
過去のドンドコ掲示板
2001年12月16日〜31日
こんにちは、会員番号245番です。
ああ今年もあとわずかです。今年思ったこと。
和泉元や(変換でけへんだれかおしえてくれー)のおかあさんってわにがわのハン
ドバックみたい。
うちの知ってる元宝塚のひと、今は60才位やげれど、叶姉妹を、干したみたいです。
良く解らない、介護保険。
近所のおばあさん達は、来てもらって介護支援というか、掃除、買い物なんか頼ん
でるんやけれど、植木きってもらったり、介護してもらってるおばあさんが、神戸か
ら奈良まで歩いたり電車に乗り継いでコーラスにいったり、未亡人のおばあさんが、
よそのおじいさんに車で迎えにきてもらって、どこかに行ったりする時に車に乗る所
迄さッさと歩いて行きますヘルパーさんが来る時は、杖をついています。これってど
うなってるんやろ、ヘルパーさんやってる知り合いにきくと、それはあかんらしいね
んけれど、金はらってるからいいんやというそうです。痴呆のでた母親のめんどうを
みるのが嫌なんで、6日デイサービスにつれってる人もいます。
私らが、お世話になれるかどうかわからないけれど。
上岡さんが、言ってた。クラシック界の巨匠の朝比奈隆先生がお亡くなりになりま
した。上岡さんが「先生は、お家でお風呂にはいってるときも、ジャジャジャジャー
ンですか?」と、きいたかたです。お答えは、「いつもそんな事は、有りません。」
とお答えになった先生です。うちのぺーさんが、尊敬してる指揮者です。1965年
に楽屋にお邪魔して以来の、ファンでした。御冥福をお祈りいたします。
2001年12月30日22時52分17秒投稿
S.S☆「詐欺結婚」☆ あや太郎
彼女が初めてやって来たのは、もう五年も前の事だ。
身障者となり車椅子生活を始めたばかりの私の所へ、たまたま知り合った慈善団体
から介助ボランティアとして派遣されてきた。
「外の空気を吸わなくちゃ駄目ですよ」と言って、車椅子を押しては外に連れだし、
挙げ句には電動車椅子まで買わせて、ついに私をアウトドア人間にまで変えてしまった。
実は最初の内、多少迷惑だった。外に出なかったのにもそれ相当の理由があって、
家の中で静かに暮らしていたほうが気楽で安全だったのだ。しかしまだ五十前の私を
見て、根が世話焼きの彼女は何とか私を社会参加型人間に改宗させたかったようだ。
まぁ世話好きでなければ、そもそも辛気臭い怪我人相手のボランティア活動などに首
を突っ込まないだろう。
そんな彼女に当然ながら私は好感を持った。丁度三十代になったばかりの彼女はま
だ独身で、かなり大手の銀行に勤めるキャリア・ガールでもあった。
そんな彼女を私は眩しい思いで眺めるようになった。そこそこ美人でなかなかの長
身で充分に肉感的な彼女に惹かれない男は居ない。
私もたまたま独身で、かつてはそれなりの遊び人で、怪我をしたと言っても歩行の
自由が奪われた以外は、幸いにも健康を維持し、経済的な余裕も充分にあった。
しかし仕事も充実し、縁談話にも事欠かないであろう彼女に、私の付け入る隙があ
るかどうか−−迷っている内に、彼女は転勤で遠地に去った。
無論そのあとも手紙や電話のやり取りは欠かさなかった。仕事に追われ、返事も滞
りがちな彼女に、それでもキメ細かく隙を見つけて私はさり気ない定期便を送りつづ
けた。そんなある日、彼女から転職したという知らせがあった。それは偶然また彼女
が私の地元に帰ってくるという知らせでもあった。何たる幸運…これこそ運命の赤い
糸…と私は独り快哉を叫んだ。 新しい職場に慣れるのに時間も掛かるだろうとしば
らく連絡を遠慮していたら、意外に早く彼女のほうから訪問を受けた。
気苦労からか少しヤツれ気味ではあったが、お洒落で魅力的な立ち居振る舞いは少
しも変わっていなかった。お互いの近況から転職の経緯へと話は進んだ。
「いわゆるリストラなの。仕事は好きだったけど居づらくなって…」
女性にとってはまだまだ不利な点が多い世の中なのだ。
「この不景気の折りに転職先が見つかったのは何よりだ」
君の能力あればこそだとお世辞も言いながら祝杯を上げた。
「拾ってくれた会社に恩返しもしなくちゃって頑張ってるところなの−−−」
自分が扱っている業務をパンフレットなどで見せてくれた。
それを見た私はピンと来るものがあった。それも悪い直観であった。
「ちょっと見せてくれないか−−」
内容を見た。一つ二つ彼女に確かめた。もう一度読みなおした。念の為にまた確か
めた。−−やはり違いなかった。それはパソコン通信による金融商品事業だった。
「キミ−−これは会社の新商品なのかい?」
「ええ。目玉商品なの。今はこれ一本に絞って全社員が必死で勧誘してるのよ。会社
の浮沈をかけてね」
どうやら小規模な金融事務所らしい。そしてこの商品には間違いなく見覚えがあっ
た。「キミももう何人か顧客を見つけたのかい?」
「ええ。でもまだ三人だけなの。もう少し様子を見て、好評ならアナタにもお薦めし
たいと思ってるのよ」
屈託なく笑った。人の好さが仇になる−−私はきっぱりと彼女に諫言した。
「キミ−−この仕事はヤメたほうが良い。いや、絶対にヤメるべきだ」
「えっ、何故?折角見つけた転職先なのに…」
「これは−−詐欺なんだ。複雑に仕組まれたネズミ講の一種だ。私も以前これを…い
や、これに引っ掛かった事がある。だからヤメるんだ。顧客は必ず損をする事になっ
ている。そして客と社員を残して、経営者は持ち逃げだ。社員にも返済義務が及び、
借金の山になる。下手すると一生かかっても返しきれないよ。すぐに手を退くんだ!」
一生かけても返済しようとするようなお人好しだから余計心配になった。
「そんな危険な事をさせられてたの。でも考えれば経営的に不明な点が多くて心当た
りはあるの。あぁ、どうしよう…。もうお客さんに預かったお金は会社の金庫に入っ
てしまってるし…」
それをほったらかして退社できない性格である事は私にも分かっていた。
「どれぐらいのお金だい?…全部で一千万くらいか。よし、それぐらいのお金なら何
とかしよう。キミはその金を客に返して、すぐさま退社しなさい」
「あなたが出すって言うの?でも、どうして?それに私はどうやって返せば良いの?」
「それはまたあとで相談しよう。話の様子だと、社全体ではもうかなりのカモを集め
たようだ。倒産、持ち逃げの日は近いな。返却が済んだらすぐに脱出だ−−」
職も行く宛も無くなった彼女はそのまま私の家に住み込み、いつしか二人は夫婦の
ような暮らしを始めるようになった。結果的には「金」で彼女を縛った形になってし
まったが、間もなく露顕したその金融会社の詐欺事件とその顛末を見れば、彼女もこ
の業界から身を退く潮時と得心したようだった。
あとになったが、なぜ私がこのネズミ講詐欺を見破ったのか−−そしてなぜ私の言
葉を彼女が信用したのか−−それは言うまでもなく、私がそのマルチ商法を考案した
本人だったからだ。
そして私の場合、考案者の特権で、取り敢えずは持ち逃げに成功した。
但しその代償に、嗅ぎつけた金融ブローカーたちとの死闘を余儀なくされ、何度か
車に撥ね飛ばされた挙げ句に両足をやられてしまった。
警察の取り調べも何とかゴマかし、私は首尾よくネズミ講の創始者とバレぬまま療
養生活に入った。そのとき隠しておいた金と交通傷害保険で一人前の家を構え、働く
ことなく結構な暮らしを楽しんでいたという訳だ。そして皮肉な事に、図らずも詐欺
商法に関わりかけていた女性の肩代わりをする羽目に陥ってしまった。
そう……私は立派な金融詐欺師なのだ。そしてそれを知った彼女も詐欺から足を洗
うために詐欺師の手に落ちた、そんな後ろめたい運命に甘んじてしまったのである。
しかしあくせくする事にも疲れた二人はこのへんで手を打つことにした。こんな金
でのうのうと男女二人仲良くやっているなんて凡そ人に話せる話ではないが、それで
も何か一つ「救い」を探すとすれば、それはたぶん、詐欺で稼いだ金で、もう一人本
職の詐欺師を出さずに済んだことだろう。一人の詐欺師が居て、もう一人の詐欺師候
補が救われたのなら、それほど悪どい詐欺でもなかったのではないだろうか。
そんな勝手な言い訳をひねり出しつつ、我々は今も二人水入らずで暮らしている。
−−いや、ご心配なく。決して贅沢はしていないつもりだ。真面目に汗水垂らして働
く世間の人々に恨まれるような暮らしは後ろめたくて出来るものではない。
それに、そんな派手な生活をしていたら、どこでボロが出るかも知れないではない
か。 そんな訳で我々は慎ましく目立たぬように一生を送る筈である。
だから読者の皆さんにもご安心を願いたい。
そう……二重の意味でご安心を。
(完)
2001年12月30日22時34分55秒投稿
S.S☆「やかましい!!」☆ あや太郎
二十一世紀ともなると、人間の生活はますます家電や電子機器に取り囲まれたもの
になって行く。前世紀から引きずってきた所謂「テクノ・ストレス」も特効薬とて見
つからず世に蔓延するばかり。挙げ句には電気製品拒否症という病気まで現れて、電
気のない暮らしに戻ろうという運動まで流行り出した。その結果、電気製品の売上も
ジリ貧模様で、各家電メーカーともその対応に迫られる事となった。
「何か良い手は無いか?電気製品を使ってもストレスの溜まらない方法を何としても
開発せねば我が社と我が業界の未来は真っ暗だ」
「どうでしょう……いっそユーザーのストレスを取ってしまうような家電システムを
開発販売してみては?」
「ストレスを生じさせないようなシステムかね?」
「いえ、厳密に言うと、ストレス解消を兼ねたシステムです」
「それが出来れば一挙両得だが、一体どんなシステムなんだ?」
「音声入力により、これこれこういう仕組みになってるんですが…」
「ふむ…行けるかもしれない。よし、一か八か、実用化してみよう−−」
早速その第1号機が売り出されると、先ず物好きが飛びつき、その評判を聞いた一
般大衆が我も我もと追随する。どうやら新家電システムは予想以上の効果を発揮し、
現代人のストレスを少なからず解消させたようだった。その証拠に、職場や戸外で声
を荒立てたり怒鳴ったりする人の数が激減した。そんな電化生活はこのように始まる
のであった。
「テレビ、ラジオ、スイッチ・オン!…ふむふむ、今朝一番のニュースはこんなもん
か。電子ポット、トースター、電子レンジもスイッチON。…よし、これで朝飯も済
んだ。今日は祭日か。久しぶりに読書でもしよう。おや、まだテレビとラジオが鳴っ
てる。邪魔だなぁ、人が読書してるっていうのに。融通の聞かないスイッチ・システ
ムだ。ほんとに近頃の機械は不便だね。情がない。洒落が聞かない。生意気だ。人間
様を何だと思ってる。こんなの使ってるからストレスが溜まるんだよ。おい、テレビ
もラジオも静かにしろ。そのうちひどい目にあわせるぞ。うるさい奴らめ。やかまし
い〜!」
ここまでボヤいたところで、きっちり家電すべてのスイッチが切れた。
「あぁあ、スッキリした。よしよし…」
思う存分罵りボヤき、怒鳴り散らしたところでOFFになるというセンサーがこの
装置のミソであった。部屋のなかはシーンと静まり返り、住人は何やら別世界に来た
ような爽快感を味わえるのだ。
どうやらストレス解消のコツは思い切り怒鳴る事と、電気製品を一斉にOFFにし
た時の解放感にあるようだった。
(完)
2001年12月29日23時16分30秒投稿
パンパカパーン、パンパンパパンパカパーン!1984年のハイライト。
「館ひろしゲスト出演」
上岡「今週のありがた迷惑ゲストは館ひろしさんです。こんにちは」
館「こんにちは」
雀々「館ひろしさんといえばね、今をときめく西部警察のねえ。見たことありますか
?」
上岡「あほいえ。日本人の世に生を受けてやで、テレビが各家庭に一台づつ普及して
るじだいにやで、見たことない」・・・
あ〜〜テープ起こしは邪魔くさい!キー叩いてテープ止めての繰り返し。上記の5行
書くのに20分かかった。この続きを聴きたい方は来年のドンドコリスナー新年会に
てテープ貸します。
ところで来年は新年会しまんの?
