
過去のドンドコ掲示板
2002年08月16日〜31日
S.S☆「腹話術」☆ あや太郎
一世を風靡する腹話術師が居た。
全く唇を動かさずに何種類もの声を出す。複数の人形を使ってのステージは国内外
の絶賛を浴びていた。熱心な芸能記者がその至芸の極意を探ろうとインタビューを試
みる。
「先生……どうぞお願いします。その卓抜した腹話術の秘密、秘訣を是非とも教えて
貰えないでしょうか?」
「キミも毎日のように取材に来てくれて、その熱意には感激してるんだが、いつも
言ってるように練習また練習さ。血を吐くほど練習を繰り返して、やっとこの芸を身
につけたんだ。秘訣なんか無いよ」
「でも、先生の腹話術は他の芸人さんとレベルが違います。ビデオでスローにしたり
拡大したりして分析しても、本当に全く唇が動かない。無論スピーカーなどの仕掛け
が無いことも証明されてます。しかも長時間、いろんな声を出しても疲れを知らな
い。他の人ではとても真似できない芸当です。これはタダの技ではないと直観したん
ですよ」
「大したものだ。君の洞察力には恐れ入ったよ。いや、実を言うと秘密があるんだ。
しかしなにせメシの種だからなぁ。他人に教える訳には行かないんだよ」
「了解しています。だから今日は僕も覚悟して来ました。いくら話題性のある記事で
も世間には公開しない事に決めたんです。つまり僕一人の秘密にするつもりなんです
よ。もはや仕事のための取材というよりも僕自身を納得させるための取材なんです。
先生、是非ともその秘密を教えてもらえませんか?」
「そこまで言われてはしょうがない。口外しないと約束してくれるのなら、君にだけ
教えよう私の腹話術の秘密をね」
「感激です。それで、どのような練習法で身につけられたんですか?」
「練習法は皆と同じだし、血を吐くまで稽古を続けたのも本当だ。ただ、ある時期か
ら、私の身体に不思議な変化が起き出した。そのお蔭で唇はおろか、舌さえ動かさず
に喋れるようになったんだよ」
「舌さえも?一体その変化というのはどんな物なんです?」
「論より証拠だ。実際に見せて上げよう…」
腹話術師は記者の目の前で大きく口を開けた。
「普通の…口の中のようですが……?」
「喉の入口をよく見たまえ」
もう一度、口を大きく開けて見せた。
「ノドチンコが有って……その周囲も普通の形で、その下も……アッ!」
記者の眼が舌の奥の部分に釘付けになった。そこには何と、もう一組の小さな唇が
隠されていた。そして、その唇の間からは小さな舌が一枚……。
「喉の奥にもう一つの唇が……!」
「喉の入口部分が盛り上がって、もう一つの口に変化したらしい。独立した口だか
ら、本当の唇を閉じたままでも、普通に喋れるという訳なんだよ」
「何という事でしょう。それにしても努力と執念は恐ろしいもんだ。稽古を続けてい
るうちに、喉があんな風に変形してしまうだなんて…」
「いや、実を言うとね……努力だけでもないんだよ」
腹話術師はちょっと苦笑しながらそう答えた。
「ご謙遜ですよ、先生。よっぽどの熱意と努力がなければ人間の身体がここまで変化
したりする訳が有りません。これもすべて先生の精進の賜物ですよ」
「いや、それがね……本当の事を言うと、夢中でやってる内に、こうなってしまった
んだなぁ」
なぜか腹話術師は顔を赤らめて答えた。
「それを努力と言うんじゃないですか。時間と苦痛を忘れて、努力を続けた結果
が…」
「いや、苦痛と言うより快感で時間を忘れたと言うへきだろうねぇ」
今度は腹話術師がウットリとした顔で、口を開けた。記者がその奥を覗き込むと、
何と器用に第二の唇がノドチンコをくわえ、しゃぶっていた。腹話術師は何とも言え
ぬ表情で、ノドチンコを何度も何度も出し入れしていた……。
(完)
2002年08月30日21時37分09秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
8月27日 ワッハ上方レッスンルーム 「第10回 桂 吉弥のお仕事です。」
出し物
●「吉弥雑記帳」 桂 吉弥
●「米揚げ笊」 桂 ちょうば
●「蛇含草」 桂 吉弥
中 入
●「短命」 桂 雀松
●「住吉駕篭」 桂 吉弥
10回目という事で少々模様替え。
案内ハガキか会員証を提示したら100円引きになります。
客にとって殆ど何の意味も為さんかった会員証。
やっと名簿整理以外の存在意義を持ちましたな。
椅子席になりました。
畳やと、どぉしても真中が空いたドーナツ化現象になってしまいます。
最前列以外は、左右と最後列の壁にもたれよぉとしますからな。
客が多かったら別ですけどね。
ところが椅子にしたら前列の中心線から埋まって行きました。
しかも準備・片付けが楽で、客も腰が痛ぉならん。
確かに座敷に長時間座ってるのは辛いですな。
そこいら客からの要望もあったそぉです。
畳にしはったのは、吉弥さんの雰囲気的なこだわりであったとか。
気持ちは分かりますけどね。
落語の客は、大概口は達者やが肉体は虚弱ですからね。
身障者の方(この人もあちこちよぉ通ぉたはります)は余計助かりますな。
あぁ良かった良かった。
急遽変更の「蛇含草」。
パンフレットには「みかん屋」とありました。
けど、その前にちょうばさんの「米揚げ笊」。
同じパターンが重複してしまうのに…「お楽しみ」にしとけば良かった…。
自身の段取の悪さをえらい悔やんだはりました。
食べもんが要素の噺は、客に食べたいと思わせる事ができるかどぉかがポイント。
酒も然りですな。
吉弥さんの餅は旨そぉでした。
真夏に餅もええなぁ、と思いましたな。
と言うて、帰りに力餅に寄った訳ではありません。
やっぱりお米の水の方が合うよぉで…。
「住吉駕篭」。
頼り無い相棒の腑抜けた受け答えが面白い。
ええアクセントになってましたな。
鳥尽くしの男とそのかみさんは登場しませんでした。
煩わしぃと思わはったかな?
まずは力通りに。
雀松さんはお得意の「短命」。
相変わらず軽快な語り口が快いですね。
最近は噛む事も少のぉなりました。
売り物が一つ減ったっちゅうんですかね。
なぜかこの人の落語会に行った事ないんですな。
以前からええ感触は持ってるんですけどね。
何故なんだろぉ。
10月の独演会、行ってみるかな?
ちょうばさんは吉朝さんが講師をしたはる上方落語ワークショップ出身。
吉弥さんは、アマチュアの人がネタをする時のタイムキーパーを務めたはった。
そんな関係でちょうばさんの事も知ったはったそぉです。
が、吉朝さんが指導しはったのに、なぜかざこばさんのとこへ入門。
ひろばさんも同じ経路でざこば一門へ。
吉朝門下のしん吉さん、吉坊さん、さん吉さんは共に東住吉高校出身。
ここは教育の一環としていろんな上方芸能の指導なんかをしてるらしい。
そこで落語を担当したはるのが林家染丸さん。
そやのに、三人は吉朝さんの処へ。
染丸さん、怒らはったそぉですな。
「儂は吉朝の職業斡旋所か?」
ま、皆さん色々思う処があったんでしょ。
そのちょうばさんの「米揚げ笊」。
人物の描き方に減り張りが欲しいですな。
どの人物も同じよぉな物言いで、主人公と笊屋重兵衛が同年輩に感じました。
語尾に笑いを含んだよぉな台詞も、納まりの悪い手の仕草も気になる。
みっちりお勉強して頂きますよぉに。
2002年08月28日18時00分58秒投稿
S.S☆「もう一人の自分」☆ あや太郎
人気絶頂のタレント・姫路巌司〔イワシ〕は五十才を期に、何と引退を決意してい
た。「惜しまれる内に芸能界を去りたい」
そんな人生観が前々からそんな計画を建てさせていたのだ。
「それにしても惜しいですねぇ。爆笑王と呼ばれ、トークやバラエティを仕切らせた
ら日本一の巌司さんが、脂の乗り切ってる今、引退してしまうなんて…」
「いやぁ、桜のように綺麗に散る…というのが僕の美学ですから」
「でも本当に勿体ないですよ。まだまだ幾らでも活躍の場はあるし、ハリウッドから
も引き合いが来てるんでしょう?世界の〔イワシ〕になるチャンスだって目の前だと
いうのにねぇ」
「いや、実を言いますとね、惜しまれながら去る…という人生観だけじゃなくって、
本当はもう一つ大きな理由があるんです」
「これは重大発言だ。その理由というのは一体何なんですか?」
「実はね……ある種の限界を感じてるからなんですよ」
「限界?そりゃ変だ。やる事なす事うまく行ってる上に、もっと大きな仕事だって来
てるじゃないですか。人気や話術に翳りは見えないし、体力的にもスポーツ万能で三
十代の若さだと聞いてますよ。こう言っては何ですが、離婚されてからも花の独身貴
族で、彼女に不自由してるはずもないし、一体どこに限界なんてものがあるんですか
?」
「確かに体力も、仕事も、皆さんからの応援も、何一つ不足は無いんです。問題があ
るのは内面的な事……メンタルな矛盾なんですよ」
「つまり精神的な問題ですか?例えば働き過ぎて、仕事がイヤになったとか?」
