虫ぷっぷです。

●忠臣蔵異聞

討ち入り当夜、赤穂浪士の面々はとある蕎麦屋に集結した。

「いよいよ亡君の御無念を晴らす時が参った。然らば各々方!いざ…。」
「あのぉ…。」
「あのぉで出陣…な、なんじゃ?せっかくええとこやのに…。
 今なんか言うたのは誰じゃ?」
「私です。村松三太夫です。」
「む、村松三太夫?はて…(ヒソヒソ)そんな奴おったか?主税。」
「知ぃらなぁい。」
「村松三太夫なぁ…。
 如何に僅か四十七人とは言え、いちいち末端まで憶えてられんもんなぁ。」
「恐れ乍ら。」
「な、なんじゃ?また何かあるのか?」
「そのよぉに怯えいでも…。
 村松三太夫と申すは、拙者…村松喜兵衛が嫡男でござる。」
「お…おぉおぉ、おぉおぉおぉおぉ、然様であったか然様であったか。
 其処許の御嫡男であったか。うんうん、そりゃめでたい。
 え〜…(ヒソヒソ)村松喜兵衛は存じおるか?主税。」
「知ぃらなぁい。」
「不味いな。
 頭領たる者が同士の名を知らぬとあれば非常に不味い。
 第一今まで築き上げて来た人望に関わる。
 よし!ここはなんとか穏便に切り抜けよぉっと。
 えへん!
 そ…そぉそぉ、そぉそぉそぉそぉ、そぉであったそぉであった。
 いやぁわははは、勿論両名ともに存じおるぞ。
 ちょっとしたど忘れじゃによって許されよ。
 村松喜兵衛殿と御子息の三太夫殿であろぉ?
 知らぬ筈が無いでは無いか、なぁにをちょこざいな。
 苦労を共にして来た同士じゃものな。
 嘘では無いぞ。天地神明に誓って、誰がなんと言ぉぉとも知っとるんだからな。
 う、疑うのか?この元城代家老を疑うのか?そんな奴らなのか?御主達は。
 そぉか…そんな風に儂を見ていたのか。信じてたわてが阿呆だした。
 む、無ぅ念…くぅちぃぃぃ〈タターン〉おぉぉぉしぃぃぃやぁぁぁぁぁ。」
「拙い見得切ってからに…。
 主税殿もツケなんか打ちなさんな。
 誰も疑ぉてはおりませぬぞ、御家老。
 それより時刻が迫っておりまする。
 早ぉ話を聞いてやっては如何でござる?」
「や、これは儂とした事が…御助言かたじけない、忠左衛門殿。
 あぁそれで…その…(ヒソヒソ)誰やったかな、主税。」
「知らなぁい。」
「お前は阿呆か。人の話はちゃんと聞いておれ。」
「ですからね、村松三太夫です。」
「うむ!そぉであった。いや、よっく存じておるぞ。苦労を共に…。」
「もぉええっちゅうに。
 しからば、この際ですから率直に申し上げます。
 今回の事は単に亡き御主君の報復であるに留まらず、本来喧嘩両成敗であるべきと
 ころを無視し、片手落ちの採決を下した御公儀への抗議行動であると承知いたして
 おります。」
「うむ、その通り。よぉ儂の意を汲み取っておられる。
 主税、お前も分かっておろぉな?」
「知ぃらな…〈バシ!〉…っつぅぅ。」
「我等一同目的達成の為如何なる艱難辛苦にも耐え忍んでまいりました。
 また、事成りし後死を賜ろぉともこれぞ武士の本懐と心得ております。」
「その覚悟の程は皆同様じゃと思うが。して、その方の言いたき事とは?」
「はい、我等の名は残りましょぉか?」
「それは後の世に任せねばならぬ…がまぁ、なんらかの形で残るとは思ぉがの。
 手前味噌ではあるが、それだけの壮挙じゃと自負しておる。
 そぉよなぁ、歴史というより芝居なんぞの格好の題材となるのではないかな。
 さしずめ儂なんか主役の扱いじゃなぁ。
 花形役者が挙ってやりたがる役でなぁ。
 さぞ良き男に描かれるのじゃろぉなぁ…むふふ♪」
「そこです!」
「どこです?」
「古典的なボケやな。
 私の申したいのは、全部引っくるめた…つまり集団としての十把一絡げでは無く、
 各個人の名が後々どぉ扱われるのかという事なのです。
 代表者の御家老やちょっとアレでも御子息の主税様、一部の方々は必然的に語り伝
 えられましょぉ。
 しかし、多くは世間の口の端に上る事も無く忘れ去られるのではないでしょぉか。
 先程仰られた芝居の場合を例にとりましょぉ。
 末端まで顔の売れた役者を揃えていてはとてもの事に出演料が合いません。
 制作費も限られてましょぉしね。
 因って殆どを大部屋役者が勤める事になります。
 戯作者にしても四十七人全員の逸話を盛り込むなんぞは無理。
 物語が総花的になって主題がぼやけますし、展開が遅ぉなってしまいます。
 予定の日程に入り切らぬよぉでは始末書もんです。
 また役の割り振りなんかも大変です。
 なんであいつが主役の大石で俺がこんな役やねん?とかね。」
「お、やっぱり其処許も儂が主役じゃと思うか?」
「そりゃもぉ御家老を措いて他にどなたがおられましょぉや。」
「そ、そぉか?そぉかな?そぉじゃな。わはは、そぉそぉ、そぉこなくっちゃ。