元姫路
市民
2001年12月29日12時56分19秒投稿
S.S☆「蜘蛛のように」☆ あや太郎
蜘蛛のような老人がいるという噂が流れてきた。
放送局の物好きスタッフも際物番組に持ってこいと早速駆けつけた。
「あのぅ…あなたが蜘蛛老人と呼ばれるお方ですか?」
「そう呼ばれているようじゃなぁ。わしも何でか良う分からんのじゃが…」
なるほど、見たところ極普通の老人だ。特に手足が長い訳でもなく、歩き方もゆっ
くりと、ヨボヨボとしている。一体どこが「蜘蛛」なのだろう?
「あのぅ…ひょっとして、糸を吐かれるとか…網を張るとか?」
「そんな特技は無いわい」
「それじゃ…名前がクモエモンさんだとか?」
「そんな古臭い名前じゃありゃせん」
名刺の名前もよくある名前だった。
「じゃあ、いったいなぜ蜘蛛のようなお爺さんなんでしょうねぇ?」
「さあなぁ、本人にもさっぱり分からんのぉ。…おっ、危ない…」
後ろから写していたカメラマンと老人がうっかりぶつかった。老人の顔が真っ赤に
なり、突然鬼のような形相で怒鳴りだした。
「危ないじゃないか。年寄りがケガをしたらどうする−−馬鹿もーん!」
余りの剣幕にカメラマン達は一目散に逃げ去ってしまった。
独り残ったレポーターがポツリと呟いた。
「そうか−−周囲の者が蜘蛛の子を散らすように逃げだすからか…」
(完)
2001年12月28日19時13分57秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
年末特別座談会「どぉだ?どぉどす?どないやねん?」
司会「激動の2001年もあと僅か。
今年も国内国外至る処で事件が腐っておりました。
本日はそんなこんなの諸事総括をテーマにお話頂き、来るべき2002年にむかつ
いて…もとい、向かっての展望を模索してまいろぉと思います。
では御出席の皆様です。
まず右から上方亀虫さん。」
……「でゃぁ、盛り上がってるかぁ?」
〈バキューン〉
司会「失礼致しました。
ぱっちもんが紛れ込んでおりました。
改めて御紹介致します。
上方亀虫さんです。」
上方「いやぁぁぁ、逢いたかったよぉ。」
司会「そのお隣が江戸亀虫さんです。」
江戸「てやんでぇべらぼぉめぇおととい来やがれってんだこの丸太ん棒ってとこで
どぉぞよろしく。」
司会「お三方目は女流亀虫さんです。」
女流「おおきにどす。」
司会「京のお生まれなんですね?」
女流「そぉどす。」
司会「今もお住まいで?」
女流「そぉどす。」
司会「石落として?」
女流「どす。」
司会「そして司会進行仲裁中卸は、産まれたまんま手付かずのデフォルト亀虫が勤め
させていただきます。
では賑々しく開会いたしましょぉぉぉ。」
上方「トイレ行ってこぉ。」
司会「こらこら、そんなもん本番前に済ましときなさいよ。」
上方「え?コマーシャルちゃうの?」
司会「ちゃうちゃう。
こんな与太な番組にスポンサーなんか付くかいな。」
江戸「ちぇっ、与太だってやがんの。やな言い方するじゃねぇかよ。」
女流「ほんにそぉどすな。
気高き京のもんがこんなん出てたら御所さんに申し訳おへんわ。」
江戸「今時御所だってやがら。肝心の御本尊は東京だぜ。」
女流「何おいやすの。御所さんと皇居では格が違うんどっせ。
なんせこっちは平安遷都以来千二百年の歴史がおす。
どこぞの田舎もんが御天子さん向うへ連れて行かはっただけどっしゃろ?
皇居なんぞ言わば東京出張所みたいなもんどす。」
江戸「なぁにおぅ、このあま。
黙って聞いてりゃぁ好き勝手な御託並べやがって。
生ぁぬかしゃがるとただおかねぇぞ!」
女流「何どす?その振り上げたお手は…。
あてを叩くとおいやすのか?
えぇえぇえぇえぇ叩いてもらいまひょ殺してもらいまひょ。
こぉ見えたかて日本一底意地の悪い京女の端くれどす。
東くんだりの痩せこけた地べた這ぉてる屁たれ草なんかに負けしまへん。
やれるもんやったらやっとぉみ?ほれ、やってみなはれて。
なぁんや、勢いのええのは台詞だけどっしゃないか。
東京の男はんて皆口ばっかり。
先の亭主がそやったわ。
結婚前はやれ年に一遍は海外旅行連れてってやるのダイヤ一貫目買ぉてやるの
銀座四丁目交差点に屋敷建ててやるの偉そぉな口たたいといていざ結婚したら
花屋敷でジェットコースター乗っただけやったんどっせ。
そんなかっこ付けばっかりの下衆下郎にこの宮が打擲できるのか?
狂牛病感染牛肉の炭疽菌まぶしでも食ろぉて往生しなはれ。」
江戸「もぉ勘弁ならねぇ。こぉしてやらぁ!
ポカポカポカポカ。」
女流「キャーキャーキャーキャー。
あぁっほんまに叩いたなぁ、か弱いおなごを。
おのれぇ、斯くなる上はこの清水焼の付け爪で
ツネツネツネツネ。」
江戸「痛て痛て痛て痛て。
くぉのぉぉぉぉ!
ポカポカポカポカ。」
女流「ツネツネツネツネ。」
江戸「ポカポカポカポカ。」
女流「ツネツネツネツネ。」
司会「お二人とも、本番中ですよ。生放送ですよ。やめなさいって!
あぁもぉええわい。こんなんほっといて進めよ。
それでは上方さん…。」
上方「トイレ行ってこぉ。」
司会「行きなっちゅうのに。
えぇと、上方さんは今年一年通して落語会感想文を書いておられましたね?」
上方「そぉだす。」
司会「それはなにか心に秘めた魂胆とか計略があっての所行なんでしょぉか?」
上方「最初はほんの思い付きだしてな。
確か1月16日の〈雀三郎みなみ亭〉の分が最初だした。
その折に…なんちゅぅんでっかな…魔が差したちゅぅのか仏に刺されたちゅぅ
のか、急にいきなり唐突に、こら一丁今年行く落語会全部の感想文書いてみた
れ思いまして…ま、ひとつには自身に対する確認とでも言いまっかな、何がそ
ない良かったんか、おもろかったんか、はたまたもぉひとつやったんか、この
辺りを文章…いやそない大層なもんやないんでっけど…頷きなはんな…目ぇに
見える形にしたらよぉ分かるんやないかと、斯様に思ぉた次第でごわりま。」
司会「なるほど。
しかし魔が差したというお言葉がございましたが、それは必ずしも嬉し楽しば
かりではなかったという事でしょぉか?」
上方「いやこれは単なる純文学的表現で。」
司会「どこがじゃ。」
上方「そら好きな事についてでっさかい楽しない筈はおまへん。
けど、ほれ、さして書く事の無い会もおまんがな。」
司会「はぁはぁ、無茶苦茶下手くそだったとか?」
上方「いや、下手やったらいっそ息の根止めたろかっちゅう位書けます。」
司会「結構嫌な奴ですね。」
上方「逆にもの凄ぉ良かった時なんかも書きたい事が次々湧いて来よりましてな。
そらもぉ収拾つかんよぉになりまんねん。
問題はその人なりに手慣れたネタを平均点の出来で演らはった時だす。
ほとんどの場合そぉでっけどな。
この人やったらこれ位出来て当たり前、こんなもんやなっちゅぅ時はこっちに
ネタがおまへん。
けど、全部の感想書くんやぁと決めとるもんやさかい抜かす訳にはいかん。」
司会「御自分に課した約束事が足枷に?」
上方「そぉそぉ、足貸せ手ぇ貸せお尻…。」
司会「やめぇ!
えーそれで初志貫徹成りましたか?」
上方「千朝さんのが一本抜けましたな。」
司会「あの人もかなり薄くなりましたからね。」
上方「要らん事言いなさんな。
7月の〈千朝落語を聴く会〉、これが先程言うた理由によるもんですわ。
書かんならん書かんならん思いながら時が過ぎてしもぉて新鮮味が無ぉなって
結局あきまへなんだ。」
司会「残念だったでしょぉ?無念だったでしょぉ?
後悔に胸掻きむしられるよぉな思いをなさった事でしょぉ?」
上方「いや、別に…。」
司会「あなたね、テレビ番組を何だと思ってるんです?