「いや、仕事は人一倍好きですから、イヤになったりはしません。仕事の内容も気に
入ったものばかり選んでるから、何の不満も無いんです。ただ、そんな風に仕事をし
ている自分自身に不満が募って来ましてねぇ」
「自分自身に不満ですって?常に好感度ナンバー・ワンの巌司さんとも思えない。ど
こから見ても羨ましいような活躍ぶりですよ。それとも名人が到達する悩み……無限
に芸を向上させたいとか、仕事の幅を広げたいとかいう欲ですかね?」
「いや、そんな高尚なものじゃなくって、このままじゃ自分自身を本当に表に出せな
いまま、一生が終わってしまうような気がするんですよ」
「つまり、これまでの芸能人イメージは偽りの物で、いつも演技してたって言うんで
すか?でもそれは芸能人なら仕方ないでしょう。いつも本音ばかりではやって行けま
せんよ」「もちろんそう思います。だから僕もつい最近まで、演技したり、トボケた
りするのに抵抗を覚えたりはしなかったんです。ところが何年か前から事情が変わっ
て来たんです。僕は自分の中に、もう一人の自分が居る事に気づいてしまったんです
よ」
「もう一人の自分?」
「そうです。人には見せられない本音の自分です。厭らしく醜く自分でも耐えられな
いほど怖い自分です」
「なるほど。でも誰にだって人に見せられない内面はあると思いますよ。多重人格で
なくても、心の中に、悪魔のようなもう一人の自分が居たって珍しくはないでしょ
う」
「それが〔心の中〕に居てくれる間は良かったんです。でもこの数年、そのもう一人
の自分がムクムクと大きくなり、凄い力で表に出ようとしてるんです。いえね、人一
倍、人前に出て、大げさに自己表現する仕事をしてるでしょ。そのせいで普通人の何
倍も何百倍も、もう一人の人格が成長し膨れ上がって、今ではほとんど現在の僕を凌
ぐ勢力になってしまったんです。このままじゃ、僕は恐らく内面的な自己矛盾に陥っ
て死んでしまうでしょうし、その鬼っ子のようなもう一人の自分だって、一度も表に
出ないで死んでしまっては余りに可哀相だと思うんです。そこで、これからは本音で
暮らせるようにと引退を決意した訳です。そして引退記念イベントの特別対談で
も、、僕は敢えてそのもう一人の自分を表に立て、これまで腹に収めていた本音を洗
いざらいブチまけてやろうと思ってるんです。それでもう一人の自分も少しは気が晴
れて、おとなしくなってくれるだろうし、落ちついた生活が送れるというものです」
「なるほど。好感度タレントの巌司さんの本音爆発トークか……。こりゃ芸能イベン
トとしても話題沸騰ですよ。それで対談相手は誰なんです?」
「僕の先輩にあたる……柱谷三四郎さんです」
「えーっ!あの犬猿の仲の大先輩を呼びつけて、これまで腹に溜まった本音の数々を
残さずぶつけるんですか?三四郎氏だって、一癖も二癖もある理屈屁理屈、嫌味悪口
の天才ですよ。一体どんな血みどろの闘いになるのか想像がつかない。……こりゃ凄
いや。芸能史に残る超激辛バトルだ。あぁ〜、今からワクワクする〜……」
そして、ついに巌司と三四郎氏の対談が始まった。
「この野郎〜!若い頃はよくもよくも可愛がってくれたなぁ。散々コケにしやがっ
て、この三四郎のガキ!ちょっと俺が売れると頭を押さえ、出端を挫き、クギを刺
し、芽を摘もうとしやがった。クッサイ説教も散々垂れやがって、あんな念仏ナーン
の役にも立っちゃいないやい。ぜーんぶ反対の事をしてやったら、こんなに売れ
ちゃった。どうだ、参ったか!今じゃスッカリ追い抜いて俺のほうがずーっと上だ。
どうだ、文句が有るか〜!」
しかし論客・三四郎氏はその悪口雑言の前にも、ただニコニコと好々爺のような微
笑みを浮かべるばかりだった。
「何だ、この野郎……愛想笑いばっかり浮かべやがって……。それで乙に構えてるつ
もりか。それとも完全にボケ老人になっちまったか?なんて有り様だ。エーイ、つま
らん。物足りない。張り合いのない奴め〜……」
その時、三四郎氏がようやく穏やかな声で答えた。
「いやいや。実はわたしも……もう一人の自分でお相手してるんだ」
(完)
2002年08月27日23時40分15秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
TEAM火の車稽古場 「噺家生活二十五周年記念 桂 都丸 25日間連続落語会」
8月25日 千秋楽
出し物
●「寄合酒」 桂 都んぼ
●「強情灸」 桂 都丸
●「お話種々」 桂 ざこば
中入
●「らくだ」 桂 都丸
一大イベントも遂に千秋楽と相成りました。
糞暑い中で始まったのが、もぉ秋の気配すら感じる今日この頃です。
この日は最高の入りやったでしょぉな。
立ち見もズラッと並んで超満員。
因に、25日間の平均入場者数は47人強でちょっとだけ黒字。
「満遍無く来て欲しかった。」
…て、この期に及んでまだ言うか?
皆勤は御夫婦1組。
関心も得心もしますな。
都丸さんが
「私、25日間も落語よぉ聴きませんで。」
御褒美に、限定生産の伏見の酒〈都丸〉と色紙、当日本人使用済み汗付き手拭いと扇
子が送られました。
小拍子も見台、膝隠しも全部進呈してしまいそぉなくらい感激したはりましたな。
「らくだ」は昨年11月のネタ下ろし。
その時は、剃刀を貸してもらいに行く処で下りはりました。
今回もそぉやろぉなと思ぉてたんですけど、なんと下げまで行きましたな。
ただ、らくだの頭を剃る場面はカット。
この場面、嫌いなんでしょぉか?
剃刀を借りに行くのを躊躇する熊五郎に
「気ぃのあかんガキやな。もぉええわ。毟っとけ毟っとけ。」
で、棺桶に納めて(はみ出した脚をボキッと折って)担ぎ出しますな。
ところが何と言うても壊れかけた漬けもん桶の事。
途中で底が抜けてらくだが落ちてしもぉた。
気付いて引き返した二人は、間違ぉて道端で泥酔してる願人坊主を納めます。
千日の火屋へ到着してみると、仕事を終えた番人が一杯やってる最中。
登場人物の皆が皆へべれけなんですな。
ぶつくさ文句を言う番人に、心付けを含めた金を渡して二人は帰ってしまいます。
「ほんまにええ具合に酔ぉてるのに、今頃こんなん持って来やがって…。
明日の朝から仕事するのも面倒くさい。
まだ火ぃも残ってるさかい焼いてしもぉたろ。」
棺桶を火に乗せますな。
段々熱ぅなってきて目ぇが覚めた願人坊主。
「熱い!」
「なに…熱い?熱ぅのぉてかい。」
「おい、熱いて!」
「往生際の悪いガキなぁ。大人しゅう焼かれてしまえ。」
「熱い!おい!熱いて!ここは何処や!?」
「ここは千日の火屋じゃ。」
「千日の火屋か。冷やでええさかいもぉ一杯くれ。」
なんともやたけたで荒っぽい落ちですな。
けど、六代目がやらはると実に豪快でぴったりはまります。
都丸さんは最後を変えたはりました。
「ここは千日の火屋じゃ。」
「冷や?これやったら燗になってしまうがな。」
きちんと綺麗に落とそぉとしたらこぉなりますかな。
スケールダウンは否めんとこですけどね。
米朝師匠は、落ちを付けずに担ぎ出しの場面で切らはりますな。
代わりに、紙屑屋の没落の経緯と現状の生活を自ら語らせる場面を入れたはります。
噺に奥行きを持たせる要素を盛り込んだ訳ですな。
その方向からすると、終盤の無茶な展開が合わんよぉになって来る。
後味悪いですからな。
筋の上から言うても線引き出来る箇所ですしね。
故に、伊勢音頭を唄ぉてお賑やかな内にデンデ〜ン。
両方のやり方を共に取り入れた都丸さん。
まずは、過不足無く仕上がってたと思います。
もちろんまだまだ進化可能、先々まで楽しめますな。
ざこばさんは
「今日は落語しまへんで。」
落語をやるとなったら相手がお弟子さんでも負かしにいく人ですからな。
主役を食ぅてしまう恐れがあります。
ここいらは親心ですな。
相手が師匠とか兄弟やったら別でしょぉけどね。
入門間も無い頃の都丸さんが、ざこばさんにお金を見せて
「これだけ稼げるよぉになりました。」
ここでうるうる目の涙声。
期待通りで客も満足。
他にも、都丸さんの生真面目さ誠実さがよぉ分かるエピソードを披露しはりました。
後は御自分の若かりし頃の話。
米紫さんと可朝さんの〈一番弟子は俺じゃ〉騒動は面白かった。
という事で、25日間声も持たはったよぉです。
ほんま、お疲れさんでした。
2002年08月27日16時03分29秒投稿
S.S「玉手箱」☆ あや太郎
「浩一や。また何を買い込んだんだね?」
「パソコンだよ。これが無いと仕事もままならない。母さんは機械音痴なんだから、
触らないでおくれよ」
「浩一や。また電気屋さんから何か届いたよ」
「新型のビデオだよ。何度ダビングしても劣化しない優れ物……って言ったって母さ
んには分からないよなぁ。勝手にイジっちゃ駄目だよ」
「浩一や。通販で何か送って来たわよ。また電気製品かい?」
「ケータイに接続出来る小型FAXさ。これでどこでも書面が残せる。壊れやすいか