 そぉでなくては責任者なんぞやっとられんわい、阿呆らしゅぅて。」
「はははは、そぉですとも。よっ千両役者ぁ。日本一ぃぃぃ。」
「あのぉ…はや予定時刻を過ぎております故、盛り上がりも程々に…。」
「分かっておる、忠左衛門。
 気分良ぉしておるのに水をさしおってからに…。
 あーそれで?」
「私もその他大勢組、とてもの事に名の知られよぉがございません。
 現に本日この場に至ってさえ、御家老のお憶えに与らぬ有り様。
 まぁ、私などは部屋住みの若輩者故それも無理からぬ事ではあります。
 が、父は二十石五人扶持の扶持奉行。
 お家大事と勤め上げて参った忠義一途の謹直者でござる。
 また事起こさるる時には、還暦過ぎたる老骨に鞭打って微力乍らもお役に立つべく
 今日が日まで命長らえて参ったのでござる。
 然るに御家老はその父さえ憶えておられぬ御様子。
 名も思い出して頂けぬと知った身にとり無念の思いは如何ばかりでありましょぉ。
 一つ目的の為に身命投げ打って集ぉた我等ではござりませぬか。
 常に申さるる同士とは嘘偽り方便でござるか?
 心して御返答願いたい!」
「い、いや、だからね、ちょっとしたど忘れじゃと申しておろぉが。
 そぉ責めるな。」
「これ倅、三太夫。御家老に対し失礼を申すでない。
 評定から城明け渡し、それ以降もさらに御多忙な御身なのじゃ。
 名を憶えるなど些末な事と思われたとしても致し方の無い事ではないか。
 我等が市井に紛れ人目を避け地べた這いずるよぉにして情報収集に励んでおる最中
 に綺麗なベべ着て茶屋遊び。
 豪華な酒肴を喰らい女子の尻を追い掛け膝枕でうたた寝するなど、とても常人には
 出来ぬ事ぞ。
 良いのじゃ良いのじゃ、儂さえ我慢すればな。
 一人の無名の士として潔ぉ死んで行く覚悟はとぉの昔に出来ておる。」
「ち、父上!」
「三太夫…うっうっうっうっ…。」
「嫌な親子やな。
 はいはい、みぃんな儂が悪いのじゃ。なんなと言うてんか。」
「お取込み中ではござるが、ええ加減にせぬと予定が大幅に遅れておりまするぞ。」
「忠左衛門殿、よぉ言われた。
 儂に対する腹の内を吐露致して両名とも気が済んだであろぉ?
 もぉ良いな?
 これ以上は受け付けんぞ。」
「あいやしばらく。」
「もぉぉぉぉなんやっちゅうねん!誰?」
「堀部弥兵衛にござりまする。」
「あぁあぁ御老体、何事でござる?」
「率爾乍ら申し上げる。
 只今の村松氏のお言葉、この弥兵衛誠に感じ入り申した。
 如何にも一部の者のみに陽の当たるよぉな事があってはなりませぬ。
 それはいかん。平等の精神に悖る。
 他を押さえ込んで自分達だけが勝ち組みにならんとする心根の卑しさを知るべし。
 しかも、身内の不幸をこれ幸いと口実に仕立て上げるなど以ての外。
 勿論その不幸を仕掛けた方がいかんに決まってはおりますがな。
 主義主張、信ずるところの違いはあっても、お互いを尊重し認め合ぉぉと努力する
 姿勢こそ明るい明日への栄養素。凝りと痛みの回復剤。」
「ほんまやね。」
「何はともあれ何事も、まず歩み寄りの一歩から。
 リーダーを自負する身なれば皆を良き世界へと導くのが務めと心得ねばならぬ。
 聞いておるか?茂み。」
「し、茂み?そりゃ誰じゃ?」
「亜米利加国の大統領。」
「んもぉ、いらん事を…。」
「イラクですけど?」
「やかましいわ。早ぉ要点を申されよ。」
「然れば申し上げる。
 先程来の村松父子の申され様、誠に尤もでありまする。
 ま、我が堀部家は有名ですから忘れ去られる事などあり得ませぬがな、ふふん♪
 特に娘婿の安兵衛などは仕官する前からの有名人、ふふふん♪
 その人物を見込んだ身共の眼力もまた大したもんでござるな、ふふふふ〜ん♪」
「もし舅殿。皆の前で自慢話などおやめ下され。」
「なにを言う、安兵衛。その方の武勇は世間承知の事実じゃ。
 そのよぉな仁を息子に持った儂は日本一の果報者。
 堀部家末代までの誉れじゃわい。」
「いやぁ、ははは、照れちゃうなぁ。頭ポリポリ。」
「のぉ三太夫。同じ親子参加組でもこれだけ違うかのぉ。
 お前に自慢事の一つも与えてやれなんだ不甲斐無き父を許してくれい。」
「なにを仰います、父上。
 私は只々父上と槍を揃え、大事を成し遂げる事のみ願ぉております。
 今となってはそれが私の唯一の喜びであり誉れなのです。」
「うむ、よぉ言うた。儂とて同じ事。
 共に存分に働き、泉下の殿に笑顔で御報告いたそぉぞ。」
「ち、父上!」
「三太夫…うっうっうっうっ…。」
「こらこらこらぁ。お主らの出番は終わっとろぉが。
 只さえややこしいとこで言動を発するでない。」
「御家老、そろそろ洒落にならん時刻になりつつありまするぞ。」
「分かっておる!忠左衛門。儂とて気は急いておるのじゃ。