ここは無理からでも涙のひとつも落として安っぽいムード作りに協力するのが
視聴者と局と株主とプロデューサーと私に対する仁義でしょぉが。
白こい嘘泣きも出来ないのによく大きな顔してカメラの前に立てますねぇ。」
上方「すんまへん、慣れんもんで…。
ほな…ざ、ざ、慚愧の念に堪えまへん…うっうっうっううううぇ〜ん。」
司会「こらまた大仰な…。ほんまに不器用な奴っちゃ。
で、来年も続けていかれるお気持ちはございますか?」
上方「もぉやめときます。いや、絶対書かんのや無しに全部っちゅうのをね。
書きたい時に書きたいもんを思いっきり書く、これが男子の本懐だす。」
司会「なんという気持ちの良いお言葉でしょぉ。
私も歓喜に悶えるくらい快感…いや、同感です。
では上方さんにとって、今年の落語界最大のニュースと言えば何でしょぉ?」
江戸「そりゃぁなんつっても志ん朝師匠だろぉよ。」
司会「わぁ、青痣だらけ。女流さんの方はただ今歪んだ頭の復旧作業中です。」
上方「あのぉトイレ行きたいんでっけど…そろそろ限界やし…。」
司会「まだまだ逃さんで。ほれ一升瓶。」
上方「相撲場風景やがな。」
司会「それで志ん朝師匠ですが、急な事でした。」
江戸「そぉなんだよなぁ。
5月のTORII HALLの〈明鳥〉がおいらが観た最後の高座だったなぁ。
随分前から風邪が抜けねぇなんて仰っててねぇ。
今から思やぁ精のねぇお顔だったねぇ。」
司会「談志師匠も独演会で色々仰られてましたね。」
江戸「そぉそぉ、おもしれぇ話があるんだ。
こいつぁ感想文にゃ書いてなかったんだけどね。
談志師匠が志ん朝師匠の代わりに出た会で客に言われたんだって。
なんで円歌の代わりに来ねぇんだってね。」
司会「なるほど、よぉくよぉくよぉぉぉぉく分かります。」
女流「そぉどす。枝雀さんの時も思いましたえ。
なんでこの人が亡くなってあいつが…て。」
司会「冒頭で仕留めましたが。」
女流「今そこの廊下で蘇生したはりましたえ。」
司会「流石、見苦しいくらいしぶとい。」
江戸「だけどよ、これで志ん生、馬生、志ん朝の親子兄弟皆いなくなっちまってよ。
六代目の名跡も中ぶらりんだぁな。
寂しいねぇ。」
女流「ほんにそぉどすなぁ。
けど心配おへんえ。
いずれ相応しいお人が出てきはりますて。」
江戸「よく言っつくれた。ありがとよ。
さっきは手荒ぇ事しちまって済まなかったな。」
女流「分かりゃよろしい。」
江戸「やな女だねぇ。
謝って損しちまったぜ。返しちくんな。」
女流「す・ま・ん・こ・と・ど・し・た!けっ!」
司会「さて、やっと全員お揃いになった処で本題に…なんです?ディレクター。
もぉ時間が無い?さっさと終わってしまえ?」
江戸「なんでぇなんでぇなぁんでぇ。
なんでぇ月曜で散髪休み。
まだ肝心な事喋ってねぇじゃねぇか。」
女流「あてなんかツネツネだけどすがな。
こんなん御所さんに面目無ぉて…いやぁかなわんわぁ。」
上方「えらいもんや。ちょぉど一升あったがな。」
司会「当初のテーマからはほんの僅か逸脱致しましたが、あきわいわいと進めて参り
ました当番組。
皆様お楽しみ頂けましたでしょぉか?
ではお終いに一同で、取って付けたる御挨拶。」
江戸「午年だけに来年も。」
女流「貧貧泣くは必定か。」
上方「されどそやけど、なぁあんた。」
司会「襤褸は着てても心根は。」
江戸「初日に映ゆる錦鯉。」
女流「そりゃ無理矢理の空元気。」
上方「いえいえそぉではありませぬ。」
司会「寒空夜空の懐も。」
江戸「世間世俗の暗澹も。」
女流「なんぼのもんどす、ちょと負けて。」
上方「そんなこんなでまた来年。」
司会「ほな皆様方このへんで。」
全員「♪さぁよぉなぁらぁぁぁ〜 2001年。」
2001年12月28日12時39分10秒投稿
元姫路市民です。ついさっきM1のビデオ見終わりました。そこで各コンビの感想を長々と、しかも携帯で書き込みます。ちなみに敬称略です。
フットボールアワー
彼らのネタを見たのは今回が始めて。あの元ドレスのボケの方、さえないキャラを生かしつつ淡々とボケ倒したのがいい。
チュートリアル
桃太郎のパロディをやっていたがドラマ風になったとき顔テカッてる方ももう少しにくたらしそうにツッコんだらより強弱がつく。
キングコング
前から彼らの漫才の良さは、素人が使うようなしょうむないことを、動きとリズミカルに単語を連呼することによりおもしろく見せるところにあると思う。テレビやから笑えるけどラジオならキツイものがある。だからあそこまで笑いとれたら十分。
おぎやはぎ
元々コント中心にしているそうな。だから漫才師にしたらものすごく暗い。暗すぎるがために目をそむけるようにして見てしまう。キングコングとは対称的。
麒麟
なんといっても重低音の声を持つ、若井ぼん似の方に尽きる。ネタがすごい斬新。朗読という自分の声に合ったのを選んで正解。
アメリカザリガニ麒麟とは逆にここはツッコミの柳原に尽きる。「3オクターブのツッコミ」と紹介されていたがそれだけではない。ボケに一度ツッコんでからもう一度具体例をだしてツッコむ。この2段ツッコミが見事に決まっていた。やっぱりドライブスルーのネタは名作。
ますだおかだ
審査員のラサール石井が「吉本主催やのに松竹のますだおかだが選ばれるのか」と言うたのに対し、ますだは「松竹芸能のますだおかだです。不利!不利!」とつかみに使った。そこでしっかり観客をつかめたのが良かった。ただ時間の都合だろうか、おかだの葬式ネタのオチで自転車で棺桶運ぶますだに
おかだ「出前ちゃうわ!」
ますだ「だっておか持ち」
これが本来のオチなのに一歩手前で終わってしまった。それが残念。
DonDokoDon
今回はロボットタクシーネタではなかった。決勝においてたのか、あえてやめたのかは分からない。そのためにつかみは全然。「歩道と路地の間を歩いてきたやろ。顔に砂鉄ついてるで」髭うすい平畠に言うてもなあ。
ハリガネロック
ますおか、ドンドコが消えたためか、松口がものすごく勝ち誇ったかのように漫才していた。10番目で客が笑い疲れている時に一番毒のある漫才がでたから、客のくいつきもよかった。決勝戦も正当派でいけば中川家に負けるから、「クスリやってるで」と何回も言って毒を強めたんだろう。あとでアメザリがラジオで「録画ならあの漫才切られてる」と言うてた。しかしやしきたかじん、北野誠に慣れてしまった私のような人にはさほど毒とは感じなかったのではないか。
中川家
本命通り。さすがにトップバッターの時は余裕のカケラもなかった。しかし決勝ではいつもに近い最高のネタだった。
今回の大会で分かったのは、誰一人ドンと構えた人はいなかった。そのため緊張感が視聴者側にものすごく伝わった。そんな中でも爆笑させた10組(8組?)はやはりすごい漫才師である。
2001年12月28日00時43分45秒投稿
S.S☆「タクシー強盗」☆ あや太郎
二人のタクシー強盗がいた。
一口に「タクシー強盗」と言っても二種類ある。客のフリをして運転手を襲うのと
運転手が豹変して客を襲うのと。この二人は運転手に化けた強盗のほうだった。
今その兄貴分らしいほうが弟分に因果を含めていた。
「お前の成績は目に余る。ドジと言うのか、気が弱いと言うのか、折角金回りの良さ
そうな客が乗って来ても、襲えなかったり、逃げられたり…。いいか…今夜は最後の
チャンスだと思え。今夜首尾よく客から金品を巻き上げられなかったら、もうこの業
界から追放だ」
「えっ。追放だなんて…ひどいよ、兄貴」
「それが業界の掟だ。その代わり俺も手助けしてやろう。無線機にこのイヤホンをつ
ないで、マイクは付けっぱなしにしておけ。俺が車内の様子を聞きながら、勝負所に
なったらお前に指示を出してやる。俺が〔行け!〕と言ったら仕事にかかれ。分かっ
たな」
そんな訳で弟分はカモを求め、タクシーを流した。
地下鉄の駅に差しかかった辺りで、一人の老婆が階段から上がってきた。
ぎこちない仕種で手を上げている。車を停めてやると、ヨチヨチおぼつかない足取
りで歩いてきた。
小ざっぱりした身なりだし、これは良いカモかも知れない。
「この辺は良う知らんのだけど、○○通りの…このアパートへ行って頂戴な」
ほとんど白髪のショートヘアに丸眼鏡をかけて、モンチッチのような顔をした婆さ
んだった。
「はいはい、分かりました。この辺は初めてですね。しめた−−−いや、それじゃ近
道を探して上げるよ…ヘヘヘ」
もちろん人気(ひとけ)の無い裏道へと向かってゆく。
〔いいぞ、いいぞ、その調子〕
兄貴も満足げだ。
老婆は初めて見るはずの町並みにも関心無さそうに何やらボンヤリしている。
運転手も気になって思わず話しかけた。
「お婆さん−−見物に来たのかい?」
「いいや。息子に会いに来たんだわ」
「息子さんはずっと街で働いてるのかな」
「いいや、病気で寝たきりでのぉ…街に出てきたんだわ」
何やら分かりにくい話だ。多少ボケが来ているらしい老婆に弟分はまた懲りもせず
話しかけた。
「寝たきりで…街に出た?…ははーん、入院してるんだな」
「いんにゃ。村にも病院にも置いてもらえんので、アパート借りたんだわ」