ら触っちゃ駄目だぜ」
「浩一や。テレビが届いたけど、もう一台あったんじゃなかった?」
「これはCG用のディスプレイさ。パソコンも見るだけじゃなくって造る時代になっ
てるんだぜ。と言っても母さんには分かんないだろうけど」
「んまぁ、分からない分からないって馬鹿にして…。母さんだってね、使ってみれば
すぐに覚えるかも知れないじゃないの。いっぺんパソコンを触らせてよ」
「ダメダメ。下手にイジるとデータを消される恐れがある。いや、母さんの馬鹿力で
イジられたら機械が壊れるかも知れない」
「意地悪な子ねぇ。それじゃ、あんたが留守の時に触ってやるわ」
「勘弁してよ。本当に壊れたら困るんだ。特にパソコンは僕の宝物だからね。でも母
さんは触ったら危険だよ。母さんみたいな人にとっちゃ玉手箱みたいな物だからね」
「玉手箱って、どういう事?」
「うっかりフタを開けたら、たちまち白髪の年寄りになっちまうって事さ。だから絶
対触らないいでくれよ。じゃ、行ってきまーす……」
「言いたい放題言って出かけちゃった。でも触るなと言われると余計触りたくなるわ
ね。それに私にだって使えるかも分からないわよ。そうだ……留守の間に使いこなせ
るようになって、あの子を驚かせてやろうっと…」
しかし母親がノート・パソコンを開けると、そこには見たこともない機能ボタンや
スイッチがズラリ……
「あぁ、言うことを聞いとくんだったわ。本当にフタを開けたら……頭の中が真っ白
のお婆ちゃんになっちゃった…」
(完)
2002年08月26日22時01分32秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
8月23日 TORII HALL「第四次 雀三郎みなみ亭」
出し物
●「兵庫船」 桂 雀太
●「青菜」 桂 雀五郎
●「宿屋仇」 桂 雀三郎
中入
●「狸さい」 桂 雀喜
●「皿屋敷」 桂 雀三郎
この日から一門会形式の第四次が始まりました。
お弟子さんは、ほぼ毎月確実に実戦を経験できて幸せですな。
その分雀太さんは必死でネタ憶えにゃなりません。
最初の頃の雀五郎さんがそんなんでしたからな。
しばらくは大変ですけど、好きな事やからね。
せいぜいがんばっていただきましょ。
「宿屋仇」。
兵庫の三人連の騒ぎに腹を立てた万事世話九郎が、手を打って伊八を呼ぶ場面。
ここは両方の部屋の様子を同時進行させにゃなりません。
言葉で二つを均等に平行させてっちゅうのは無理ですけどね。
一方を語ってる時に、もぉ片方の動きも感じさせるという事。
視線が動くので、芝居というより映画・テレビのセット撮影の現場ですかな。
今撮ってる場面の向うに、常にもぉひとつの場面が見えてる状態ですな。
それを表現するには、下座の音量の変化と場面転換を如何にスムースに運ぶか。
境目無きがごとく流れて、しかも空気の質的な落差が要求されます。
宴会、相撲から高槻での刃傷沙汰まで、三段跳びのお約束もきっちりと。
全部クリアで万々歳。
で、雀さんです。
大過は無かったんですけど、少々滑らかさに欠けてましたかな。
ちょっと笑い切れんよぉな感じがしました。
まぁ、それでもあれだけ受けたら充分ですか。
「皿屋敷」の評判がメジャーになって、お菊は商売気を出します。
井戸縁に陣取った客が噂しますな。
「この頃演技が臭ぉなってまへんか?」
「そぉですそぉです。
自分では大きゅうなったと勘違いしてるみたいですけどね。」
誰かの事か?
で、時刻と共に現われたお菊。
歌舞伎調の台詞回しで、これでもかっちゅう位臭いのなんの。
オーバーアクションで大爆笑。
ここいら、雀さんの真骨頂ですな。
丸刈りが結構似合ぉたはる雀喜さんの「狸さい」。
小狸がもぉちょっと可愛ぅ描けてたら、と思いますな。
一門で最もその辺りの雰囲気を出し易い人ですけどね。
見た目ね。
雀五郎さんの「青菜」。
以前聴いた時は無かったおからをしゃもじで装う場面。
「洗をしゃもじですくうて…そんなんやなかった気ぃするけど。」
こんな形で入れたはりました。
「鯉も洗にしたらしゃもじですくうか?」
ではありません。
この台詞、惜しいなぁ。
雀太さんの「兵庫船」。
当たり前ですけど、まだどぉこぉっちゅう段階やない。
知り合いが来てたのか、拍手に反応したりして噺をわやにしてしもぉた。
それも含めて2回もとちったのは頂けませんな。
妙なくすぐりも耳障り。
今はもっときっちりやっとかにゃいかんのやないですかね。
2002年08月26日17時43分17秒投稿
S.S☆「ボツ」☆ あや太郎
「もしもし。あなた、望遠鏡ばかり覗いて何をなさってるんです?」
「星ぼしを観察して異星人を探してるんですよ。文明が存在する手掛かりを発見でき
ないかとね」
「こちらの方は、アンテナを張って何をなさってるんです?」
「微弱な電波を捕らえて、地球外生命が存在する形跡を発見しようとしてるんです
よ。宇宙人と交信できたら最高だねぇ」
「そちらの人たちは穴を掘って、何をするつもりです?」
「古代遺跡の調査ですよ。いや、単なる古代文明の発掘じゃなくって、古代に地球へ
やって来た宇宙人の痕跡が無いかと思いましてね。もし発見されたら地球文明はおろ
か、地球型生物の進化にすら影響を与えているかも知れないですから」
「顕微鏡を覗いてる方々は、何の研究ですか?」
「他でもない……宇宙生命の証拠探しですよ。太古に地球へやって来たかも知れない
宇宙人や、降り落ちて来た生命体の痕跡を追って、あらゆる遺伝子を分析しているん
です。それが見つかれば、地球生命の発生と進化の秘密が解き明かせるはずだ」
「皆さん、ずいぶん宇宙からやって来る生命体に執着されてるようだが、そんなに地
球以外の生命に関心が強いんですか?」
「もちろんです。宇宙は広い。どんなに素晴らしい生命体や知性体がいるか想像がつ
かないくらいだ。そんな地球外生命の存在を知ったり、高度な文明に出会ったり出来
ると考えるだけで希望が湧いて来るじゃありませんか」
「地球の生き物だけでは満足できませんかねぇ?」
「こんな狭い世界の事だけ知ってたって何にもなりゃしない。第一、地球型の生命や
地球人類なんて欠点だらけで、未熟な種族ばかりですよ。もっと広い宇宙の、高度に
進化、発達した異星人たちに早く会わなければ、埒が明きません」
「それじゃ……もし地球の外に生き物が居なかったら?」
「そんな事はあり得ない。宇宙はこんなに広いんだから。それにもし地球外生命が皆
無だとしたら、それこそ絶望的だ。もう何の進歩も楽しみも希望も無くなってしま
う。だから我々は全力を尽くして、宇宙生命を探そうとしているんですよ」
「そうか……そんなに宇宙人に期待しているのか…」
いろいろ聞き回っていた老人は、淋しげに肩を落とし、その場を去ろうとしてい
た。
それを目に留めた気の好い男が一人、老人を気づかって問いかけた。
「あのぅ……何か落胆なさってるようですが、あなたはどういう方なんです?」
「わたしかね?わたしはこの地球と人類を含めた生き物すべてを造った者じゃよ」
「えっ、すると全知全能の創造主!それじゃ何故そんなにしょんぼりなさってるんで
す?」
「わしが全身全霊を込めて造った地球生命と人類が、どうも自分たち自身をあまり気
に入ってないようなんで、ガッカリしてしまってね」
「それは申し訳ない事をしました。他の星では、こんな非礼な対応はなかったんで
しょうねぇ?」
「他の星も何も……実はこの広い宇宙で生命体を造ったのは地球だけなんじゃよ」
「えっ!じゃあ、あとにも先にも生き物がいるのはこの地球だけ?」
「そうじゃ。その地球で、これほどまでに不満を持たれてるとは情けない。もっと自
分たち自身に誇りを持ってもらえると思ってた。どうやら、すべては失敗作だったよ
うじゃ。わしはもう引き揚げるとするよ」
「引き揚げる?それじゃ、地球と我々はどうなるんですか?」
「ボツ…かな」
「ヒェ〜…。おーい、みんな……早くお止めしろ!早くしないと、神様が行っちゃう
よ〜…」
(完)
2002年08月26日00時16分43秒投稿
S.S☆「眼(ガン)」☆ あや太郎
改心しようと思っている殊勝なヤクザがいた。
「こんな事やってる時代じゃない。堅気の衆ですらロクに仕事が無いって当節、俺み
たいなヤクザが食えるアテもない。ここはいっそ心を入れ換えて堅気に成ろう」
一応、一般市民のような顔をして色々な商売を始めてはみたが、どうも評判が悪
く、結局は元ヤクザとバレてしまう。
「なぜだろう?……やっぱりコワモテの雰囲気が抜けないのかねぇ。そう言や、気持
ちを顔に出しすぎるかも知れない。冷やかしの客や気に入らない客には、つい睨みつ
けちまうし、値切る客はシカトしちまうし、苦情を言う客には開き直って凄味を利か
しちまう。売り物に傷をつけようものなら、待ってましたと因縁付けて、弁償金を巻
き上げちまうからなぁ。長年の癖はなかなか抜けないもんだよ。しかしそんな事ばか