 で、御老体。何をどぉせよと言われるのじゃ?」
「然らば申し上げる。」
「ほんっまに申し上げてね。」
「心得申した。
 我等全員の名は瑶泉院様お手元に届けられし連判状にて明らかでござる。
 因って後々抜け落ち等の心配はござるまい。
 村松三太夫とてそれはよぉ心得てござろぉ。
 然すれば意図するところは何処じゃと思し召す?
 それはね、ひ・み・つ。うふ♪」
「除名されたいか?」
「あ、ごめんごめん。冗談でござる。そないにイライラせいでも…。
 では続き。
 この場にて御大将自らのお声によって名を呼んで頂きそれを士気高揚の糧と致した
 い、と申すのが真意。
 決して己個人の功名心から発した言動では無いと推察致す。
 そぉであろぉがな?三太夫。」
「蛸にも…いや、如何にも。」
「三太夫、恥ずかしゅうないか?」
「ちょっとね…。
 いや、流石堀部の御隠居殿。
 我が心底を尽く見透かされてしまい申した。
 いや、天晴れ天晴れ、やんややんや。」
「いやぁ、ははは、照れちゃうなぁ。頭ポリポリ。」
「血は繋がっていずとも親子じゃなぁ。
 うむ!分かった。
 其処に気付かなんだは内蔵助の不徳の致すところ。
 許されよ、御一同。これこの通り…なんじゃ?
 どぉしても…ゆ、許さぬと言われるのか?
 この元城代家老を許さぬと?そんな奴らなのか?御主達は。
 そぉか…これ程頭を垂れても許してはもらえぬのか。信じてたわてが阿呆だした。 
 む、無ぅ念…くぅちぃぃぃ〈タターン〉おぉぉぉし…。」
「やめぇ!
 早ぉせぇと申しておるのが分からぬのか?おぉ?」
「ご免なさい。二度とやりません、忠左衛門殿。
 けど、本気出したら結構怖いのね?
 あぁ前以て一言お断り申しておく。
 有り体に申して、先程来のやり取りのごとく全員の名を諳んじておる訳では無い。
 言い間違いや失念があっては余計に落胆されるのでは無いか、との懸念が…。」
「パパ、パパ。」
「人前でパパは止めよと申しておろぉが!」
「こ、これ。ほら、これ。あはは…。」
「へらへら笑うでない。なんじゃこれは?
 おぉ!こ、これは本日のメンバー表!
 ち、主税!でかした。これで父の顔が立つ。
 ほんまに、こんなんでもよぉ育てといたこっちゃ。
 御一同、我が子一世一代の手柄でござる。
 もぉここから後にはござらぬ故、共にお喜び下され。
 では、いろは順で申し上げる。
 まず…
 大石内蔵助良雄。」
「どこがいろは順やねん。」
「代表責任者やもん…これ位良しとせぬか。
 えー
 磯貝十郎左衛門正久
 原 惣右衛門元辰
 早水藤左衛門満堯
 間 喜兵衛光延
 間 十次郎光興
 間 新六光風
 堀部弥兵衛金丸
 堀部安兵衛武庸
 富森助右衛門
 近松勘六行重
 貝賀弥左衛門友信
 片岡源五衛門高房
 勝田新左衛門武堯
 茅野和助常成
 神崎与五郎則休
 横川勘平宗利
 吉田忠左衛門兼亮
 吉田沢右衛門兼定
 武林唯七隆重
 中村勘助正辰
 村松喜兵衛秀直
 村松三太夫高直
 大石主税良金
 大石瀬左衛門満堯
 大高源五忠雄
 小野寺十内秀和
 小野寺幸右衛門秀富
 奥田孫太夫重盛
 奥田貞右衛門行高
 岡野金右衛門包秀
 岡島八十右衛門常樹
 倉橋伝助武幸
 矢頭右衛門七教兼 
 矢田五郎右衛門助武
 前原伊助宗房
 間瀬久太夫正明
 間瀬孫九郎正辰
 不破数右衛門正種
 寺坂吉右衛門信行
 赤埴源蔵重賢
 木村岡右衛門貞行
 三村次郎左衛門包常
 潮田又之丞高教
 千馬三郎兵衛光忠
 菅谷半之丞政利
 杉野十兵次次房
 …と、あぁしんど。
 四十七名全員あったな?積み残しは無いな?」
「忝のぉござる。
 皆に成り代わり堀部弥兵衛深く御礼申し上げまする。
 これで我等、勇気凛々鈴の色 朝日に燃える呼び声は 輝く空に木霊しまする。」
「なんのこっちゃ?」
「♪ぼ、ぼ、ぼっくらは少年探偵団。」
「相手になってられんわ。
 よし!忠左衛門殿、待たせたな。
 いよいよ本気で出陣じゃ!」
「中止。」
「なに?」
「中止でござる。
 ご覧になられよ。夜が白々明けて参った。」
「あっちゃぁ。なんじゃそら。」
「東の空。」
「返す元気も無いわ。
 ほれ見ぃ。ごじゃごじゃ言うておるによって機を逃してしもぉた。
 あぁ〜ぁ、仕方ないのぉ。また、来月じゃな。」
「そんな悠長な事を…。
 急がねば上野介は米沢に移ってしまいますぞ。
 何としても近日中の決行を…。」
「そぉは言うても、討ち入りは月こそ違え御命日の十四日と決めておる。
 何処と無ぉドラマチックじゃろ?
 はぁい、皆さん。本日のところはこのまま解散。
 どなたはんも御苦労さんでした。
 普段着に着替えて人目につかぬよぉ三々五々ばらけてお帰り下さい。
 あぁ幹事さん、来月の十四日、ここの蕎麦屋押さえといてね。」