まだ要領を得ない。ほっておいて、ぼちぼち仕事に取りかかろうかと思っていたら
兄貴のほうから指令が来た。
〔先を聞け〕
どうやら向こうも気になるらしい。
「アパートに住んで…元気にしてるのかい?」
「いんにゃ。怪我と病気してから寝たきりだ。いろんな人が親切に代わる代わる世話
に来てくれるんで何とか生きてられる。会社も国も助けてくれないでのぉ」
ようやく聞き出した所によると、どうもどこかの工場で働いていた時に事故に遭っ
たらしい。大怪我をして身体が動かなくなった上に、劇薬を吸って障害が残ってし
まったようだ。今はボランティアや通いの家政婦に世話されて細ぼそと暮らしている
らしい。
「そうか、そりゃあ大変だったなぁ。それで…どうする、兄貴?」
小声で聞いたが、〔指示を待て〕の返事だ。
「それで田舎の畑と家を売ってのぉ、こうやってカネを作ったんじゃ。今からそれを
息子の所へ運んで行くんだわ」
手に持ったカバンを見せながら老婆が言った。何も警戒していない…と言うより、
もうそれほどボケてしまっているようだった。
〔現金か…〕
兄貴の声が聞こえた。後ろめたいが、ここがチャンスと弟分も判断した。
「行きますか、兄貴?」
〔そうだなぁ…いや、もっと人けのない所まで…〕
兄貴も迷っているらしい。
〔もう少し、話を聞いてみろ〕
「話ったって…」
困りながらも、気になっていた事を訊いた。
「お婆さんは…家を売ったあと、どうするんだい?」
すると唐突に嬉しそうな顔で老婆が喋りだした。
「わしは…国の老人ホームに入るんじゃ。雨風がしのげりゃ御の字じゃ」
国の老人ホームなんて、快適なはずは無い。全財産を息子の残る人生に注ぎ込ん
で、自分は姥捨て山に行こうという訳だ。
「兄貴…どうするんだよぉ…?」
〔……〕
結局、返事も指示も来ないまま、タクシーは目的地の安アパートに着いた。
「おいくらですか?」
「あ、はい−−十ドルいただきます」
老婆はやや不自由そうな手で財布を開け、一ドル札ばかりで料金を払うと、またヨ
チヨチ歩いて建物の中にに入っていった。
「フー…」
〔フー…〕
無線の向こうの兄貴からもタメ息が聞こえた。
「兄貴、すまねぇ。結局パクれなかった」
〔いや、俺の指図も拙かったんだ〕
責任を感じているような声で応じた。
「結局、手に入れたのは料金の十ドルだけか…あれ?札が十一枚あるぜ」
〔何、十一枚?…よし、合格だ。一ドル、パクったんだからな〕
「ありがてぇや」
しかし弟分が車を出そうとすると、兄貴分が止めた。
〔罰として…帰りも乗せるんだ〕
「えっ?今度こそ巻き上げるのかい」
〔いや、もうカネは大して持ってねぇだろう。一ドルぽっきりで乗せるんだ〕
「なぜそんな事するんだい?」
〔一ドルが丸儲けになるからさ〕
「どうして丸儲けなんだよ?」
〔お前…あの婆さんから料金を取る気か?〕
「いや、取りたくなんかねぇや」
「じゃあ、一ドル丸儲けじゃないか。タダで乗せるところを、一ドル巻き上げるんだ
から…」
(完)
2001年12月27日22時00分14秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
12月24日 リサイタルホール「志の輔らくご」
出し物
●「買物ぶぎ」
●「ディアファミリー」
中 入
●「徂徠豆腐」
大阪では3回目。
例年のごとく東京以外は全席一人でのお努め。
んで、これも例年通り新作2席と古典1席でした。
「買物ぶぎ」
職人風の男が、風邪で寝込んだ妻の頼みで買物に訪れた薬局が舞台。
トイレの消臭剤、住まいの洗剤、歯磨きと歯ブラシ、風邪薬、トイレットペーパー…
男はそれぞれの商品について店員に疑問をぶつけます。
住まいの洗剤ユアペット(マイペットや無しに)。
バスユアペット、ガラスユアペット、フロアユアペット等用途別になってるにも拘ら
ず、すべてに有効な単なるユアペットも存在します。
「風呂を綺麗にしよぉとがんばってるバスユアペットに只のユアペットが、それ位俺
にも出来るぜ、なんて言ったらバスユアペットの立場はどぉなるんだい?」
風邪に有効な成分配合の新製品。
「その成分とウィルスが戦って勝った処を見た事有る?」
「2枚重ねのトイレットペーパーは1枚のを重ねたのとどぉ違うの?」
等々。店員は答えに窮します。
外から帰って来た店長も加わりさらに膨らんだ揉め事を見て、他の客が言います。
「あなた達バカじゃないの?ここにはバカにつける薬は無いの?」
店長が
「いえ、うちの商品は全部バカに効きます。」
メーカーに踊らされる消費者への皮肉ですな。
根問いもんの変形というとこで、まずは軽めに。
今年も噺と噺の間に趣向が凝らされてました。
高座の背景が板壁風なんですけど、そこに1席目に因んだ文章が浮かびます。
〈笠置シヅ子〉を〈かさおき…〉と読まなかった人や会場に流れてる〈買物ブギ〉を
知ってる人は志の輔さんより年上とか、〈ブギ〉て何?とか、よぉ分からんとか。
高座から目が離れんもんで、会場の雰囲気の維持と客席の集中力の散逸を防ぐという
効果が有りますな。
「ディアファミリー」
勤続30年のお祝いをしよぉと主人の帰りを待つ家庭に宅急便が届きます。
開けてみると鹿の頭の剥製で、狩猟が趣味の社長から贈られた記念の品。
洋館の壁に飾られてるよぉなもんとは思ぉたが、到底公団には似合いません。
帰宅した主人はなんとかどこぞの壁に飾ろぉとします。
が、四六時中鹿と目ぇ合わさんならん奥さんは抵抗。
誰かに貰ぉてもらうとか売り払うとかは主人が反対。
結局仕舞っておこぉとなったが、押し入れは箱のモザイクがごとき満杯です。
長男のサーフボードにスノーボード、長女の雛人形、奥さんの美顔器、扇風機、アイ
ロン、アイロン台、ミキサージューサー、餅つき器、ぶら下がり健康機具。
処分しろという主人になんのかんのと理由を付けて残そぉとする奥さん。
そして一番奥から大きな箱が現われます。
それは奥さんが若い頃必死で買い揃えたサザエさんのコミック本50巻。
青春時代はおろか今なお心の拠り所としてるもんなんですな。
二人はどっちを残すかで揉めます。
勤続30年の証しの鹿の頭か。
はたまた奥さんの宝物サザエさんか。
ついに話が離婚寸前までいった時、長男が双方共に満足出来る提案をします。
時は12月。
出入り口のドアの外側に据え付けて、クリスマスの飾りに見せるというアイデア。
トナカイと鹿の区別が付く奴はおらんやろぉという訳ですな。
鈴にリボンも飾って一件落着。
平和が戻った家庭にまたまた社長からの宅急便が…。
伝票の品名には〈鹿の胴〉とありました。
この時季しか演れん噺ですな。
自作の場合、ともすれば過剰な表現に陥る事があります。
志の輔さんはその辺りの塩梅がよろしいな。
押し付けがましゅう無ぉて、しかもしっかり味付けでけてます。
細かいくすぐり満載やけどもそれが本筋の邪魔にならん。
見習わにゃいかんのと違う?上方の自作専門の人。
中入の間、舞台にはほんまもんの鹿の全身剥製が登場。
もちろんサンタのトナカイ風の飾り付けで。
下諏訪の蕎麦屋〈八洲〉に実際飾られてるもんで、東京、広島、大阪と一緒に廻って
来たんやそぉです。
ちなみにこの噺の発想の原点は
「こんなのが家に送られて来たらやだろぉな。」
今年の古典は「徂徠豆腐」。
後に赤穂義士の切腹を将軍に進言した事で有名な荻生徂徠。
今はまだ無職無一文で書籍に埋もれるよぉな暮らし振り。
当然食べる事もままなりません。
たまたま荷を担ぉて通りかかった上総屋なる豆腐屋。
徂徠は買ぉた豆腐をその場でうまそぉに食べますが金はおませんな。
「今は細かいのが無い。貸しておいてくれ。」
翌日も同様。で、言います。
「細かいのが無いという事は大きいのも無い。」
上総屋は驚き呆れると同時に、極貧の身でありながら高潔の志を持つ学者に心引かれ
るもんを覚えますな。
なんとかこの人を支えてやろぉ、食料援助をしてやろぉ。
毎日握り飯を持って来るという上総屋に徂徠は言います。
「施しは受けん。貸しておいてくれ。
それには値段の分かる商売物が良い。」
「いいじゃねぇか。豆腐が飯で飯が豆腐で…同じ事じゃねぇか。」
がんとして首を立てに振らん徂徠。
しょぉ事無しに半ば納得した上総屋、翌日から毎日欠かさず運び続けますな。
しかも豆腐より色んな材料を炊き込んであるおからの方が…という気遣い様。
ところが風邪で20日ほど寝込んでる間に徂徠は何処ぞへ引っ越し。
上総屋は身を案じて心を傷めますがどぉにも行方が知れません。
時は巡って、美味しい豆腐は人気を集め連日早々と売り切れ状態。
今ではもぉ担ぉて売り歩く必要も無ぉなった上総屋です。
が、好事魔多し。
大火で店は焼失、夫婦は身ひとつで焼け出されます。
年の瀬を迎えて途方に暮れる二人。
そこへ訪ねて来た何処やらの頭と名乗る男。
言付かって来たと10両を置き
「当座はこれで凌いでくれ、店も年明けには元通りにするってぇこった。」
言い捨てて去っていきます。
上総屋夫婦にはとんと心当たりが無いが背に腹はかえられず、訝りながらも手を付け
ますな。
年が明けたある日、先日の頭と共に立派な身なりの人物が訪ねて来ます。
賢明なる皆さんはもぉお気付きでしょ?