り言ってられない。善良な市民になりきって食って行かなきゃなんないんだからな。
ここは一番、心を入れ換えるだけじゃなく、顔や態度を改めなきゃイカン。何か良い
稽古方法はないもんか…」
知り合いの物知りに相談すると、親身になって助言してくれた。
「人相が変わるほど心構えや態度を改めるためには、何か人生観が変わるような体験
をするのが最も効果的じゃろう。例えば思い切り恐い目に遭ってみるのも良いな。何
かお前さん、怖い物はあるかい?」
「さあ、怖い物と言われてもなぁ……なにせ稼業がヤクザだったから、少々の事には
もう驚かなくなっちまってるねぇ。殴り合いも撃ち合いも切った張ったも経験してる
し、どっかの国の戦争にでも飛び込んでみますか?」
「そんな事を勧める訳にも行かん。じゃあ何か冒険はどうかな?高いところが怖けれ
ば、山登りや山伏の修行をしてみても良いだろうし、格闘技なんかで鍛えなおしても
良い」
「格闘技は若い頃、喧嘩に備えて散々やってるからねぇ。高いところも冒険旅行も、
度胸試しに色々やらされて慣れちまったなぁ。ジェットコースターから木の枝に飛び
移ったりね」
「そんな無茶してるのか。それじゃ車やバイクのレースはどうじゃな?アクロバット
風の運転をしたり、クラッシュしたり、かなり危なそうじゃないか」
「バイクでビルからビルへ飛ぶぐらいは稽古しましたよ。いざと言うとき手入れから
逃げられるようにって。そうそう、アドバルーンに捕まって、隣町まで飛んだ事
も…」
「そんな事までやって来たのかい…。それじゃもう怖い物なんか無さそうだな。これ
ではショック療法も効きそうにない」
「そうさなぁ……怖い物と言えば、女と幽霊ぐらいだが、これも上手く出て来てくれ
るとは限らんでしょう?カネも怖い時はあるが、困ったらカッぱらえば良いし、金の
亡者は叩っ殺しゃ済むし…」
「おいおい、物騒にも程がある。そんな根性じゃ顔も態度も愛想好くなるはずがな
い。それにしてもヤクザはいろんな修行をするもんなんだなぁ。空も飛べば陸も走
る……。いや、待てよ。お前さん、海はどうかな?泳げないとか、水が怖いとか……
?」
「さぁ、それは分かんないねぇ。泳ぎは敵の組やサツからトンズラできるように鍛え
られたし、ボートもヨットも高飛び用に稽古したけど、実際に使った事は余り無い
な」
「それじゃ、海の中はどうだい?潜った事はあるのかな?」
「これも水中脱出の要領を覚えろって訓練させられたねぇ。簾巻きにされた時の用心
にさ」
「まるで脱出マジックだな…。じゃあスキューバ・ダイビングなんかもやってる訳だ
な」
「いや、そんな良い物じゃないっスよ。そこらのプールや川で稽古しただけだから」
「ふむふむ、そうか。いや、それなら一度勧めてみても良いな。どうだ、一度南の海
で、潜ってみないか?」
「そりゃ良いけど、別に水の中が怖いって事はないですぜ。どっちかって言うと、珊
瑚礁を見物しながら泳いでみたいぐらいのもんだ」
「それでも良いよ。但し珊瑚礁がある場所より、もうちょい深い海になると思うよ」
「それでもビクともしませんよ。一度、そこの港でやり合って放り込まれたんだ。
真っ黒な泥水の底から見事脱出…」
「脱出劇はもう良いんだよ。そうじゃなくって、もっときれいな海で悠々と泳いでみ
ないかと言ってるんだ。二人連れでさ」
「二人連れ?そいつぁ良いけど、女は逃げたままだ」
「じゃあ、そいつを彼女にしなよ。メスもいるだろうしな」
「メス?そりゃ何者です?」
「クジラだよ。長さが二十メートル以上あるクジラたちさ」
「ク、クジラ?」
「以前、どこかのカメラマンに聞いた事がある。大海でクジラと並んで泳いでると、
クジラの巨大さ、自分の小ささに感動して人生観が変わったってな。お前さんも並大
抵の事じゃもう驚きも感動もしないだろう。どうだね……一度そういう珍しい体験を
してみては?」
「ふーん……クジラの横で泳ぐのか…」
「やってみるかい?」
「少なくとも気分転換ぐらいにはなりそうだな。いっぺん試してみましょうかい」
駄目で元々……ヤクザは業界脱出を賭け、鯨のいる大洋へと乗り込んだ。
「潜水の要領はもうマスターされましたから、泳ぎに関しては問題ないでしょう。た
だ、クジラと泳ぐとなれば、多かれ少なかれ危険が伴います。なにせあの巨大な身体
ですから、ちょっと気まぐれを起こして尻尾や胸ビレで、チョンと引っかけられても
吹っ飛んでしまいますからね。くれぐれも変な事をして怒らせないようにだけは気を
つけてください。まぁ、向こうはちっぽけな人間なんか相手にしないでしょうがね、
ハハハハハ」
「人間なんか相手にしない…か」
インストラクターの注意を受け、ヤクザはついにクジラと遭遇できる海域に船出し
た。「ちょうど良い角度でセミクジラが近づいてきましたよ。この船からそっと飛び
込んで、ゆっくり泳いで行けば合流できそうだ。それでは潜水準備OKですね?……
出発…!」
ついに運命の時が来た。海のなかで巨大な生き物に出会うのは初体験たが、ヤクザ
の見栄もあって、思い切りよく大海に身を踊らせた。
泳ぐヤクザの横手から大きな影が近づいて来た。テレビで見たことのあるような背
中に白い貝殻を付けたクジラだ。全長二十メートルはたっぷりあった。
「ふーむ、さすがにクジラだ。こりゃ迫力あるぜぇ」
ヒゲクジラなので大きな生物は襲わないらしい。話の通り人間なんか「シカト」し
ている気配のクジラのそばへ、ヤクザはじりじりと泳ぎ寄った。
横に並ぶとクジラは速い。悠然と泳いでいる様子なのに、ついて行くのが精一杯
だ。
しかしそんな苦労を忘れるほど、その姿は偉大だった。初めて人間の小ささを痛感
した。単純なものだ。自分より遙に大きな生き物を見ると、人間は無条件に尊敬して
しまうものらしい。
さっきまでは無視してくれたほうが気楽かなとも考えていたが、逆にここまで来る
とクジラに「シカト」されている事が面白くない。
「折角ここまで会いに来たんだ。挨拶とは言わないが、振り向くぐらいはしてくれて
も良いだろう」
しかしクジラは人間の感傷など構うはずもなく、ひたすら悠然と何かに向かって泳
いで行く。
「やっぱり面白くねぇなぁ。一丁かましてやるか…」
よせば良いのに、なまじ度胸のあるヤクザ崩れは、更にクジラの巨体へ接近する
と、大胆にも足でクジラのドテっ腹を蹴り飛ばした。
クジラにすれば蚊に刺されたようなもので、普通なら気がつく事も無いのだろう
が、たまたま敏感な場所だったのか、その蹴りにクジラが少々反応した。
少し身体を捩るようにして進行方向を変えたのだ。その水圧でダイバーたちの身体
が、もみちくちゃになった。何をするんだ……という顔でインストラクターが錐揉み
しながら遠ざかる。
「やった……。どうだ、少しは応えたかい」
豪気なヤクザは、してやったりの顔で泳ぎ去るクジラの姿を追う。
すると体勢を変えたクジラの眼がこちらを向いた。盆ほどもある大きな目玉が、チ
ラッとヤクザを睨んだ。言い知れぬ圧力を持った視線だった。しかしヤクザも睨み返
していた。それはクジラよりも怖い目つきだった。
「眼(ガン)を付けやがったな」
長年の習性の成せる業だった。
すると有ろう事か、クジラが一瞬ひるんだように眼を反らせた。そしてそのままど
こへともなく泳ぎ去った。
あとには睨み勝ったヤクザだけが大海原を漂っていた。
「また勝っちまったか…」
ヤクザはまた怖い体験をしそびれて、しおしおと南の海を去った。
もう人生観を変えるには、かなりコワモテのクジラを探すほか無さそうであった。
(完)
2002年08月24日23時26分56秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
TEAM火の車稽古場 「噺家生活二十五周年記念 桂 都丸 25日間連続落語会」
8月17日
出し物
●「牛ほめ」 笑福亭 喬若
●「牛の丸薬」 桂 都丸
中入
●「遊山舟」 林家 小染
●「二番煎じ」 桂 都丸
米朝師匠直々に口移しで伝授された「牛の丸薬」。
米朝一門で自分だけ、と自慢たらしゅう言うたはりました。
直に教わったのが一人だけっちゅうのは意外ですな。
あれだけ直系のお弟子さんが居たはるのに、なぜ孫弟子の都丸さんだけに?
不思議やね。
派手さの無い噺。
それだけに筋の運びとか緩急、細かい言葉のやり取りに神経を配らねばなりません。
都丸さんは腰の座った語り口でじっくりと聴かせてくれました。
茶店のお婆さんから仕入れた治郎兵衛旦那の情報を、当人の前で列ねる場面。
ここは、相手に言葉を挟む暇を与えん勢いで喋らにゃなりません。
もぉ少々スムースに…と、思わんでも…。
ま、一門の風ですから。
「二番煎じ」は南光さんにつけてもらわはったそぉです。
その所為か、南光流のくすぐりとか言い回しがちらちらと。
確か〈宗助はん〉をしつこい程登場させるのは、南光さんの演出やないですかな?