「パパァ?」
「ん?なんや?主税。」
「あのねぇ、皆さんえらい心配したはったけど…。」
「儂もなぁ、この月中に決着付けたかったんやが…。
 ま、なんなとやり方はある。
 今までどんな状況になっても切り抜けてきたんや。
 赤穂のもんだけに仕様には困らんかった…塩には困らんかったっちゅうて…。」
「もぉひとつやね。」
「ははは、ほんまやな。
 それよりどぉや?何処かで美味い朝飯でも食ぅて帰るか。」
「うん!パパァ♪」

斯くして、元禄十五年十一月十五日の朝は何事も無く明けたのであった。

2002年12月11日18時27分42秒投稿

S.S☆「ナキウサギ」☆     あや太郎



「本日は女優の○○さんに来ていただいております。○○さんは動物が大変お好きだ
そうですね」

「はい、大好きなんです。犬も猫も飼ってるんですけど、可愛がるだけじゃなくて、
憧れてる動物もいるんですの」

「ほぉ。ミス日本出身の・・さんが憧れるとなるとねよほど容姿端麗な動物でしょう
ね。軽やかに跳ねる鹿ですか?それを狩るチーター?それとも白鳥や丹頂鶴ですか
?」

「いえ、もっとちっちゃい……ナキウサギなんです?」

「ナキウサギと言いますと、あの耳が長くない、ネズミみたいな動物ですか?」

「はい。北海道の高山地帯に住んでる地味な生き物なんですけど、キュン…と鳴い
て、とても可愛いんです。自分もあんなに大人しい愛くるしい存在になりたいなと思
いまして」

「確か、ナキウサギというのは……花だけを食べて暮らすそうですね」

「そう聞いてます。高山植物の花や葉っぱを集めてドライフラワーにして、自分の巣
の中に敷き詰めるんだそうです。冬が来て雪が積もると、その花の布団に潜り込んで
眠りながら春を待つんだそうですのよ。とってもメルヘンチックで憧れてしまいま
す。そんな生活をしてみたいわ」

「なめほど、花に埋もれ、花を食べながら冬越しするんですか。何から何まで花の香
になってしまいそうですね。たぷん糞も花の匂いかな?」

「あぁ、もしそうなら香水も要らないし、お風呂も入らなくて済むわ。わたし、やっ
ぱりナキウサギになりたいわ……」

「勝手に成れ〜〜!」

―――――完――――――――

2002年12月10日22時59分47秒投稿

S.S☆「憑いて憑かれた仲」☆     あや太郎



 なかなかに玄人受けする腹話術師がいた。名づけて動物腹話術。動物の縫いぐるみ
を手に持って、交互に喋ったり漫才したりするだけの趣向なのだが、どこか一風変
わった味があり、根強い人気を誇っていた。

「師匠、おつかれさまです」

「おぉ、○○スポーツの東海林さん。いつも見に来てくれて、良いお客さんだね」

「いや、師匠の腹話術には何か不思議な魅力を感じましてね、ついつい吸い寄せられ
るように寄席へ来てしまうんですよ。その魅力の秘密を探ろうと思いましてね」

「そりゃ、よしたほうがいい。下手すると、僕と同じように、魔力に取り付かれるか
もしれませんぜ」

「その魔力とやらを覗き見したいんですよ。それにしても、つくづく、不思議な話芸
ですよねぇ。手に持ったキツネの縫いぐるみと師匠との会話。そもそもキツネが喋る
のを聞いた人は居ないし、その声を演じたとしても、別に面白いはずはないのに、何
故かそれが妙にリアルで、本当に動物と人間が会話してるような気分になる。一種独
特というか、もう幻想的な世界ですよ。あのキツネの声にはどんな秘密が有るんです
かねぇ」

「どんな秘密って・・・。まぁ、普通の腹話術の発声法で、まぁ、キツネならこんな
感じかなぁと抑揚つけたり・・・」

「本当にそれだけですか?」声をひそめて記者が聞いた。

「それは……どういう意味だい?」腹話術師の顔が固くなった。

「もっと他に……観客の心を惑わす何かがあるような気がしましてね」

「ヘンなことを言う。戸惑わすだなんて……そんな魔法みたいな力は、残念ながら私
にゃ具わってませんわさ」

「さっき、うっかり漏らした『魔力』という言葉・・・あれが真相なんじゃないんで
すか?」

「何だかオカルトめいて来たね。そんな世界には詳しくないし、そんな話題ならゴメ
ンこうむりますよ」

 控え室の鏡に向き直りメイクを落とし始めた芸人に記者はまた声をひそめて言っ
た。

「実はね・・・僕、見ちゃったんですよ。停めた車の中で、師匠とあのキツネの縫い
ぐるみが会話してるのを」

「そ、それは稽古してたんだよ。何の不思議も無いだろ」

「でもキツネはまるで生きているようでしたよ。生身のキツネとしか見えなかった
なぁ」

「そりゃ、リアルに動かす稽古をしてたのさ。我ながら手さばきが良くなったと感心
する時もあるからね、ナハハハ」

「舞台ではそんなリアルな動きは使われない。滑稽な人形らしい動きが売りですから
ね。それに失礼とは知りつつ、好奇心に負けて、車のそばまで、しゃがんだまま、
コッソリ忍び寄っていったんですよ。そして聞いてしまったんです・・・二つの声が
同時に話してるのを」