そぉです。この人こそかつての貧乏学者、荻生徂徠その人でありました。
突然の出奔を詰る上総屋に、現在の身の上を語り多忙故の無沙汰を詫びる徂徠。
そして借りっ放しの豆腐おからの代金として、元の場所に家を新築したと告げます。
しかも豆腐作りの設備・道具が揃ぉて明日からでも商売ができる状態。
翌朝、上総屋は一番に出来た豆腐一丁を重箱に入れ徂徠を訪ねます。
二人が出会った時同様にその場で食べ始める徂徠。
「私には身寄りが無い。親類になってはくれまいか?」
恐縮しつつも快く承諾する上総屋。
「たかが豆腐の代わりに立派な家を建てて頂いて…。」
「いや、同じ事。家が豆腐で豆腐が家だ。」
志の輔さんは新作はもちろん古典でも〈今の空気〉を表現出来る人ですな。
現代人が語る江戸の古典噺。
もちろん江戸っ子に標準語を喋らせるなんてこたぁねぇんだよ。
けど、あんまり江戸臭さが無い。
その辺りがこちらでも無理無く受け入れられてる要因のひとつでしょぉな。
ほんでまた語る事自体がうまいし嫌味が無い。
ほんでまたオリジナリティも発揮でける。
ほんでまた客席に女性が多い。
ほんでまた若ぉて別嬪さんが…どっかにはおると思う。
冷めた目ぇとさらっとした語り口で温かい余韻を残す志の輔流落語。
紛ぉ事なき全国区ですな。
2001年12月27日11時39分43秒投稿
S.S☆「深呼吸」☆ あや太郎
時代の流れを読む事で有名な財界人がいた。八十も近いというのにカクシャクとし
て、まだビジネスの最前線で頑張っている。
「お元気ですねぇ。健康と若さの秘訣は何ですか?」
「取り立てて何もやってないんだが、唯一励行してるのは…深呼吸かな」
「深呼吸?それだけですか?」
「ああ。朝、昼、晩と寝る前に、軽い体操をした後、ゆっくりと大きく深呼吸する−
−それぐらいだね」
「へぇ…。それだけで健康を維持できるとはねぇ」
「いや、深呼吸は健康の為にやってるんじゃない。頭と感性をリフレッシュさせる
為…そして情報収集の一環としてやってるんだ」
「情報収集?と言いますと、深呼吸する仲間がたくさん居て、その人達からいろんな
話を聞くという訳でしょうか」
「いや、そうじゃない。大抵は独りで、裏庭や家の中で深呼吸するんだ」
「はて−−まるで分かりませんが、なぜそれで情報収集ができるんです?」
「心を静め、目を瞑り、全身の神経を肺の中に集中させながら、ゆっくりと息を吸い
込むと−−世間の声が身体の中に流れ込んで来るのが感じられるんだよ」
「世間の声?」
「そうだ。考えてもみたまえ。この大都会に淀む大気の大部分は、そこに住む人間の
吐きだした空気−−つまり呼気じゃないか。その呼気の中には人々の思いが一種の信
号や情報となって混じり込んでいるはずだ。恐らくは静電気のような形で電気信号と
なり、大気の各分子に吸着しているのではないだろうか。それを私は吸い込んでいる
んだよ。様々な思いが肺の中に流れ込んで来る。喜び悲しみ、悔しさ憤り−−−それ
を読み取れるようになったら、世の中の流れや人々のニーズを掴むぐらい訳ないじゃ
ないか。それが私の健康法でもあり、情報収集でもあるという訳だ。参考になったか
な…ハハハハ」
キツネにつままれたような気分で記者は財界人の邸宅を出た。無意識のうちに大き
く手を広げて深呼吸していた。排ガスだらけの空気は胸に重く、息苦しかった。
「現代社会はやっぱり…行き詰まってるのか」
記者は何だか納得できたような気分で深呼吸を繰り返してみた。
(完)
2001年12月25日16時57分19秒投稿
S.S☆「あたまごっち」☆ あや太郎
コンピュータ・ゲームも進歩したものだ。眼鏡を掛ければ立体映像が現れ、手袋を
着ければかなりの感触まで体感できるような装置がいつの間にか普及していた。
そんなゲームの中で私が今凝っているのが「子育てゲーム」だった。
飛んだり跳ねたり、冒険したり格闘したりのゲームにも疲れ、ふと我が年齢を振り
返るると早や初老と呼ばれるあたり−−バツイチで子供もいない人生に於いて、あと
やり残した事と言えば子育てぐらいであった。
と言っても別に硬い理屈や義務感で体験しようと思った訳でもない。単に家族や子
供を恋しく思う境遇になったというだけの事だった。そんなわけで、私も軽い気持ち
で子育てゲームを開始した。
最初は娘を育ててみようかとも考えた。よその子を見ていても可愛らしく思える
し、男の私から見れば未知の魅力も覚える。しかし子供が二十歳を過ぎ、独り立ちす
るまで育てるというルールからして、娘の嫁入り場面を想像した私は、とても育てる
勇気がなくなった。なにせ一年かがりで行う遠大なゲームだ。手塩にかけて育てた娘
を手離す場面にでも遭遇したら当分立ち直れそうにない。
そこで幾分気楽に男の子を育てる事にした。これなら要領も分かるし、自分の失敗
を基にアドバイスもしてやれる。それにゲームの中の事だから思い切った冒険もさせ
られるし、万が一死なせてしまっても諦めはつくだろうと考えた。かくして私は玉の
ような男の子を授かり、子育てに励み始めた。
最初は予想通り余り面白くはなかった。ミルクを飲ませたり、オムツを替えたりす
るだけなのだ。赤ん坊には無論何の芸もない。しかし一日当たり一時間、一年間続け
て二十歳過ぎにする訳だからペースは早い。半月ほどで満一才を迎えた息子は良く笑
い、良くいたずらをし、早くも私の生活に不可欠なものとなってしまった。
「触感」のある事が大きいのだろう−−−赤ん坊の柔らかい肌と体温を疑似体験す
るだけで、子供はすっかり私の一部になっていた。
可愛い盛りの幼児期を過ぎても、素直に育った我が息子は元気に幼稚園に通い、家
では腕白ぶりを発揮してくれる。
「元気が余ってるようだから、スポーツでもやらせよう」
水泳、サッカー、野球、剣道と一通りやらせたところ、人並み以上にこなしている。
「これは…自分が果たせなかったプロ・スポーツ選手にでも…」
私はゲームということも忘れ、まるっきりの親馬鹿と化していた。
高校生になった彼は学業も優秀だった。
「やはりスポーツ界より学者のほうへ…」
しかしそんな希望は腹に収め、私はあくまでも息子の自主性に任せる事にした。
彼は文武両道−−−学業とスポーツを両立させ、希望の大学にも入学。そして好成
績で卒業の日を待つところまで成長していた。
丸々一年の歳月が過ぎていた。平凡な言い方だが、長いようで短い一年間…いや、
親子にとっては長くて短い二十数年だった。
ゲームとは言え、もはや私の人生の一部となった「息子」を育てるのにはやはりそ
れなりの苦労もあった。ぐれないように。落ちこぼれにならぬように。もう子育てな
んかヤメようと思ったこともあった。しかし息子はそんな苦労を補って余るほど立派
な若者に育ってくれた。群がる女たちの誘惑攻勢−−父親の私がヒヤヒヤするほどの
持てぶりだったが、それも軽やかに清々しく切り抜けて、彼は利発で爽やかで逞しい
青年に成長して行った。
残る問題は彼の今後−−つまり就職問題だけだった。
無論引く手あまただった。一流大学で優秀な成績を収め、しかも運動部のキャプテ
ンを務める彼に一流企業はおろか、各省庁からも声がかかるほどだった。
「お父さん、どこに就職したら良いでしょう。助言をお願いします」
素直な息子は私に伺いを立てる。しかし私は彼に型にはまらない人間になって欲し
かった。「大企業や省庁のようなしっかりした所でなくても良い。親馬鹿かも知れな
いがお前には無限の可能性がある。好きな道に進みなさい」
「ありがとうございます」
そして間もなく自慢の息子は自分の進路を固めたようであった。
丸一年目−−−ゲームが完了するその日−−−ついに息子は私に巣立ちの挨拶をし
た。 そこには和服姿で畳に手を付く息子の姿があった。
「お父さん−−今日まで育ててくれて有り難う。わたし…ニューハーフになります」
(完)
2001年12月24日21時49分56秒投稿
『続.新ドラゴン怒りの惑星ーデュレクターズカット特別版ー』 ヘーパイ
今、テイラーが目にしている自由の女神像に昔日の華やかさは無かった。
それは最早朽ち果てた様に横たわり、海岸の砂に半ば以上埋もれた自由の女神の
むくろ、と云った有様の無惨な姿だった。何処とも知れぬ宇宙の果ての星であろう、
と思っていたこの猿の惑星が実は核戦争後の地球だったのだ。
観るに耐えない女神像を目にしたテイラーはこの事実を即座に理解した。そして絶
望のあまり我知らず天に向かって叫んでいた。
「とうとうやりやがったんだな、バカども地獄に堕ちろぉー!」
テイラーの悲痛な叫びは長く長く尾を引いた。その時この光景を眺めるようして高
台に一人たたずむ‘市’と云う名の座頭の姿があった。
彼は盲目ながらいっぱし以上の侠客で、恐ろしいほどの居合抜きの使い手であっ
た。‘市’の手にした仕込み杖がさや走った時にはあたり一面に血の雨が降る。
街道筋のばくち打ち達は、みな口々にそう囁き合っていた。 その座頭市の
研ぎ澄まされた感覚が今、彼に危険の到来の間近いことを告げていた。
その危険はとてつも無く巨大な破壊と殺戮をもたらすものだと彼に知らせていた。
‘市’の予感は現実となった。それはごうごうたる爆音を伴う無数の軍用機となっ
て彼方の空に姿を現した。
1941年、日本時間の12月8日、帝国日本海軍連合艦隊機動部隊はハワイ諸島
沖に到達。その航空母艦より350機の戦闘機、爆撃機、雷撃機をマウイ島のパール
・ハーバーに向けて発進させた。真珠湾への奇襲、即ち太平洋戦争の勃発であった。
当のハワイではそんな危機など露程も知らず、島民の意識は早くもクリスマスモー
ドに入っていた。砂浜には仮のステージが設けられ、その上ではアロハシャツに髪は
リーゼントの若者がウクレレをつま弾きながら甘い歌声を響かせていた。
♪〜♪レッツゴー ザ・ムゥーン ライト スイ〜ム♪〜♪
♪〜♪ドゥリームス カムトゥル〜 イン ブルーハワ〜イ〜♪〜♪
詰めかけた若い娘達はすっかり心を奪われ、舞台上の男にとろけそうな視線を送っ
ていた。 だが、そんな中で一人、男に背を向け遠ざかって行く女性がいた。
女はウェディングドレスを身に付けていた。
唐突にハモンドオルガンが祝福の曲を奏で始めた。男の心は悲しみで引き裂かれそ
うになった。彼女はあの祭壇で永遠の愛を誓ってしまう、傍らにいるカールとか云う
にやけた奴と。男は我知らず彼女の名を叫んでいた。
「エレーィン エレ−ィン エレーィン・・・・・!」
列席者全員が非難の目で振り返った。ロビンソン氏とミセス・ロビンソンは牙を
むきそうな表情をしていた。
だがそんな中、最後に振り返った彼女の、エレイン・ロビンソンの目だけは違って
いた。彼女の目は喜びに溢れ、潤んでいたのだ。
感極まったエレインの叫びが教会の中に響きわたった。
「ベーーーーーーーン!」
男は我が耳を疑って息を呑んだ。彼女はボクを選んだのだ。この土壇場とも云うべ
き場所でボクの名を、ベンジャミン・ブラドックの名を呼んだのだ。
そう思った時、ベンはすでに一階フロアまで駆け下りていた。途中でひっ掴んだ大
きな十字架を振り回して、行く手を阻むものを寄せ付けなかった。
彼はついに彼女のもとにたどり着いた。彼女も大きく腕を広げて彼を迎え入れよう
としている。二人は吸い寄せられる様に近づくとガッチリと抱き合うのであった。
もう大丈夫だ危機は去ったのだ。執拗に彼女の命を狙って追いすがったあの大男も、
今のタンクローリーの大爆発で燃え尽きた。
そう思った時、抱き合う二人の背後で燃えさかるタンクローリーの残骸がムクリと
揺らめく様に動いた。いち早く異変を悟ったサラ・コナーがそちらに恐怖の表情を
向けた。同時に小山が盛り上がるようにあの大男が炎の中に勢い良く立ち上がった。
奴はすでに大男の姿を留めてはいなかった。衣服も全身を覆う鎧の如き筋肉も全て
燃え尽き、その凶暴な原形を現していたのだ。
未来から来た殺し屋の正体は、コンピューターと油圧シリンダーで作動する骸骨の
様な姿のメタルロボットだったのだ。
サラの必殺をプログラムされたメタルロボは、高性能ズームレンズを装備したエレ
クトリック・アイの焦点を彼女の心臓辺りにロックオンしていた。
やすやすと逃げ切れよう筈もない相手だ。心を決めたサラ・コナーは正面から挑み
掛かる様に殺人機械と対峙した。
今やサラとメタルロボのあいだを遮る物は激しく燃えさかる炎だけであった。
裂ぱくの気迫を込めた女の声が夜を切り裂いて飛んだ。
「わたしが欲しければ、その火を飛び越えて来い!」
下履き一つの男は、その声に弾かれた様に二歩三歩と後ずさった。
そこで踏み止まると今度は炎目掛けて走りだした。炎の影が揺らめく地面を勢い
良く蹴ると若い男の体は軽々と空中高く舞い上がっていた。
ウォアチャー!!!!