それにしても都丸さんの飲み口の良さ。
一杯飲んで帰らにゃならんよぉな気ぃにさせられますな。
加えて猪の身の味噌煮と焼豆腐が非常にうまそぉ。
暑い時にあんなんもええなぁ…思ぉてたら隣と後ろからお腹の鳴る音。
私も負けじと合わしときました。
上方落語界の松坂大輔、喬若さん。
ほんまに、若手とは思えんもっちゃりした語り口ですな。
初めから飛ばすという事はまずありません。
徐々に噺を盛り上げていくタイプ。
ここいら、師弟の堅い絆を感じますな。
前日、都丸さんが
「明日が一番危ないんです。ぜひ来て下さい。」
客の入りの話ですけどね。
これは行ってあげなければ…。
当初予定の無い日やったんですけど急遽出席。
そしたら八分から九分埋まってました。
なぁんや、結構入ってるがな。
さては計略であったか。
2002年08月23日12時32分15秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
TEAM火の車稽古場 「噺家生活二十五周年記念 桂 都丸 25日間連続落語会」
8月20日
出し物
●「煮売屋」 林家 染弥
●「鍬潟」 桂 都丸
中入
●「腕喰い」 林家 花丸
●「口入屋」 桂 都丸
「口入屋」で、別嬪の女子衆が自らの能力を語る場面。
つっかえ、引っ掛かり、妙な間が空き…あぶねぇあぶねぇ。
立て弁の部分は一遍躓いたら連鎖しますからな。
が、そこは流石に25年のキャリア。
空中分解する事無く、無事軟着陸しはりました。
ほんまに…頼みますよぉ。
枕でこの噺にまつわる因縁話。
ざこばさんがまだ朝丸時代、箕面で催されてた一門会に、これもまだべかこやった南
光さんがゲスト出演しはったんやそぉです。
いつもは何処かのお店でやる打上を、朝丸さん宅でやらはった。
事件はその席で起こったのさ。
ええ加減廻って来たところで、朝丸さんが唐突に
「噺家は絶対〈口入屋〉をやらなあかん。
あの噺がきっちりやれたら他のもんも出来る。」
都丸さんは嫌ぁな予感がしたそぉです。
馴染みの有る恐怖のパターンなんでしょぉな。
お弟子さんは師匠の言わはる事やし、反論の余地は有りません。
逆ろぉたらどないなるかも分かってますわな。
けど、べかこさんはよその一門。
しかも、この人も酔ぉたら言いたい事言う性分。
「ほな、来月のこの会でやりなはれ。」
こぉ言われて朝丸さん。
「いや、そぉいう事言うてるのやないねん。
〈口入屋〉はな、絶対やらんとあかん噺やっちゅうてるんや。」
「せやからね、来月のこの会でやりなはれて。
今から憶えたら間に合いまっしゃないか。」
この後、同様の会話が繰り返されますな。
段々エスカレートし乍らね。
ついに
「なんでお前にそこまで言われんならんねん。
お前みたいな奴はとっとと帰れ!」
「帰ったらぁ!」
気の毒なんはお弟子さんですわ。
特に、まだ入門間も無い出丸さんの被害甚大やったそぉな。
後にこの会で師匠より先にやらはった都丸さん。
言われたそぉです。
「皮肉か?」
結局ざこばさんは、例の立て弁の部分が苦手やったんですな。
流れるよぉに言葉を列ねん事には、折角の聴かせ処がわやになってしまいます。
大変よぉ分かりますな。
で、都丸さんはこれを一門の特徴やと…。
さては言い訳の布石であったか、と気付いたのは聴き終えた後でした。
キャリア25年なりゃこその深謀遠慮ですな。
「鍬潟」の主人公は背丈が三尺に満たん極端な小男。
徳さんやったかな?
外で嫌な事があったのか、帰るなり些細な事で嫁さんにあたったり拗ねたり…。
嫁さんは怒りもせずやさしゅう言います。
「隣の甚兵衛さんのとこへ行ってなはれ。
その間に御飯の支度しときますさかい。」
隣家を訪ねた徳さんが甚兵衛さんに
「わたいもぉ生きてるのが嫌になりました。」
皆が自分の体をからかぉて馬鹿にする、と語ります。
甚兵衛さんは
「柄が小さいというて卑下する事は無い。」
浅草の観音さんと仁王さんなんかを例にとって諭します。
そして、相撲を取るのが大好きな徳さんに、大坂相撲の超小兵力士鍬潟と大関雷電と
の話をしますな。
この鍬潟、丈も幅も四尺で無類の力持ち。
とは言うもんの相手は日本一の大関です。
まともにいったんでは到底勝ち目は無い。
体に油を塗り込むゲリラ戦法を考え、充分な準備をした末に勝利しますな。
相手の作戦の前に不様な形で敗れた雷電は、どぉにも腹の虫が治まらん。
後日大坂まで足を運んで鍬潟の家へ行ってみると、朝粥を囲んでる最中。
これはこれは…と、応対する鍬潟に
「お前さんともぉ一回取りたい。近所の子達は帰してもらお。」
「いえ、皆儂の子供でございます。」
驚く大関。
「子達はいったい何人ござるのじゃ?」
「九人ございましたが二人亡くして七人でございます。」
雷電は悔しさも怒りも忘れて感心してしまいます。
嫁を貰ぉたら引退、子供が出来たら親方に、が当たり前の世界。
「よぉそれだけの子達を育てなさった。
今日より兄弟分にさせてもらいたい。」
それでは大関を兄さんに…と言う鍬潟に
「いや、勝負に負けた儂が弟ですわい。」
デンデ〜ン…て、違うの。
徳さんは大いに心揺さぶられます。
「わたいでも相撲の稽古したら大きゅうなれますやろぉか?」
「そらなれるとも。」
甚兵衛さんは、自分が贔屓にしてる旭山部屋へ手紙を持たせてやります。
親方はそれを読んで快く引き受けますな。
部屋の兄弟子相手に目ぇ一杯のぶつかり稽古。
親方の、明日も来なんせの言葉に意気揚々と帰宅します。
嫁さんに今日一日の出来事を嬉し気に話す徳さん。
それは良かった、と共に喜ぶ嫁さん。
晩御飯を待つ内に流石に疲れが出たか、その場に寝込んでしまいます。
嫁さんは、風邪をひかしてはと布団を掛けてやりますな。
支度が出来たので起こすと
「やっぱり稽古したら体が大きゅうなった。
布団から手足がはみ出てる。」
嫁さんが笑いを含んで
「座布団ですがな。」
徳さんは誠に愛すべき人物なんでしょぉ。
生まれつきのコンプレックスから卑屈にならんよぉに、また押し付けがましゅうな
く、一歩引いた所から支えてやる周囲の人達の優しさが嬉しいですな。
特に、嫁さんのふんわりと包み込むよぉな接し方が心に残ります。
ええ噺ですなぁ。
ただ、主人公が徳さんやったかどぉかが…。
ほんまに、ちゃんと聴いとけっちゅうねん。
染弥さんは高座に上がる早々
「林家花丸の弟子の…いや、染丸の弟子の…。」
ここが一番受けた処。
今時の若手の漫才みたいな運びにしたいのかな?
けど、残念乍らまだ未消化。
工夫もそこここに見られましたけど、総花的で全体にめりはりを欠いて散漫。
その所為か、噺本来の笑い処も外してました。
面白ぉなりそぉな気ぃもするんですけど、しばらく時間が掛かりそぉですな。
煮売屋の戸口の貼り紙に書いてある店名〈やなぎや〉。
染弥さんは、正しい読み方を教えられた後も喜六に〈やなきや〉と読ませます。
なるほど。
ここでちゃんと読めたら、〈とせう汁〉も〈くしら汁〉も濁音で読みますわな。
但し、二人が承知の上で煮売屋の親父を嬲るという形やったら用事はおまへんな。
2002年08月22日17時50分59秒投稿
S.S☆「つきもの」☆ あや太郎
「中秋の名月だ。良い月だねぇ」
「わたしは…月見団子のほうが良いわ」
「よく食べるなぁ、情緒のない」
「だって、お団子はお月見の付き物でしょ?それにお月様だって元はと言えば同じよ
うなものだわ」
「なぜ団子と月が同じなのさ?」
「なぜって、そもそも月は地球の付き物でしょ?だから月見に付き物のお団子も、同
じ値打ちだと思うのよ」
「なるほど……月は地球の付き物か。そう言われればそうだ。月を愛でるかわりに団
子を愛でるのも悪くないか」
「そうよ。だから昔の人は、お月様の事を〔ツキ〕って呼んだに違いないわ」
「これは名言だ。君はなかなか隅に置けないねぇ。そんなに学があるとは思わなかっ
た。なるほど、付き物だから〔つき〕か。今夜は良い勉強になったよ。また誰かに話
して教えてやろう。いやぁ、有意義な月見だった…」
彼が帰るのを見送りながら、彼女がそっと呟いた。
「単純ねぇ。古代の人が月の軌道を知ってたとは思えないのに…」
(完)
2002年08月22日01時00分23秒投稿
S.S☆「最後の一葉」☆ あや太郎
「あら、街路樹に一枚だけ木の葉が残ってる…」
「本当だ。風に吹かれて今にも落ちそうだね」
「淋しい風景だわ。冷たい風に耐えるように揺れる木の葉…。もう冬なのね」
「一所懸命に生きてきた木の葉も間もなく散るんだなぁ」
「あ、木枯らしが吹いてきた。木の葉が揺れて枝から吹き飛ばされそう。あっ…」
「とうとう散ってしまったね」
「さようなら、可哀相な木の葉さん…」
風に舞いながら、その木の葉が呟いた。
「あぁあ…やっと自由の身になれた」
(完)
2002年08月20日23時19分42秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
8月19日 HEPホール 「ごかいらくまつり 新・怪談ばなしの世界」
出し物
●「鈴木さんの悪霊」 林家 花丸(小佐田定雄 作)
●「うつつの人」 桂 九雀(くまざわあかね 作)
●「幸せな不幸者」 立川 志の輔(小佐田定雄 作)
中 入
●「のこぎり演奏」 サキタハヂメ
●「幽霊の辻」 桂 雀三郎(小佐田定雄 作)
過去5回の出し物のうち好評やったネタの再演に、志の輔さんの新作を加えた豪華ス
ペシャル企画。
花丸さんの「鈴木さんの悪霊」は「蘭方医者」という古典のリメイクやそぉですな。
前回投稿分には書かなんだ落ち。
取り憑いた悪霊を追い出したいために、怪し気な心霊学博士の元を訪れた鈴木さん。
次々色んな霊を憑けられた末に、ハンターの霊で万事解決…となる筈やった。
が、後日博士は鈴木夫人から、まだ奇行が治まらないとねじ込まれます。
遠くの木の上に鳥の姿を見た鈴木さん。
やおら体を前に倒し、また戻して
「カチッ。」
と言うたかと思うと
「ズドーン!」
そして勢い良く走り出たまま帰って来んというもの。
実は憑けられたのはハンターやなしにライフルの霊やった。
戻って来るよぉにしなさい、と詰め寄る夫人に博士は言いますな。
「あなたに的の霊を憑けましょぉ。」
怒り狂う夫人。
「あなたそれでも心霊学者なの!」
「いいえ、違います。心霊学者の霊が取り憑いてるんです。」
道中のテンポもええし細かいギャグも効いてるのやけど、落ちがもぉひとつ。
もっと盛り上げてもええのやないですかね。
ちょっと惜しい気がしますな。
「うつつの人」は故・歌之助さんが昨年8月18日のこの会でやらはったネタ。
私が観た最後の高座でした。
あれから早1年ですなぁ。
九雀さんの
「このまま埋もれさせるのは惜しい。」
の言葉で再演。
前回書かなんだ落ち。
事故死した奥さんの霊に大天使ミカエルが言います。
「やり残した事を一つだけ叶えてやろぉ。」
けども咄嗟には浮かんで来ません。
自分の通夜の会場に行ってみても、これというもんが思い付きませんな。