「あぁ……それは二重声帯というヤツでね、時々偶然・・・」

「ずいぶん長い時間、話し込まれてましたよ。いつ息を吸うんですか?離れたい、離
れられない……ずいぶん生々しい、まるで男女の別れ話か痴話喧嘩みたいでしたね。
二重声帯というより二重人格ですよ。それとも精神分裂の兆候ですか?」

 もう誤魔化せそうに無かった。かなり影響力のある記者に有ること無いこと書かれ
ては芸人生命にも関わる。いっそ打ち明けて、あとは記者の良心に任せようと決め
た。

「長い付き合いの誼だ。キミにだけは聞いてもらおう」

 ♪ツツン、テン、シャン〜〜

 どこかで三味線の音が鳴った。控え室が幻想の世界に変わっていった。

「改めて紹介しよう。私の長年のパートナーだ……」

 開けたトランクの中に、あのキツネが横たわっていた。ピクリとも動きそうにない
その首がゆっくり動き、突然カッと眼が開いた。舞台のひょうきんな丸い目ではな
い。細く鋭い、真っ赤な眼だった。

 身震いする記者に向かって、キツネはゆっくり立ち上がった。師匠が口を開いた。

「仕事だけでなく、人生の相方でもある……おコンです」

「よ〜ろ〜しゅ〜う〜に〜〜」おどろおどろしいが、どこか色っぽい声で、おコンと
呼ばれたキツネが会釈した。

「そ、それで、お二人の馴れ初めは……?」足の震えを隠しながら、記者がカップル
にインタビューする要領で聞いた。

「出会いは、神田明神のお社でした。芸に行き詰まり、神仏でなくても良い、お稲荷
さんの力でも貸してもらえないかと、願を掛けに行った時、いきなりこのオコンに取
り憑かれたんですよ」

「ほぉ……オコンさんは何でまた一見(いちげん)さんの参拝客に?」

「わたしの……理想の……タイプだったの。コン。今でこそ……胡散臭い……オジサ
ンだけど……コン。当時はまだ若くて……苦みばしってて……ココンのコナ!」

「ふむふむ。一目惚れという訳ですね。これはご馳走様。そして二人三脚の芸人生活
が始まった訳ですね」

「そういう事ですな。いや、当初、私のほうは芸の力さえ借りられたら良いと思って
いたんだが、いつの間にか一心同体のようになってしまって、今や切れるに切れない
という腐れ縁なんですよ」

「あら……わたしだって……最初は同情心から……売れるまで力を貸したげよう……
それだけの気持ちだったのに……コン!縁が深くなり過ぎて……離れるに離れられな
いヘンな仲、コーン!」

「何だかんだ言いながら、くっついてるって言うのは仲が良いからじゃないですか。
結局お二人は一生結ばれる相性・・・好いて好かれた仲のようですな」

「いえ・・・憑いて憑かれた仲なんですの、コンコーン!……」

―――完―――――

2002年12月09日23時00分01秒投稿

S.S☆「即決裁判」☆     あや太郎



「……という理由で被告には死刑を求刑いたします」「分かりました。弁護側の最終
弁論は?」

「はい。これこれこういう理由で、被告側は完全無罪を主張いたします」「分かりま
した。本来ならば数ヵ月後に判決……という運びなのですが、何と言っても今回の裁
判は長引き過ぎました。そこで特別な配慮を持つて、明日判決、有罪なら即日執行と
します。それでは被告も明日をお楽しみに」

「ちょ、ちょっと待て〜〜!話が違うじゃないか。まだ判決までに半年あると思って
たのに、それじゃ心構えが出来やしない」「おや?何の心構えかな?お宅は全面無罪
と言い張ってるんでしょ?それなら無罪放免を信じて、明日には解放されると楽しみ
にすれば良いじゃないの。何か問題でも?」

「い、いや、無罪は確信してるけど・・・まだ心の準備が……」「無罪放免なら心の
準備なんか要らんでしょうが」

「いや、でも、もし有罪だったら・・・」「有罪になるような事を……したのかなぁ
あ?」

「そ、そんな訳ないでしょ!ただ、それでも濡れ衣で、有罪にされちゃったら多々」

「我々を信用しなさいよ。近代における裁判では、濡れ衣で有罪なんて事は先ず無い
んだから。証拠が不十分なら、みんな無罪!疑わしきは罰せず…って知ってるで
しょ。何かよ〜〜っぽどハッキリした証拠でも出てこない限り、有罪にはならないん
だから。特に今回みたいに、即決即断というような場合は、何かよーっぽど確かな証
拠でも見つからない限りはね」「もしや、見つかったんですか?」

「見つかったのかなぁあ?」「じらさないでよ。確かな証拠でも出てきたというのな
ら教えてください!」

「教えようかなぁ?どうしようかなぁ?……やっぱり明日のお楽しみ!」「何て残酷
な。それじゃ生殺しじゃないか。はっきり言ってくれぬ」「そんなに後ろ暗い事があ
るのかな?」

「い、いや、何と言うか・・・」「告白したい事があれば早く言っといたほうが良い
ですよぉ。散々シラばっくれた後で決め手になる証拠が提出されたら情状酌量の余地
が無いから、間違いなく死刑だなぁ。でも今の内に正直に自供すれば、改悛の情あり
と見て、罪も少しは軽くなるかもよ」「あああ、あのぅ、実は・・・」

「……でも、ここまで来たら、今更言えないかなぁあ。意地を張り通した所へ、あの
証拠を突きつけられて、潔く死刑か……」「うわ〜〜っ、もう我慢できん!……やり
ました。僕が殺したんです。反省してます!」