精武門をバックに跳躍した李小龍。彼の演じる中国拳法家、陳眞が怪鳥音を
発して宙を舞ったところで、スクリーン上にその勇姿が張り付いて静止した。
静止した画面にかぶせて響く、日本軍、上海守備隊隊長の号令。
撃てー!!!
続いて銃声。
ダン・ダン・ダン・ダーン!!!
リフレイン.
撃てー!!ダン・ダン・ダン・ダーン!!
撃てー!!ダン・ダン・ダン・ダーン!!
リフレイン.リフレイン.音声だけが繰り返されるにつれて空中の李さんと、背景
の精武門の映像がセピア色に変色してゆく。このラストシーンを見て、
ああ、ー明日に向かって撃てーパクッてるなと思う。
ー メリー、クリスマス ー
2001年12月24日16時49分32秒投稿
S.S☆「幽霊総理」☆ あや太郎
臨時国会が招集された。政治・経済の両面で懸案事項が山積みだから…といういつ
もながらの理由で形ばかりのやり取りがまた何週間が開かれる事になった。
「何をやってんだか…」
首相官邸の守衛が呟いた。
「そんな言い方して良いの。誰か聞いてるかも知れないっスよ」
実直そうな運転手が辺りを見回した。
「いいの、いいの。今度の首相もボンクラだから」
聞こえるほど敏感になってみろと言いたげだった。
「そう言や、こないだの話し合いで、総理になったばかりだったね」
「近頃は、年に三回ぐらい入れ代わるからねぇ。俺も顔を覚えるのが大変だわ」
そうこう言っているうちに当の総理が出てきた。確かに貫祿も無ければ個性も無い。
「キミは…新しい運転手さんかね?」
「いえ。いつもの人が休みなんで、臨時雇いでっス」
「そうか、宜しく頼むよ」
別に警戒する様子もない。なにせ暗殺されるような首相なんか居ない国だ。
「普段は何やってんの?」
本当に政務で忙しいのだろうか…と思うような質問が来た。
「ずっとタクシーやってるんスよ。無事故無違反なもんで、時々こうして偉い人の送
迎なんかさせてもらったりして」
「ふーん−−。今後も頑張ってくれたまえ」
議事録を取り出して読みはじめた。ようやく仕事を思い出したようだ。
「国会の仕事なんて…大変なんでしょうねぇ?」
運転手が愛想で聞いたが返事が無い。見ると総理は居眠り中だった。
「やっぱり大した仕事はしてねぇようだ…」
国会議事堂が見えてきた。会期中は警官が多い。余りこのへんは走らないので何と
なく緊張した。正面の門を入り、専用の駐車場へ−−
「着きました」−−と後部座席を振り返って驚いた。何と総理の姿が掻き消えている
ではないか。ドアも窓も開いてないし、無論抜け穴など有るはずもない。
「なんてこった…」
客が消えたのを見るのは初めてだ。しかもそれが一国の総理大臣だなんて−−
驚いていると、迎えの議員や秘書たちがやって来た。
「おや、総理はどこだ?」
「どこに行ったのかね、運転手くん」
「ハ、ハイ−−すぐに降りられて、独りで議事堂の中へ…」
とっさにゴマかした。
「そうか。いや、せっかちな所のある人だからな」
「じゃあ、我々も中へ戻りますか」
「そうしましょう、そうしましょう」
大した騒ぎにもならず関係者は引き上げていった。
「こんなもんなのかねぇ」
ホッとしながらも運転手が呆れていると、立ち去る議員たちの間からこんな話し声
が漏れ聞こえた。
「ところで総理って…誰でしたかねぇ?」
「えーっと、確か今回は誰それさんじゃなかったかな?」
「あの人は去年もう成ってますよ」
「じゃあ、何の某さんだろう」
「そうでしたっけ…」
「まぁ、誰でも良いじゃないか。当番制みたいなもんなんだから」
面々を見送りながら運転手も思わず呟いた。「何とまぁ、幽霊よりカゲの薄い人間
が居たとはねぇ…」
議員たちが議事堂の建物に入ったのを見届けながら、運転手が車を出そうとする
と、目の前の国会議事堂が薄ボンヤリと揺れて消えた。
(完)
2001年12月23日21時32分21秒投稿
『猿の惑星ーデジタル編集版ー』 ヘーパイ
時折巻き起こる小さなつむじ風が、荒野の砂粒を容赦なく巻き上げる。疾駆し続け
る馬はそんなものを物ともしない。だが馬上のテイラーにはこの砂粒攻撃がひどくこ
たえた。荒い砂粒が顔面を襲うたびにテイラーは目を細め、頭を下げ、顔を背けてそ
いつらをやり過ごさねばならなかった。
馬上のテイラーは裸同然の格好だった。身に着けている物と云えば、腰の辺りに巻
き付けた何やら得体の知れないケダモノの革だけだった。
その格好で裸馬に跨り、どれほどの時間を駆け続けただろう。尻の痛みと馬の喘ぎ
様で相当の距離を走り抜けたと悟る事が出来た。テイラーは手綱代わりに手にした馬
のタテガミを自分の腹の辺りにぐっと引きつけ、馬の速度を落とした。
今、前方には丘の稜線が見て取れた。あそこに辿り着けば目的地である海岸が
見下ろせるはずである。テイラーは馬の脚を完全に止めさせると、グルリとその馬首
を180度巡らせた。そこには今テイラーと馬が駆け抜けてきた茫漠たる広野がただ
広がっているだけだった。追手の気配はさらに無い。
どうやら間抜けな猿どもから、まんまと逃げおおせたらしい。もう間近に迫ったあ
の海岸に到着する。そこにはテイラーが乗って来た宇宙船がまだ残されている筈だ。
あの宇宙船には、まだこの惑星から飛び立つだけのパワーは残っている。
脱出さえしてしまえばこちらの物だ、オレの発する救助信号をキャッチして地球か
ら
回収用の艇が差し向けられるだろう。
テイラーはそんな風に考えると、ほくそえんで今一度馬首を翻し目的地へと馬の向
きを定め、その腹を軽く蹴った。馬は疲れを知らぬげに軽快に駆け出した。
この吐き気がする程おぞましい“猿の惑星”ともこれでおさらばだ。弾む希望を胸
に抱いたテイラーを乗せた馬は、たちまちなだらかな丘陵の頂きに到着した。
そこからは目指す海岸が一望であった。目的の宇宙船は猿どもに回収される事も
無くテイラーが不時着した時のまま、そこに放置されていた。
海岸を目の当たりにしたテイラーはこの時、おやっ、と首をかしげた。
目指す宇宙船には問題はなかった。だが、その左側の少し離れたところにある人工
的な建造物が彼の視線を捉えたのだ。それは半ば海岸の砂に埋もれてはいるものの、
人をかたどった巨大なオブジェであることは間違い無いと見て取れた。
テイラーが不時着した時には、あたりに濃い靄が立ちこめていたため少し離れた所
にあるあのオブジェに気付かなかったのであろう。
しかし、今澄み渡った空気の中で輝く太陽の光に照らし出されたその巨大なオブ
ジェをテイラーははっきりと見ることができた。今は傾き、腰から下が砂に埋もれて
しまったそのコンクリート製の巨大な像。かつてはしつらえられた台座の上に堂々と
した姿勢で立ち上がり、辺りを睥睨して憚らなかったであろうその巨像。
天に向かって勢い良く突き上げられた右手には燃えさかるトーチが握られている。
頭には立派な冠を被り、それが放つ光を表現する様に沢山の尖った出っ張りがそこ
に植え付けられている。かろうじて砂に埋もれず顔をのぞかしている左手には、やた
らと分厚い書物がしっかりと抱え込まれていた。その像はテイラーには見間違え様の
無い代物だった。いや、おそらく世界中の人間が見知っているであろうあまりにも
有名な巨像であった。
今、テイラーの前で無惨に横たわり、虚しく砂の中に朽ち果てて行こうとしている
その巨像こそは、アメリカ合衆国の象徴とも云うべき自由の女神像であった。
何故ここに自由の女神が、地球以外の天体にあれが存在するのか
いやっ、有り得ない。あれは、地球以外には・・存在し・・得ない
一瞬にしてテイラーの全身から血の気が引いた。彼は悟ったのだ、何処とも知れぬ
惑星と思っていたこの猿の惑星は、彼の生まれ育った地球だったのだ。
どの様な現象が宇宙船に影響を及ぼしたのか、それはテイラーには分からない。
だが、航行中の宇宙船が複雑に絡まる時間軸を越えてしまったのは間違いの無い事実
のようであった。
そしてたどり着いた先が猿の惑星と化した未来の地球だったのだ。一体なにゆえに
全人類が愛して止まない地球がこれ程悲惨な未来を迎えなければならなかったのか。
思い当たる出来事はあった。彼が地球から飛び立つ寸前に見たTVのニュース。
それによると時の国防長官であったラムズフェルドが、議会にある提案を出してい
た。その内容はと云うと、テロ組織攻略のための新型核兵器の開発が必要。よって国
連での取り決めである新たな核兵器の開発の禁止条項、これをアメリカは破棄する。
ラムズフェルドのあの提案が議会を通過したに違いない。
あげくの果てがこのザマだ。テイラーが心の底から求めた懐かしい地球の、これが
成れの果てなのだ。
「とうとうやりやがったんだ、地獄へ堕ちろ・・!」
絶望しその場で泣き崩れたテイラーは呪詛の言葉をつぶやき続けるのだった。
どれ程の時が過ぎ去ったのだろう。泣き崩れるテイラーの肩にそっと手を乗せる者
があった。テイラーが力無く振り向くと進化したチンパンジーのジーラとコーネリア
スがそこに居た。この二匹はまだしもヒトに対して友好的だった。だがそれも今のテ