しかたなく、一旦帰宅する亭主、娘と共に我が家へ。
小腹が空いたと言う亭主。
娘は奥さんの作った味噌汁の残りを温めます。
それを飲んでしみじみと
「もぉこの味噌汁も飲めんのやなぁ…。」
急に奥さんの霊はミカエルに言いますな。
「見付かりました。」
二日後の朝、亭主は無い事に朝食を作る娘の姿に驚きます。
理由を尋ねると、なんとなくそんな気に…と娘。
一口味噌汁を飲んだ亭主はまたまた吃驚。
「お母さんの味と一緒やがな。」
娘は自分でも飲んでみて
「ほんまや。お母さんの味やわ。」
そして納得したよぉに言います。
「お母さんもインスタントやったんや。」
奥さんは娘に味噌汁の作り方を伝えた、と客に思わせといてこの落ち。
こんなん好きですな。
筋の運びに緩急が有るし、フィニッシュのドンデンも決まってます。
ぜひとも九雀さんのレパートリーに入れておいて欲しい噺ですな。
中トリは志の輔さんの「幸せな不幸者」。
自殺願望を持って田舎の宿にやって来た主人公暗井真一郎。
人生完全に行き詰まってます。
最後の砦と頼んだ叔父さんにも、何をやっても中途半端なダメ人間と詰られ
「もぉ死んでやる。」
の啖呵にも
「死ねるもんなら死んでしまえ。」
と言われる始末。
そして、この死出の旅と言う訳ですな。
が、上手い事行かん時は死ぬのも侭ならん。
宿の朝食に、茸が付いてます。
女中のお婆さんが朝早ぉ山で採って来たもんなんですな。
真一郎が食べずに残したのを、勿体無いと言って食べたお婆さん。
異常に朗らかになって部屋を出て行った後、笑い乍ら死んでしまいます。
宿を引き払ぉた真一郎は、お婆さんから聞いた〈ちみどろ湖〉へ。
はまった人間は二度と浮かんで来んという無気味な湖ですな。
真っ赤な湖面を一目見た真一郎、とてもやないが飛び込む気にはなりませんな。
側に有る薬局で睡眠薬を買おうとしますが、主人のお爺さんに医者の処方が無いと売
れんと言われます。
眠れんのなら代わりに、と半ば強引にクコの漢方薬を買わされてしまいます。
飛び込む気も失せて〈ちみどろ湖〉に架かる吊り橋を渡りますが、それは横板が無い
箇所が有るよぉな危なさ。
やっと渡り切った時、元来た対岸から薬局のお爺さんの声がします。
商品を間違えて代金が1000円足りんかった。
それを受け取る為にお爺さんが吊り橋を渡って来ますが、横板の欠けた部分から湖に
落下して死んでしまいます。
真一郎は誰かに知らせねばと近くの寺に駆け込みますな。
しかし、住職は
「あの湖に落ちた者は助からんし浮かんでも来ん。
わしは一人死ぬごとに鐘を突いてやるのじゃ。」
お前さんも一緒に…と、二人力を合わせて突こうとした時、真一郎は後ろに倒れて突
き棒のヒモを離してしまいます。
勢い余って鐘の真下に入ってしまった住職。
二人分の力で突かれた音は凄まじく、心臓に欠陥の有る住職は死んでしまいます。
死にたい自分は死なれず、関わった人間が次々死んで行く。
絶望の極に達した真一郎は崖から身を踊らせます。
気が付くとそこは舟の上。
側で船頭が文句を言いますな。
「乗るんならちゃんと乗船場から頼みますよ。
舟賃はちゃんと全額貰うからね。」
天龍下りの舟なのでした。
遂に死ぬ事を諦めた真一郎は再び叔父さんの元へ。
経緯を聞いた叔父さんは当然の事だと言います。
「真一郎という名前は儂が付けた。
有名な姓名判断の先生に頼んで選んだ名前だ。
事故や病気で死ぬ確率は一億分の一。
だから、平気で死んでしまえなんて言えたんだ。」
聞いた真一郎は、もぉ一度やり直す決心をし、晴々とした顔で帰って行きます。
肩の荷を下ろした叔父さんはビールを飲み乍らテレビをつけますな。
と、ニュースが流れ
「…の暗井真一郎さんに隕石が直撃し、死亡しました。
なお、一人の人間に隕石が当たる確率は一億分の一で…。」
元は九雀さんの為の書き下ろし。
それを東京落語に書き直しはったんやそぉです。
志の輔さんのクールでドライ、それでいて温かい語り口に合ぉてますな。
ぜひ、上方土産にお持ち帰りを…。
サキタハヂメさんの「のこぎり演奏」。
前回より音響設備も良し、持ち時間も長いという事でボリュームアップのステージ。
たっぷり聴かせていただきました。
しかし、この音は耳に残りますな。
悪い意味や無しにね。
御存じ「幽霊の辻」。
雀三郎さんは手の内にいれはったよぉですな。
第1回の感想文にも書いたよぉに、前半に重心掛けた構成。
当時より方向性がはっきりしてましたな。
その所以でしょぉか。
前回感じた後半の食い足り無さっちゅうのもありませんでした。
枝雀さんのとは違う形。
雀さん風味の「幽霊の辻」が出来た、というとこですか。
最後の〈首縊りの松〉を〈見返りの井戸〉に変えたはりました。
別にその前後に変更は無かったし落ちも従来と一緒。
やっぱり枝雀さんの…でしょぉな。
2002年08月20日16時43分07秒投稿
S.S☆「コーディネーター」☆ あや太郎
臓器移植のコーディネーターをめざし、多くの研修生が模擬テストを受けていた。
「さぁ、今回は最も緊張する場面……ドナーが脳死したあと、その遺族に臓器提供の
協力を求めるやり取りです。皆さん、準備はよろしいですか?」
「ハイ。研修生仲間で、ありとあらゆるケースを想定して模擬テストをして来まし
た」
「それでは、早速ご遺族と話し合う場面に入りたいと思います。前回の予告では、ベ
テランのコーディネーターに遺族の役を担当してもらうと言ってましたが、実はその
担当者が本日は本当の臓器移植の仕事で、提供者のご家族と相談する事になり、こち
らへ来られません」
研修生たちの間に少々の緊張感とかなりの安堵感が流れた。よほど厳しい先輩コー
ディネーターだったのだろう。
「そこで、今回はその代わりに、以前ご家族を亡くされた時、臓器提供を求められた
経験のある…当のご遺族に来ていただきました。思い出すのも辛いこんな仕事を敢え
て引き受けて下さったご厚意に感謝しつつ、模擬面接を始めましょう。それでは宜し
く…」
研修生の間に今度は本当の緊張感が走った。
……いきなり「本物」と対面する事になったのだ。これは単なる模擬では済まない。
「それでは、最初の受講者…こちらの一角へ…」
教室の端に、低い衝立一枚で仕切られた机と椅子があり、その一方に研修生、もう
一方に遺族が座った。
研修生の顔が引きつり気味だ。見ている研修仲間まで身を固くしている。
「あのぅ…大変お気の毒ですが、ご主人様は規定の脳波測定の結果、脳死と判定され
ました。ご本人様のドナー・カードには臓器提供の意志が明記されているんですが、
ご家族は提供に同意して頂けるでしょうか?」
「いやです」
「えっ?」
「ハッキリお断りします」
「いえ、でも、ご本人の意志では…」
「本人がどう言おうと、家族は反対です。少なくとも妻の私は絶対反対です!」
「いえ、あの、そうですか…。やはりご遺体を傷つけられるのは居たたまれないと
?」
「いえ、脳死すれば、もう生き返りません。別に本人も痛がったりはしないでしょ
う。でも私は反対なんです」
「えーっと……それは、どういう理由で?」
「それは言いたくありません」
「でもそれをお聞きしないと…。何といってもご本人様は提供の意志がおありだった
んですから…」
「それは本人の勝手です。私は違う考えなんだから」
「でも…法律的には本人の意志が優先されるということにもなっていますし、何とか
ご本人の気持ちを活かすためにも、考え直して頂けませんか?」
「法律で強引に臓器を取り出すというのなら勝手にすれば良いでしょう。私はイヤな
んだから、反対だって言ってるんです。別に裁判ざたにしたい訳じゃないわ。どうし
てもと言うのなら勝手にすれば良いでしょう、勝手に!」
「あのぅ…そんなに興奮なさらないで下さい」
予想外の激しい抵抗に研修生の面々も震え上がった。試験官だけが静かに見守って
いる。
「興奮してもしなくても同じです!私の意志は固いんだから」
「そんなに怒られても困りますわ。これは模擬テストでしょ。私たちもこんなんじゃ
どうやって良いのか…」
研修生が試験官に眼で訴えると、ようやく講師がにこやかに立ち上がった。
「まぁまぁ…こんなぐらいでビクついているようでは駄目ね。本当の協議の場はもっ
と緊張した修羅場になるかも知れないんだから、あなたたちももっと勉強して来なさ
い。それじゃ今回の模擬テストはこれで終了します。解散…」
ガックリとうなだれて研修生たちが去ってゆくと、試験官はおもむろに遺族の女性
に話しかけた。
「付かぬ事を伺いますが…。実際にご主人が亡くなった時も、提供を拒否されたんで
すか?」
「いえ、あの時はすぐ同意しました」
提供された患者も移植に成功し、めでたく退院したらしい。
「そうでしたか…。でもそれじゃ何故、さっきの面接ではあんなに強硬に反対された
んですか。やはり研修生の為に熱演して下さったんでしょうか?」
「いえ、マジで頭に来たんです」
「えっ?…何かお気に障る事でもありましたか?」
「あの移植のあとになってから……主人に愛人が居た事が発覚したんです」
「おやまぁ…」
「しかも、その女に主人はドナー・カードを見せてたんです。私たち家族には話した
事も無いのに!その上、その女のために生命保険まで掛けて…あのクソッたれ亭主
!…ねぇ、先生、今後は気を付けて下さいね。家族の意志確認だけじゃなくって、愛
人の確認もちゃんと済ませてから、話を進めて下さるように…」
(完)
2002年08月19日23時00分40秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
TEAM火の車稽古場 「噺家生活二十五周年記念 桂 都丸 25日間連続落語会」
8月16日
出し物
●「道具屋」 桂 あさ吉
●「まんじゅうこわい」 桂 都丸
中入
●「ハイウェイ歌合戦」 桂 勢朝
●「はてなの茶碗」 桂 都丸
当日の出しもんの札を壁に貼ってあるんですけど、それが時々剥がれるんですな。
「はてなの茶碗」の途中で「まんじゅうこわい」の札が落下。
こっちは吃驚しましたけど、都丸さんは平然と語り続けたはりました。
どぉせやったら
「熱ぅいお茶が一杯怖い。」
で落ちたら洒落てたのに。
気ぃの利かん札ですな。
「はてなの茶碗」は今年2月のネタ下ろし。
確実に進化してます。
特に油屋は都丸さん自身も手応えがあったよぉですな。
確かに、現状を何とか打破したいという切実な気持ちがよぉ出てました。
無茶もん故の闊達さも充分。
「茶金さんは今の処これで精一杯。50歳からの茶金さんを観て下さい。」
と、これは御本人の言葉。
茶金さんは単に大店の主人というだけやなしに、日本で有数の一流文化人。
今時のマスコミ文化人とはグレードが違う。
その辺りをどぉ表現したらええのか。
米朝師匠やったらちょっとした秘訣を知ったはるかも分かりません。
けど、まず演者さん自身がある程度歳を重ねる事。
内から滲み出るもんが芸の上に現われる、なんてなにを偉そぉに…。
言い古されてる割には具体性の無い言葉を訳知り顔に言うんやない!