「ふーむ。これは大変な自供が飛び出した。では今の自白を重く見て、検討しなお
し、判決は予定通り半年後とする」「えっ、え〜〜ッ?じゃあ、明日判決、即執行…
というのは?」

「ウーソぴょ〜〜ん!」

 ―――――完――――――

2002年12月08日22時43分11秒投稿

S.S☆「黙秘の力」☆     あや太郎



「……判決は被告無罪。全面勝訴です〜〜!」

「ご覧のように、注目の殺人事件は被告に無罪の判決が下されました。社会部の前田
さん、無罪判決の理由は?」

「やはり被告が徹底して黙秘を続けたからでしょう。この結果、証拠不十分で犯罪を
立証する事が無理との判断のようです」

「それでは無罪を勝ち得た元被告に喜びの声を聞いてみましょう。白桐さん、無罪を
勝ち取ったご感想は?」

「嬉しさと安堵感で一杯です。弁護団の皆さん、応援してくださった全国の皆さん、
ありがとうございました!」

「裁判の勝因は何だとお考えですか?」

「やはり粘り強く黙秘を貫いた事ではないでしょうか」

「やっぱり取り調べや尋問は厳しかったですか?」

「そりゃもう……。恫喝まがいの取調べもありました。しかし私は根性と信念で黙り
とおしました」

「特に、どんな黙秘・頑張りが功を奏したとお考えですかが?」

「はい、何と言っても殺した事をバラさなかったのが決め手に成ったと思います」

「いや、あの・・・殺してないんでしょ?」

「はい。そう言いくるめました。それが苦しくて苦しくて。やっぱりウソをつきとお
すのは容易でないですね」

「じゃあ、本当は・・?」

「はい、本当は・・・いや、その、えーっと・・・黙秘します」

「さ、裁判長……こんな事で良いんですか?」

「ふむ、いいんじゃないですか。無実の罪でうっかり死刑にしちゃう事も有るんだか
ら、たまには、ヤッててもラッキーな無罪になったりして。そんな事でも無きゃ、犯
罪者達もやってられませんよ、ナハハハハ」

「あんたが死刑!」

――――――完――――――

2002年12月06日22時56分35秒投稿

S.S☆「ペットショップ」☆     あや太郎



「こんにちわ。またお邪魔します」

「あぁ、いつものお嬢さん。また新しいハムスターなんか入ってますよ」

「あら、可愛い…」

動物好きの私は会社からの帰り道にあるペットショップを覗くのが日課になってい
た。

 幸いペットを飼える環境に在るので、小さなお座敷犬だが、それを二匹と、猫や小
鳥と伴に暮らしている。

 淋しい一人暮らしと陰口を叩く人もいるが、私にとっては可愛いペットの顔を見る
のが何よりの癒し・・・仕事に疲れ果てた顔を見せても文句も言わず、ひたすら無邪
気なペットたちはボーイフレンドよりよほど慰めや励ましになってくれるのだ。

「まぁ、珍しい毛色と模様ね。どうしたらこんなに可愛いデザインになるのかしら」

「これは画期的な交配の結果らしいですよ。以前なら無理だと思われてた種類と掛け
合わせたそうです。遺伝子技術のお蔭だそうですよ」

「まぁ…。じゃあ、遺伝子組み換えか何か?」

「いや、そこまでは行ってません。遺伝子を調べて交配できそうだと分かったんで
しょうね」

「安心したわ。遺伝子組み替えのペットなんて怖いもの」

「まぁねぇ。まだ馴染みが薄いですからねぇ。怖がられるのも無理はないですか」

「第一、可哀想だわ、遺伝子組み替えで作られるペット達なんて。やっぱり昔から有
る品種改良のほうが動物達も幸せだろうし・・・アラッ・・?」

 そこまで言った時、私はまるで何か時間が止まったような感覚に襲われた。

 同時にペットショップの中の景色が暗転した。

 何か喋ろうとしても振り向こうとしても身体が動かない。

 白昼、金縛りに遇うなんて初めてだ。

「あ・・・あぁ・・・」

 間もなく、もがく私を見つめる視線に気づいた。

 檻やケースに入ったペット達の眼、眼、眼……。

・・・青い目、赤い目、緑の目、丸い目、細い目、縦長の目・・・

 それは冷やかに人を見下ろすような眼だった。

 その眼、眼、眼が、声にならない声で囁き始めた。

「相変わらず人間は勝手だよなぁ。遺伝子組み替えより、交配を重ねるほうが幸せ
だってさ」

「交配させられる方の気持ちを考えてないのかねぇ、好きでもない相手や、見た事も
無い他の種族と交尾させられて、見た事も無いような子供を生まされ続けるんだぜ」

「それも全員、大切に育ててくれるんならまだしも、まともに扱ってくれるのは売れ
筋のごく一部の子供たちだけなんて!」

「要らない子供らは捨てられるんだぜ。これまで、どれだけの間引きが行われてきた
ことか!あぁ、恐ろしい!なんて、残酷な!神よ、彼らを決して許し賜るな!」

「まだ遺伝子組み替えの子供に生まれるほうか゛ずっとマシよ。だって、たくさんの
人間が一応は一所懸命に育ててくれるもの」

「でも、一生世間には出して貰えないだろうな。人間に何か悪影響が出たら困るとい
う理由だけで!あぁ、人間はどこまで勝手なんだ!」

「いっそ、宇宙人でもやって来て、こんな勝手な人間どもを改良してくれればいいの
よ。その時、人間はどっちを選ぶかしらね。……遺伝子組み替え?それとも、安全で
健全な、自然交配?!」