イラーにとっては、どうでも良い事だった。少し離れて学者ザルのオラウンウータン
が立っていた。その後ろからゴリラの軍団がぞろぞろと押し寄せて来ていた。
テイラーの虚ろな目がジーラとコーネリアスを見た。その刹那、二匹の猿は意外な
行動に出た。自分たちの顎の辺りをガッシとその手でつかんだかと見ると、いきなり
メリメリと皮膚を剥がし取ったのだ。驚くテイラーに追い打ちをかける様に二匹の猿
はさらに鼻、頬、額と顔の皮膚全体をはぎ取っていった。
二匹の猿の仮面の下から二人の東洋人の素顔が現れた。テイラーには馴染みの無い
顔だが、二人は車だん吉と轟次郎だった。オラウンウータンも二人に習って顔を剥い
だ。仮面の下からは玉川良一の顔が現れた。
ゴリラ達はセーターでも脱ぐように、全員がズボッと被り物を取った。ゴリラの面
の下から若い日本人がそろって顔を現した。みな一様に笑っていた。
その笑顔の若者たちの列の真ん中辺りに裂け目ができた。
その裂け目からニコニコ顔の一人の男が登場した。男はジーンズの上下を身に付
け、頭には赤い単車用のヘルメットを被っていた。呆然とするテイラーの前に歩み
寄ったその男は、腰をかがめる仕草をするとそのままの姿勢でテイラーに挙手の敬礼
を送った。男は野呂敬介だった。
「ねっ、ビックリした?驚いたでしょう。完全にだまされたでしょう」
野呂はそう言いながら背中に隠した白いプラカードを引っ張り出し、テイラーに見え
る様にゆっくりと高く掲げた。テイラーの視線が追ったそのボードの部分には、クッ
キリと黒いカナ文字で“ドッキリ”と書き記されていた。
誰が合図を出したのか、テイラーを取り囲んだ一同が声を揃えて言った。
「大・成・功ぉぉぉーー!!!!」
ーしまいー
2001年12月23日09時40分31秒投稿
S.S☆「虎狩り」☆ あや太郎
男は女優を追っていた。
恋の噂の絶えないスキャンダラスな美人女優−−−そして男はスクープの達人…芸
能ジャーナリズム界きっての腕利き記者だった。
今日も女優がリムジンで都内有数の豪華ホテルに乗り付ける。目的は映画祭の受賞
式…という建前だが、その裏で噂のプロデューサーと密会するに違いないと記者は踏
んでいた。
無論、他の取材者、レポーター諸氏も同じ思惑で会場の裏表に詰めかけ、イベント
後の密会をスクープしようと狙っている。
しかし記者の狙いは違っていた。
「二人は…イベントの最中に逢う」
そう睨んだのだ。
根拠は無い。記者としての勘だ。いや、実を言うと「勘」だけとも言えなかった。
「また虫の知らせか…」
記者がスクープの達人として売り出したのはこの女優が出てきてからだった。
それまでウダツの上がらなかった彼はたまたま関わったこの女優の取材を切っかけ
にたちまち腕利き記者の仲間入りを果たしてしまった。
それは偶然という以上に何か「惹かれるもの」を感じる出会いだった。
その時の女優の交際相手は大物ベテラン俳優−−そしてこのスクープは、まださほ
ど売れていなかったこの女優を一躍スキャンダルの女王へとのしあげた。
すっかり有名になった女優をまた記者が追う。
スクープを勝ち取る。話題になる。女優もまた売れる。正に芸能界らしい共存共栄
の関係が生まれた。
かくして女優はたちまちの間に有名スターとなり、記者もいつの間にかスクープ記
者として一流と評されるようになっていた。
ホテルへ入ると女優と目が会った。怒ったような怯えたような、それでいてどこか
くすぐるような視線を女豹のような女優の双眸が投げつけて来た。記者はいつものよ
うにゾクッとした。
仕事で彼女を追っている事は確かだった。しかしそれだけではないような気がして
いた。仕事を越えた何かを感じてしょうがないのだ。
「縁…かなぁ」
しかしそれは彼女への愛情とか親しみではないような気がした。そして一種の憧れ
と恐れがあった。何か切っても切れない「執念の糸」で結ばれているような−−それ
は女優のほうも同じらしかった。
映画祭はたけなわだった。取材陣も取り敢えずはステージに釘付けとなる。その
時、記者は舞台裏の控室にもぐり込んでいた。関係者以外立入禁止−−いつもながら
違法すれすれの行動だった。
「ここにやって来そうだ」
バンドマンたちの控室に身を隠しながらそう直観した。そんな「匂い」がしたのだ。
会場でファンファーレが鳴り響いた時、バンド用の控室には誰もいなかった。そし
て案の定、女優とプロデューサーが人目を避け、忍んできた。
さすがにカメラは使えない。ロッカーの中で耳だけ澄ましていると−−
「じゃあ来週−−蔵王で−−」
それだけの会話で二人は立ち去った。どうやら本格的なデートの約束らしい。
記者はその情報を元に、冬の蔵王へと乗り込んだ。
思えば二人ともスキーが趣味だった。ホテルはプロデューサーと交遊関係を当たれ
ばすぐに割れた。先回りに逗留して三日目、予想どおり二人が現れた。サングラスを
していても記者の目はゴマかせない。二人が早速ゲレンデへ出た。ゴーグルで顔も隠
せるという訳だ。見破れるものなら見破ってみろという堂々たる滑りっぷりだった。
しかし二人の後には、やはりスキーを履いた記者がピタリとついて滑っていた。
記者の目に、もうプロデューサーは映っていない。女優と自分は本能のままに追い
つ追われつしているような気がした。女優のほうもスキーの上からチラチラと後ろを
振り返った。追われているのに気づいたようだった。
ズデン…とプロデューサーが転んだ。女優がその横を滑り抜けた。待ってくれとい
うように手を振るプロデューサーを残し、女優は笑いながら下の斜面へと滑り降り
た。記者も知らずスピードを上げていた。
ゲレンデの終点近くで、突如女優は方向を変えた。何と正規のコースを離れ自然林
の繁る山の斜面にスキーを向けた。記者も迷わず山道に滑り込んだ。
木々の間を抜け、女優は見事に滑り続けた。記者も何度かよろけながら、それでも
何とかついて行く。もう滑れない地形になっていた。二人ともスキーを脱ぎ捨て、山
の雪の中を走っていた。無意識のうちに一対一の追いかけ合いになっていた。
何十bか前方を女優が軽やかに走っていく。人間離れしたバネと体力だ。記者も息
を切らせながら必死に追っていた。もう危険なほど山の奥に入っていた。
記者がカメラを構えた。シャッターを押そうとして、なぜか人指し指を「引いて」
いた。女優がピョンと跳ねた。人間業とは思えないジャンプだった。またシャッター
を切ろうとした。人指し指が動いた。記者は自分が猟銃を撃とうとしているような気
がした。
女優の姿が消えた。周囲を見回すが居ない。「逃げられたか−−」
そう思った瞬間に、頭上の大木の枝から人影が飛び下りてきた。
記者は無意識にカメラを向け、引き金を引いていた。
もちろん弾は出なかった。記者は飛び下りて来た人影に潰された格好で目を回した。
その記者の頭の中に呻くような声が響いた。「以前なら…撃たれてたわね」
薄れゆく意識の中で記者は一瞬遠い昔の夢を見た。それは雪深い山中を猟銃一つ持
ち、獲物を追う自分自身のイメージと、手ごわい虎の姿だった。
そのまま記者は気を失った。
記者が目を覚ますと例のホテルの医務室に寝かされていた。そばにはあの女優が居た。
「あぁ−−あんたが介抱してくれたのか?」
「まぁね」
「なぜだい?恨んでいるはずなのに…」」
女優は黙って笑うだけだった。記者はボンヤリする頭で何かを思い出そうとしていた。
「何か夢を見ていたような気がするんだが、よく思い出せない」
「ふふふ−−思い出さなくても二人の〔縁〕は変わらないわ」
「縁?」
記者が訊き返そうとした時、女優はもう部屋を出ていた。
戸口の所でもう一度振り返りながら、彼女の光る眼が言った。
「さぁ、これからも…追いかけっこよ」
(完)
2001年12月22日21時49分36秒投稿
サウスポー
英語で「私は左利きです」というのを“I'm left-handed”と言います。
俗に言う「サウスポー」は“左腕投手”あるいは“左利きの選手”という意味だそうです。
語源はと言うと、昔は球場の向きが本塁を西側とする向きだったからだとか。
マウンド上の左腕投手は南側を向いて、つまり South を向いて構えるわけですね。
一説には、「南部出身の左腕投手が多かったから」というのもあるそうです。
じゃあ野茂投手は何って言ったらいいんだろう?殆ど後ろ向きになって構えますか
ら、本塁が西だとすると…“イースター”か? 確かに「復活」しよったな、今年…。
Lefty は“左利きの人”または“左利き用の道具”という意味…。
スポーツ選手には多いようですが、一般人の方は大変ですね、道具を探すのも数少な
いでしょうから…。
私の知り合いに、家族全員「左利き」という一家がありますが、ご飯を食べるのもみ
んな左でお箸を持つから、ぶつからなくていいのかな?
だいたい、食器には「Lefty」は関係ないのか?どんな道具で苦労なさってるんで
しょうね?高原の薬屋さん…。
道具で苦労するのはスポーツ関係ですかね?ゴルフクラブとか…?。
自分に合うサイズの野球のヘルメットが無いとか?あっ!これは左利き関係無かった??