お叱りの声も無いんで続けますが。
それと共に噺のキャリアも増しますからな。
50歳からの、という言葉の通り都丸さんもそぉ感じたはるよぉです。
なんせ人一倍元気な一門の筆頭です。
まだまだ落ち着いてる場合やない。
その分、先々が楽しみですな。
超御無沙汰の勢朝さん。
えらい事になってまっせ、この人。
やたら声を張って力任せに見台叩く。
いちびり過ぎでさっぱり面白ぉない。
こんな芸風やなかったと思うけどねぇ。
なんか、もがいたはるんでしょぉか?
噺自体も然してええとは思えませんな。
因に小佐田先生の作なんですけど、リキ入ってないのと違う?
何となく停滞してる感じのあさ吉さん。
キャリア的にそんな頃なんでしょぉかね。
けど、この人は何時か化けそぉな気ぃしますな。
責任は持たんけどね。
2002年08月19日16時17分45秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
TEAM火の車稽古場 「噺家生活二十五周年記念 桂 都丸 25日間連続落語会」
8月15日
出し物
●「ろくろ首」 桂 都んぼ
●「代脈」 桂 都丸
中入
●「月に群雲」 笑福亭 三喬
●「小間物屋政談」 桂 都丸
「小間物屋政談」は昨年5月徐園の会のネタ下ろしで、元は江戸の噺。
手持ちの五代目古今亭志ん生師と六代目三遊亭円生師のテープを聴き比べてみると、
後者の型を取ったはりますな。
主人公相生屋小四郎は商売も上手く行き家には恋女房という幸せな人生。
それが一転してすべてを失い茫然自失。
周囲からはまるで自分が波風立てるために返って来たよぉに扱われます。
我が身に降り掛かった思わぬ不幸に自暴自棄になる小四郎。
が、最後は名奉行の差配でハッピーエンドとなって登場人物も客も救われます。
偶然と勘違いと粗忽と世話焼きを交ぜ込んで一般的な善人で割ったよぉな噺。
悪人は一人も登場しませんな。
世の中幸と不幸は紙一枚の裏表。
施した親切が仇となって返って来るやなんて現実にはよぉ有る事ですけどね。
都丸さんは乱高下の境遇に従って変化する小四郎の表情が秀逸。
今の処上方で唯一の演じ手やと思います。
「ねずみ」と共に、ぜひ得意ネタに育てていただきたいもんですな。
そぉそぉ、その「ねずみ」の感想文に積み残し。
卯之吉の描き方が東京のとは少々異なる感触。
多分に言葉の違いでしょぉけど、こっちの方が逞しゅう映ります。
辛い経緯が有り乍ら前向きに生きよぉとする12歳の少年。
彼のこまっしゃくれて厚かましい態度の陰に見え隠れする健気さ。
意地とやる気が醸し出す爽やかさ。
都丸さんはそれらをきっちり表現したはりました。
ええ噺やなぁ。
三喬さんの「月に群雲」は小佐田先生の作。
表向きは堅気の道具屋、実は盗品買い取りの専門店河内屋。
主人はかつてその筋では名の知れた盗人で、今でも一目置かれてる人物。
その親方、表と裏のお客を判別する為に合い言葉を決めてあるんですな。
玄人の客が〈月に群雲〉と言うと、親方が散々勿体振って〈花に風〉。
それから商談が始まるという段取。
ある日、寺の宝物蔵で仕事した二人組が尋ねて来ます。
所定の儀式を済ませてさて品物を広げてみると、盗み出す時にぶつけたりして一つと
して満足なもんが無い有り様。
頭が4つとれた七面観音。
手が2本折れた九百九十八手観音。
乗ってる船から弁天さんが転落してメンバー不足の六福神。
(なんで寺に神さん関連物があるんでしょ?)
こんな壊れ物ばっかりとてもやないが引き取れん、と断られます。
その後、ぎっくり腰で寝込んだ亭主の替わりに来店した女房とのやり取りがあって、
次に如何にも玄人らしい男が訪れます。
出した盗品が千手観音の手2本に弁天さん、と二人組の品物の部品ばっかり。
合わせて修理したら売れると踏んだ親方はそれぞれ50銭で買い取ります。
が、なぜか観音さんの顔4つは断りますな。
理由を尋ねる男に
「仏の顔は三度(三つ?)までやがな。」
ま、こんな落ちやったよぉな…。
親方の大層振った仕草・物言いをもっと強調したら、と思わんでもないですな。
25周年の御祝儀に獅子舞を一踊りした三喬さん。
ちゃんと習ぉた本格芸で、余興の仕事を募集中やそぉです。
なんかおめでたい事でもあったら声掛けたげてください。
ちょっとしたもんでしたで。
2002年08月19日14時31分32秒投稿
S.S☆「ツキモノ」☆ あや太郎
「綺麗な月だなぁ…。おやっ…?」
中秋の名月を見ているとき、頭の後ろ側から何かがポロッと落ちた。
何やら黒っぽい物が地面の上で蠢いている。虫にしては大きい。コウモリかムササ
ビでも飛んできて頭に当たったのだろうか。
「うーん、目が回る…」
何と、その黒っぽい塊が呻いた。これは只事ではないと、慌てて家から捕虫網を持
ち出し、その上にかぶせた。
翌日、保健所から見に来てもらったが、よく分からない。間もなく近所の大学から
生物学の学者が何人かやって来て、注意深く標本ケースに収めた。研究室で一同が観
察していると、またその黒い生き物らしきものが喋りだした。
「えーい、しくじった。捕まってしまうとはドジも良いところだよ。お願いだ。この
ままそっと逃がしてくれないかなぁ。それからオレがこうやって捕まった事も世間に
公表しないでくれ。そうでないとオレは仲間外れにされちまうんだよ」
黒くて手足も目鼻もよく確認できない「物体」は、意外なほど達者に喋った。
「い、いったい何なんだ、お前は?地球上にこんな生物は居ないはずだが…。ひょっ
としたら他の惑星から来たエイリアンか?」
学者も初めて見る物には弱い。こんな素人のような観測しかできないものなのだ。
「エイリアンと言えばエイリアンだし、地球のモノと言えば地球のモンだ」
「曖昧な存在だな…。一体お前は何者なんだ?」
「オレは…お前たちの言葉で言う〔ツキモノ〕だな」
「ツキモノ?それは何だ?」
「ほら、昔から言うだろう……狐がツイた、狸がツイた、怨霊がツイた、運がツイ
た…」「ふむ。そのツキモノか。じゃあ、我々に散々そういう悪さをしていたのはお
前の仲間か。ロクでもない奴だ」
「いや、一言にツキモノと言っても色んな種類があるんだ。いっしょくたにしないで
くれ。色々あるんだから」
「色々と言うと……狸タイプとか、狐タイプとか、幸運の女神タイプとか、貧乏神タ
イプとか?」
「いや、別に狸や狐の違いがあるんじゃなくて、言わば良性の奴と悪性の奴があるっ
てとこかな。つまり、気のよいツキモノに憑かれると、何となく気分が良くなって、
幸運にも恵まれたような気がする。逆にタチの悪いツキモノに憑かれると、万事不愉
快で運まで逃げてゆく…。まぁ大抵は気の持ちようさ」
「でも、狸や狐に憑かれてオカシクなったり死んだりした人間はどうなるんだ。気の
持ち様では済まないぞ」
「あれは俺たちツキモノとは関係無いんだよ。純然たる病気さ。怪我やビールスのせ
いで大脳が死滅すると、あとは小脳とか脳幹とか本能的な部分だけが残って動物みた
いな反応しか出来なくなる。あれが狐ツキ狸ツキの正体さ。詳しくは医者に聞いてく
れ」
「なるほど、そんなもんなの?」
学者も専門分野以外では単なる素人だ。
「それで、お前たちは何故今まで我々に知られてなかったんだ?」
「いや、目の前に出てこようと思っても滅多に出られないんだよ。それに下手に知ら
れたら、どんな見せ物にされるか分かったもんじゃないからな。なるべく表沙汰には
ならないように…というのが俺たち仲間の掟なんだ。だからこうやって人前に出てき
た事は黙っていてくれよ、頼む」
「ふーん、そんな生き物が存在するとは思わなかった」
「生き物と言ってもらえると嬉しいねぇ。なにせ俺たちは何かに食っ付いてないと存
在できない居候だからな。独立種として認めて貰えるかどうか不安だったんだ。今回
の事をきっかけに、今後は俺たちを一人前の種族として認定してもらえないだろうか
?」