 ヒヒヒヒ……クククク……ケケケケケ……そんな忍び笑いがペットショップに満ち
溢れ、私は激しい眩暈を覚えた。

 思わず膝をつき、身体をケースにぶつけた途端、店内の時間が動き出した。

周囲が明るくなり、私は金縛りから解放された。

「あ、お客さん、大丈夫ですか?」

「あ、いえ・・・ちょっと眩暈がして……」

「そりゃイケない。働きすぎじゃないんですか。早くお帰りになって休まれたほうが
良いですよ」  

「そうするわ。でもアレは一体……?」

 何だったのか、まだぼんやりした頭で考えていると……

「ニュース速報です」

 店内に流れていたラジオ放送がテンションを上げた。

「また首都圏近辺で編隊飛行するUF0が目撃されました。今年に入ってから十回以
上にも上る怪現象に、UFOマニア以外からも関心が寄せられています。また一説に
よると、防衛庁も秘密裏に緊急連絡のネットワークを作り監視体制を強化し始めた
と、まことしやかな噂が流れております。さて、UFOたちは一体、地球に何をしに
来たのでしょうか?

皆さん方からの目撃情報もお待ちしております・・・」

   ――――完――――

2002年12月06日00時09分51秒投稿

S.S☆「恐怖のハイジャック」☆     あや太郎



「大変な事になっております。日本、米国、EUの各地で同時多発ハイジャックが起き
ている模様です。次から次へと大型旅客機がハイジャックされ、各国は混乱と緊張の
極に達しております。それでは先ず米大統領の記者会見からお伝えします…」

「アメリカ国民の皆さん、そして先進各国の皆さん、厳戒体制を敷いて下さい。まだ
旅客機によるテロ事件は発生しておりませんが、ハイジャック犯人から何らかの声明
や要求があると思われます。決してパニックを起こさず冷静に対処しましょう」

「・・・最初のハイジャックから丸一日が経ちました。しかしまだ犯人たちからは何
の要求もありません。また一機の墜落も確認されていません。一部の情報では、ハイ
ジャック犯同士の連絡は疎らで統制も取れていない様子です。いや、それだけに何を
しでかすか分からない不気味さもあり、より一層の冷静さと忍耐を保ってください」

「・・・早三日目に入った同時多発ハイジャック事件ですが、事態は徐々に変化して
いるものの、ますます不可解なものになって来ました。各旅客機が空港に降りるた
び。燃料、食料、酒、タバコなど豪華な差し入れを要求しているのと交換に解放され
る旅行客の数も交渉次第で増えたり減ったり、全く無秩序な人選となって来ました。
その結果、すでにほとんどの一般客は無事保護されております。また飛行機の行き先
も有名観光地や、滅多にいけない南極、アフリカ、イースター島、南米のナスカの地
上絵などを見物できるコースを指定したり、勝手気ままです。犯人達も疲れてきたの
でしょうか?」

「・・・ついにハイジャッカ―が要求を出して来ました。奇妙な要求です。投降する
から穏やかに逮捕して欲しいとの事です。・・・今、最初の投降者たちがタラップを
降りてきました!…ちょっとハニかみながら詰め掛けた報道陣や野次馬に手を振って
おります。あっ、大胆な取材者がマイクを持って駆け寄りました・・」

「今の気持ちを一言!」

「うん。本当に楽しい快適な空の旅だったよ」

「空の旅?それじゃハイジャックの目的は一体・・・?」

「観光旅行さ」

「な、何と人騒がせな観光だ!一体なぜそんな大胆なことを……?」

「だって、メンバー全員、発展途上国の国民だからね。こんな事でもしないと、一生
豪勢な旅なんか出来やしないもん」

「空港ロビーは、犯人たちの登場と、事件の意外な顛末に、騒然としております・
・」

 ― − −

「ふーむ・・・」

報道特番を見て溜息をつく大統領の横で側近が言った。

「何て人騒がせな連中でしょう。タダで空の観光をするために、あんな無茶をするだ
なんて……。でもテロが目的じゃなくて、ひと安心ですね、大統領」

「いや、却って深刻な事態を招くかも知れんぞ」

「ど、どうしてですか、大統領?」

「他愛も無い目的でも、テロ目的でも・・・動機や原因の根は同じだからな」

「つまり……国家間の貧富の差!?」

 それを改めて世間に知らしめてしまったのだ。

そんな本音を呑みこんで、黙り込む大統領の表情は苦渋に満ちていた。

  ――――完――――

2002年12月03日22時24分42秒投稿

S.S☆「鯨大国」☆     あや太郎



 21世紀に入っても反捕鯨の圧力は強く、日本は相変わらず捕鯨再開への突破口を
見いだせずにいた。

「このままでは、日本国民がクジラの味を忘れてしまう!」

 まぁ忘れたら忘れたで良さそうなものだが、そこは伝統文化の尊重とか民族の意地
といった問題もある。何もせずに手をこまねいていたのでは、違った意味で国の恥じ
になるという建前だ。