「ふむ。私たちの一存では何とも言えないが、また学会に諮ってみよう。まぁそれだ
け達者に喋れるんだから充分新種として認められるとは思うけどね」
「いやぁ、めでたいなぁ。おっ、そろそろまた日が暮れてきた。どうだい、またみん
なでススキの原にでも繰り出して、祝いの月見でもしないかい?」
「祝いの月見?何で月見がお祝いになるんだ?そう言えば、お前は月見をしてた時、
現れたんだっけ。一体どこから出てきたんだ?」
「人の頭から出てきたんだよ。滅多にあんな事はないんだが、あんまり良い月だった
んで、少し気を緩めたら、コロンと落ちてしまった」
「なるほど、やっぱり頭から出てきたのか。それにしても月が好きな奴だなぁ。何か
お月様と縁があるのかい?」
「実は、俺たちの出身地はあの月なんだ。太古の昔、月の水や空気が無くなって住め
なくなったのを機に地球へ引っ越して来たって訳さ」
「それで半分エイリアンなのか。しかし妙な縁だなぁ。地球の軌道にへばり付いてる
月の生物が今では地球の生物に取りついて暮らしてるなんて」
「不思議でも何でもないさ。そもそもお月様は地球のツキモノなんだぜ。昔の人はそ
れをよく知ってたから、あの衛星の事を〔ツキ〕と読んだのさ。その月からやって来
た俺たちがツキモノになったって何の不思議もないじゃないか」
「なるほど、そう言えばそうだ…」
感心していると、ツキモノはピョンと収納ケースから飛びだし、ススキの原を飛び
跳ねながら、どこへともなく姿を消した。
それをボンヤリ見送ってから我々はようやく重要な標本を失った事に気がついた。
「しまった…ボヤボヤしてる内に逃げられたぞ」
「もし侵略目的のエイリアンだったら大変な失態だ」
「口車に乗せられたのか…」
「じゃあ、あの長い身の上は全部ウソだったのか?」
一同の考え込む表情が深刻さを帯びてきた。下手をすると歴史に残るような大ドジ
を犯したのかもしれないのだ。
「それに 古代の人々が月の軌道を知ってたのかどうか…」
知っていてくれ!そしてあれが人畜無害な生き物であってくれ!
……我々はもはやそう祈りつつ中秋の名月を見上げる外なかった。
(完)
2002年08月18日23時33分01秒投稿
S.S☆「会わす顔」☆ あや太郎
「立派な会社ですねぇ。こんな大会社の社長職に就く方はさぞや才覚のある大人物な
んでしょうねぇ」
「いやいや、大した事はないんですよ。これという才能もないしアイデアマンでもな
いし、かと言って猛烈社員でもないし、特に世渡り上手でもないし」
「まさか…。それじゃ運だけで社長になったとでもおっしゃるんですか?」
「いや、運じゃなくって、度胸だけで社長になったようなもんですかな」
「度胸だけで社長に?信じがたい話だ。そんな人事があるなんて考えられませんよ」
「でも、あったんだから仕方がない。本当に度胸だけでヒョイと社長に決まっちゃっ
たんだから」
「どうも信じられないなぁ。一体どんな経緯があったんです?」
「実は前の社長が急死して、新社長を選定するときに、有力な候補者たちが辞退し
合ったんですよ」
「それは奥ゆかしい。トップの座を譲り合うなんて今時美談だ」
「いやいや、本音は譲り合う気なんかないんですよ。ただ譲り合うポーズを取ったほ
うが印象が良いだろう…そして何度か推挙されてから、おもむろに社長就任を引き受
けよう…てな所ですか」
「何とまぁそんな駆け引きがあったんですか」
「また相談役連中も白々しく…他に立候補者は居ませんか…てなオタメごかしを言
う」
「ありそうな話ですねぇ」
「ところが、そんな見え見えの田舎芝居にウンザリした下っ端の管理職が一人いたん
ですな。そいつが突如立ち上がって…エーイ、じれったい。オレがヤル!…と宣言し
ちまった」
「まぁ、何とクソ度胸のある…」
「そうでしょう。役員たちもその勢いに押されたのと、引っ込みが付かなくなったの
とで、うっかり奴の社長就任を認定してしまったんですよ。それで今じゃそいつが社
長に収まってるって訳です。どうです、面白い話でしょう?」
「全くだ。それなら度胸だけで成ったようなもんだが……でも、まだ信じられない
なぁ。本当にそんな事があったんですか?」
「実話なんだからしょうがない。本当ですよ」
「もしそうなら、面白いが馬鹿馬鹿しい話だ。そんな社長の顔を見てみたいよ」
「いや、そう言われると社長も顔を出しにくいでしょうな」
「でも本当に本当なんですか?」
「疑い深い人だなぁ。本当に本当ですったら」
「本当に本当に本当?」
「本当だったら。じれったい人だなぁ。本人が言ってるんだから間違いないだろう
!」
(完)
2002年08月17日22時44分11秒投稿
たかさごの穴子
高校野球やってますなぁ〜。
ラジオを流して仕事して、聞くともなしに聞いておりますので、どこのチームの試合
であったか定かではないのですが、打者のヘルメットに当たるデッドボールがありま
した。
打者本人は「大丈夫です」と言い、そういう仕草もしていたようですが、高校野球の
規定ではヘルメットもしくはその付近(頭部ということなのでしょう)へのデッド
ボールだと、代走の選手が出て、本人は医師の診察を受けないといけない決まりのよ
うです。
診察の結果は「どこにも異常なし」だったそうで、それは良かったのですが、ここで
疑問が…。
年々、地球ごと暑うぅぅなってんのんちゃうか?というこの猛暑の中、頭へのデッド
ボールもさることながら、熱中症の心配もしたれよ!
と思ってしまう今日この頃です。
聞くところによりますと、屋外で気温が35度を越えたらスポーツしてはいけない(危
険度大・大・大!)そうです。
ぜぇぇぇぇったいに越えとるやろ!すり鉢状の甲子園球場のダイヤモンドなら!
勝ったチームの選手のヒーローインタビューで、気分が悪くて立ってられずに、座っ
て(へたり込んで?)インタビューを受けてた選手がいてました。
試合中は気ぃ張ってたんやろけど…血液ドロドロになってたんちゃうかぁぁぁ!
いくら日ごろ鍛えている選手達でも、35度越えてたら体温に近いぞ!
考えたれよ!主催者側!
もうボチボチ高校野球の球場も考え直したらどうでっしゃろ?ドーム球場もいっぱい
できてることですし…。
そしたら、タイガースも死のロードに出なくて済むし…。
えっ?なんです?タイガースの選手の皆さん。それだけは止めててか?
ごもっとも…。真夏の甲子園でデーゲームしたら、ほんまに○んでしまうかも…
(あっ!)。
2002年08月17日15時24分35秒投稿
S.S☆「度胸」☆ あや太郎
「いやぁ、立派な会社ですねぇ。その社長に成られたんだから、よほど苦労された事
でしょう」
「いやいや、私の場合は苦労もせずに来ました」
「じゃあ、よほど才覚がおありなんですね」
「いや、才覚や才能も特に無いと思いますよ。謙遜じゃなくってね」
「それじゃ、余程運が良かったという事ですか?それでもなければ社長になんか成れ
るわけがない」
「いや、特にそれも無かったですな。もし社長になった理由を探すとするなら、それ
は度胸でしょうかね」
「度胸?度胸の良さで出世したとおっしゃるんですか?」
「そうなんです。実際、度胸だけで社長になったようなもんですよ、ダハハハ」
「そんな事があり得るんですかねぇ。またまたご謙遜でしょう」
「いや、掛け値なしに度胸だけですよ。なにせ、わが社の専門は危険な産業廃棄物の
処理ですからね」
「まぁ、確かに危険物を扱われてはいますが、だからと言って度胸だけで社長の椅子
に就けるなんて信じがたいですね。それとも度胸がそれほど要求される理由が何かあ
るんですか?」
「あぁ、説明が遅れましたな。実はこの離れになってる社長室の地下に…不発の核兵
器が集められてるんですわ。ちょうど今も解体処理中でしてな。あんたも余り長く居
ないほうが良いですよ、ダハハハハ…」
(完)
2002年08月16日23時27分44秒投稿
【end of file】