そして政府は密かに奇策を講じていた。

「クジラの養殖!」

 大胆さと奇抜さで売る新総理がこんな計画を秘密裏に打ち出した。

「でも、捕っても食べても駄目なんでしょ?本音は肉食品の販路拡大ですし、繁殖さ
せたって無意味ですよ」

「いや、養殖して食べようというんじゃないよ。放流するんだ」

「放流?同じ事じゃないですか。どうせ取って食べる訳には・・・」

「捕らなくても良い。捕らせればな」

「捕らせる?」

 かくして日本の周囲に数箇所、巨大イケスが作られ、数年をかけて何万頭もの若い
クジラが育てられた。

「乳離れをした、育ち盛りのクジラの若者たちよ。さぁ、大海原へ出でよ」

 強力なタグボート数百隻で浮遊イケスを引くと、やがてクジラたちは北米の東西海
岸にたどり着き、間もなく放流された。

「アメリカは嫌がらないですかねぇ?」

「嫌がるはずは無いだろう、あれだけクジラを愛する国家なんだから。

 間もなく育ち盛りのクジラたちは東西沿岸のオキアミから小魚まで食いつくし、つ
いには釣り好きの愛するカジキやサーモンまで食い始めた。

 陰では苦いカオをしながらも、クジラ好きの国民はスクスクと育つクジラたちのた
め、当分はカジキ釣りも休むべしと引きつる笑顔で成り行きを見守った。

 そうこうする内、夏が来た。

 米国民は船好きである。その四十パーセントが、夏休みを船で過ごすほどだ。

ヨットや釣り船を持たない者でも、海水浴やサーフィン、スキューバ、水上バイクな
ど海のレジャーを楽しむ。その数およそ一億五千万人。そんな観光客が集まる海辺
に、クジラたちもヒタヒタと押し寄せていた。

ボートやヨットにぶつかったり、漁船がひっくり返されて、捕獲した魚を横取りされ
た…というニュースが話題になっているうちはまだ良かった。

その内、腹を減らしたクジラどもが海水浴客をパクリ…とヤルようになった。

ひとたび味をしめると、またパクリ。恰好の獲物だわいと、またパクリ・・・あっと
言う間に、クジラどもは第二のジョーズ、オルカの再来と恐れられるようになった。

「み、みなさん。クジラにも餌を食べる権利は有ります。しばらくは魚を捕ったり泳
いだりするのを控えましょう・・・」

 しかし海好きの国民が夏休みの間、丸まる海に出ないで我慢できる訳が無い。クジ
ラがウヨウヨ群がる中を颯爽と泳いだり波乗りしたり……その度胸を競うゲームが当
然流行り出した。そしてまた一人、また一人、時には見物に来た遊覧船ごとパク
リ…。

 そして、事態を大転換させる事件が起きた。

 ニューヨークのハドソン川を遡り、浅瀬に乗り上げたクジラが一頭。

 それを救出しようと駆けつけたレスキュー隊員や愛護団体の面々が、クジラに近づ
き、水をかけて励ましてやろうとしたところ・・・衰弱を装っていたクジラが俄かに
襲い掛かり十数名の人間を飲み込んで、さっさと遁走したというのだ。

「クジラだって食べる権利がある・・・なんて悠長な事を言ってられるか!

クジラはテロリストだ!人類の敵だ!悪のスジ肉だ!正義の名のもとに、ヤッちま
え〜〜!」

 大統領の号令一下、お家芸の陸海空報復作戦が始まった。

 東西両海岸沿いに集まった軍隊が大砲を打つ、魚雷を放つ、ミサイルを打ち込む・
・・沿岸のクジラたちに皆殺し攻撃を仕掛ける。そしてトドメはもちろん無差別空爆
だ。

 誤爆で釣り舟や海の家が吹っ飛ぼうと何のその・・・国民も細かい事は気にせずに
ヤンヤの喝采を上げる。かくして西海岸・東海岸は血の海となり、累々たるクジラた
ちの死骸の上には星条旗がはためいた。

 祭りの後、困ったのはクジラの死骸の処理であった。

 解体設備も無いし、体裁上、食用にする訳にも行かない。

 すると何食わぬカオで日本の業者が現れた。

「我々が引き取り、処分しましょう。いえいえ、御代は頂きません」

 持ち帰ってベーコンや缶詰にするのは分かっているのだが、経費節減にもなること
とて、そこらは魚心あれば水心、鯨心あれば水炊き心・・・アメリカ側も何食わぬ顔
で、食うに決まってる業者に、そ知らぬ顔で下げ渡した。

 それからも、何年かごとに鯨は増殖し、東西海岸を襲う。

国民も、ある時は鯨を愛し、またある時は鯨を憎み、可愛がったり殺したり・・・一
方日本はお下げ渡しの鯨のお蔭で、懐かしい食文化も復活し、鯨肉を愛する国民とし
て、面目を保つ事が出来た。

しかし当然、反動はやって来る。

「野蛮な食習慣だ・・・血生ぐさくと好戦的だ・・・付き合いが悪い・・・とても国
際社会では一人前でない・・・もっと肉製品を買え!」

反捕鯨国からの風当たりが強く成りだした。

このままでは、また世界の仲間はずれにされかねない。

「総理……どうしましょう?」

「よし……カミカゼを吹かそう!」

 またまた変人宰相は奇策を打ち出した。

 世界中から、居場所の無い、肩身の狭い、或いは迫害されがちな人々を移住させる
政策に出たのだ。

 何故かその国策は「ハクゲイ作戦」と呼ばれた。

 そして、いつの間にか日本には無闇やたらに、オカマっぽい国民が増えていた。

「気が付けば、世界中から、ずいぶん多くの、そのケのある人が移住してきてるよ」

 そう……日本は果敢にも世界各地で迫害されがちな「ゲイ達」を大量に受け入れた
のだ。

「これぞ『迫ゲイ作戦』だよ、ダハハハハ」

 かくしてこの国は名実供に「ゲイ大国」と成ったのである。

      ―――――――完――――――

2002年12月02日23時23分12秒投稿

【end of file】