たかさごの穴子
2001年12月21日18時42分26秒投稿
S.S☆「自意識」☆ あや太郎
「あの子、近頃不機嫌ねぇ。声を掛けてもロクに答えもしない」
「もともと無愛想な子だったけど、あんなに愛嬌が無くっちゃ、余計ブスに見えるわ
ね」「余計なお世話かも知れないけど、あれじゃあ男も相手しないわよ」
「無愛想なブスなんて、ほんと、どうしようもないわね、ハハハハ」
「あんたたち−−−また私の悪口言ってたでしょ」
「何だ、ヨーコか。あんたの事じゃないわよ。他の人の話」
「ウソ!またゴマかしてる。ちゃんとヨーコって聞こえたわよ」
「何言ってんのよ。ショーコって言ったんじゃない。B組のショーコの事よ」
「怪しいわねぇ−−ゴマかしてるような気がする」
「しつこいわねぇ−この子。もう話すのヤーメたっと…」
−−−−−−−
「ねぇねぇ、あの子、やっぱりサッカー部の彼と出来てたのよ。一緒にホテル街歩い
てたってさ。やるもんねぇ」
「スポーツ選手は元気だから、進み具合が早い早い」
「いつの間にか、おなかが大きくたってたりして!」
「もう出産祝い?そんなお金ないわ。誰かに援助してもらおうかなぁ」
「友人のお祝いの為に援助交際するの?泣かせるような笑わせるような…」
「誰が笑わせるのよ。また私の悪口言ってたわね!」
「またヨーコか…。いいかげんにしなさいよ。誰もあんたの話なんかしてないわよ」
「ウソ!私が援助交際してるってデマを流してたんじゃないの?」
「何を訳の分からないこと言ってんの。話を途中から聞かないでよ」
「最初から聞いてるわよ。わたしがサッカー部の彼と出来てるって言いふらしてたで
しょ。んもう…ある事ない事…」
「ある事ない事はあなたよ。話がゴッチャになってるじゃないの」
「分かったわ−−ゴッチャにしてゴマかしてるのね」
「分かってないわよ。誰もあなたの噂なんかしてないったら」
「ヤだわ−−本人が来たら急にうろたえたりして…。また私をサカナにして楽しんで
るんだから」
「何言ってんのよ。あなたちょっと自意識過剰よ」
「ハイハイ、分かりました。どうしてもゴマかしたいのね。ほんとうにもう、私の事
ばかりネタにするんだから…」
−−−−−−−
「ねぇねぇ、昨日ミスコンに選ばれたあの子…確かに小綺麗だったけど、ちょっとケ
ンがあったわよね」
「そうよ。妙に謙虚ぶっちゃって、厭味」
「いいとこのお嬢様だから、ああいうタイプ多いのよねぇ」
「モデルとしては良いかも知れないけど、女優やタレントとしては問題ありね。親し
みを持てないタイプだわ」
「ほんと、ほんと」
「あんたたち−−また私の事、言ってるのね」「あら、ヨーコ−−今日は何の話?」
「だから、私が厭味で親しみを持てないって悪口言ってたんでしょ」
「あなたの事じゃないわよ…」
「女優やタレントに向いてないなんて…余計なお世話よ!」
「誰もそんな事、まるっきり…」
「モデルには良いかもなんて−−私はモデルになる気なんか無いわ」
「そりゃそうでしょう」
「人を良い所のお嬢様なんて呼ばないで。私は私なりに苦労してるんだから」
「まぁまぁね…」
「謙遜しすぎて厭味だなんて、よくそんな事が言えたもんね」
「だから、言ってないのに…」
「学業優秀でどこが悪いの?難癖付けるのはヤメて!」
「あのね、ヨーコ−−−落ちつきなさいったら。
私たちはミスコンの話をしてたのよ」
「私にミスコンに出ろって?迷惑だわ。間違って芸能界にでも引き込まれたら人生メ
チャメチャにされちゃう。分かった−−私の幸せを妬んで、私を不幸にしたいのね!」
「大丈夫よ、ヨーコ−−あなたはずっと幸せな性格だから」
(完)
2001年12月21日18時41分05秒投稿
今日は、亀虫ぷっぷです。
12月18日 ワッハ上方演芸ホール「年末ジャンボ落語会」
出し物
●「いらち俥」 桂 吉弥
●「隣の桜」 桂 吉朝
●「天神山」 桂 千朝
中 入
●「辻八卦」 桂 吉朝
●「鹿政談」 桂 千朝
ざこばさん出演の松竹新喜劇に産婆役で出たはった千朝さん。
ひとつ目はお手のもんの「天神山」。
へんちきの源助の溲瓶酒とおまる弁当。
この入れもんが新品なのかどぉか。
枝雀さんは
「さらでっか?やて。当たり前やないかい。」
と一言付け加えたはります。
が、大概この台詞は入りません。
へんちき通すのも楽やおませんな。
胴乱の安兵衛が安井の天神さんに嫁を頼む場面。
お腹を指して言いますな。
「器量好みはしまへん。女はここよりここ。なんです?腹筋の強い…違う違う。」
これは千朝さんの工夫。
これもお得意の「鹿政談」。
鹿の守役塚原出雲の物言いが典型的な時代劇の悪役風。
ここがこの日一番の大爆笑でした。
「隣の桜」…「鼻ねじ」は林家の芸。
染二時代の染丸さんに教わったんやそぉです。
そんな訳で枕の中で染丸さんの物真似なんぞをちょこっと。
雀々さんほど派手やなかったけど、そこはそれ、力通り堅実に。
ほとんどお耳に掛からん「辻八卦」。
まず易者の商売道具の説明。
伸子のおばはんは出たけど、ぽっぺんのへちゃげたよぉなもんは有りませんでした。
次に客寄せの為、周りの人々の在所商売名前などを洒落混じりに当てていきます。
「近江八景」はここまでを枕にしますな。
この噺では、続いて赤穂義士の生まれ変わりを当意即妙に答えていきます。
が、侍に大石内蔵助は?と尋ねられ、返答に窮した易者が苦し紛れに
「いまだ誕生仕りませぬ。」
もちろん仮名手本忠臣蔵の説明は枕で入念に。
吉弥さんの「いらち俥」、まずは平均点。
ただ最初の頼り無い俥引きと後の威勢の良い方の落差がもぉちょっと欲しい気も…。
またまた吉朝さんが、千朝さんの手の動きに付いて「変や」言うたはりました。
ひょっとしたらファンなのかも知れん。
2001年12月21日12時59分31秒投稿
まいど、丸浜です。
先日、娘達と都ホテルのランチバイキングに行った。
入り口でしばらく待ったけど、案内に来ないので勝手に入って、空いてるテーブルに
勝手に座って食べた。
「案内も無いとは、なんちゅう店や」と言いながら食べてたら、案内されて隣の席に
客が座った。
「なんちゅう店や!」では無く私等が「なんちゅう客!」やったンや。
2001年12月21日09時30分00秒投稿
S.S☆「栄養士」☆ あや太郎
不摂生が祟って、身体を壊し、食事制限を余儀なくされた。
病院では毎日のように栄養士がやって来て、食べっぷりをチェックしてくれる。
「野菜類の食べ残しが多いですねぇ」
「どうも苦手なもんで」
「繊維質が足りないとコレステロールを余分に吸収して、また脂肪が付いてしまいま
すから是非食べて下さい」
「と言われてもねぇ−−−病院食の野菜はどうも喉に詰まって食べられないんです
よ。火が通ってるのか煮すぎなのか、筋っぽかったり、固くて生っぽかったり…」
「あまり火を通しすぎると繊維質が破壊されますから程々に調理してるんですよ。そ
の代わり紫外線で消毒してありますから食中毒の心配はありません」
「中毒してもいいから旨い物を食いたいねぇ」「筑前煮なんか如何ですか。病院お薦
めの健康料理なんですが?」
「ゴボウやレンコンねぇ…。コンニャクも好きじゃないし」
「じゃあ、しょうがない−−繊維のたっぷり
入ったファイバー・ドリンクを出しときましょう。…肉類は食べてるようですが、魚
を残してますねぇ」
「小骨の多いのが苦手でね。特に病院食の魚は骨のほうが多いんじゃない?」
「カルシウムが豊富で身体に良いんですよ。でもそんなに食べにくいとおっしゃるん
なら、他の物で補いましょう。牛乳を一本増やしときます。おや、鶏肉も残されてま
すね。お嫌いですか?」
「牛や豚は好きなんだけど、鶏は苦手でねぇ」「これでは蛋白質が足りませんね。牛
乳を二本増やしときましょう」
「病院食にも飽きて来ましてねぇ−−好きなはずの牛肉も味付けが薄いから、どうも
喉を通りにくくって」
「それはイケない。じゃあ、牛乳をもう三パック付けときましょう。これで蛋白質は
足りる筈だ」
「おいおい−−−何本牛乳を飲ませるつもりだね?」
「牛乳は良質の蛋白食品ですからね、いくら飲んでも損はありません。牛乳で物足り
なければ、ヨーグルトでも…」
「消化吸収できればね…」
「あ…もし体質的に牛乳が合わないのなら、日本人の体質にピッタリの物があります」
「それに期待しよう」
「豆乳です。これを毎日五本ずつ出しておきましょうか」
「ゲップ…。腹がチャポチャポになるよ。第一飲み物ばかりでは頼り無い。もう少し
食べごたえのあるものを出して欲しいもんだ」
「それならチーズはどうですか。これも高蛋白で理想的な…」
「もう乳製品はイイよ。もっと歯ごたえのあるものを出して欲しいんだ」
「じゃあ、やっぱり骨の多い魚と固い野菜を出しときましょう」
「参った」
(完)
2001年12月20日21時30分45秒投稿
S.S☆「聞かれたからには」☆ あや太郎
江戸の町に夜が来た。やがて丑三つ時の鐘が鳴。間もなく、わらわらわらと数人の
黒装束の男たちが大川のほとりに現れ、辺りを見渡してから足を止めた。
「上首尾だった。盗んだカネを数えろ」
「五千両あります。おカシラの踏んだ通りだ」「その上、今夜も一人の人間も傷つけ
ずに盗み出せた。いつもながら、おカシラの指図には一片の間違いもねぇ」
「殺さず、犯さず、貧乏人からは奪わず−−この掟だけは破っちゃイケねぇ。お前た
ちも肝に命じておけよ」
「一生忘れやせん。それじゃ−−」
分け前を受け取ると盗人たちはどこへともなく姿を消した。
あとに残ったのはカシラと一の子分だけ。
「ところで、おカシラ−−今夜で本当に仕事じまいなさるんで?」
「そうだ。子分らを危ない仕事に巻き込むのはヤメにしようと思ってな。お前もそろ
そろ足を洗ったらどうだ」
「ハイ。おカシラがそうおっしゃるんなら、あっしも…。おや−−?」
草むらがガサリと揺れた。見ると頬かむり
した年寄りが一人、震えながらうずくまっていた。ここらで商売をしているそば屋
だった。
「しまった…聞かれたか」
カシラと子分が匕首を抜いた。
「あわわわわ−−−誰にも言わないから命だけは…」
「いや、俺たちはしょうがねぇが、知らずに逃げた子分たちに類が及ぶかも知れ
ねぇ。気の毒だが、死んでもらう」
「お、おらぁ耳も遠いし何も聞いてねぇ…。それにさっき、殺さず犯さずって言って
たじゃねぇか」
「こいつ、ちゃんと聞こえてるじゃねぇか。聞かれたからには、生かしておけねぇ。
殺さず犯さずは盗人の掟だが子分らを助けるためなら仕方ねぇ。お前を殺して、俺た
ちも自害する。それでおあいこだ。諦めてくれ」
「や、やだ。そんなの困るよ。いや、俺も年寄りだ。殊更に命が惜しい訳じゃねぇ。
ただもうしばらく生きてないと行けねぇ理由があるんだ…」
「何、理由とな?」
「実は、せがれ夫婦が流行り病で死んじまって残された幼い孫三人を…ヨヨヨヨ」
聞けば哀れな話だった。息子の借金を返しながら、孫を育て、またその中の一人が
病気がちで医者代も嵩む。七十近い年寄りが昼は人足、夜はそば屋、朝はシジミ売り
をして一家を支えているというのだ。
「ふーむ−−それは気の毒だ。いくら何でもこんな苦労人を殺すわけにゃ行かねぇ」
「本当ですねぇ、おカシラ」
「我々盗人の命を守る為に、こんな善人の命を取るなんて出来ない相談だ。たぶん逃
げた子分どもの顔も素性も知らないだろうし、捕まるとすりゃ俺たち二人だけだ。お
前さえ我慢してくれるのなら、見逃してやりたいと思う」
「あっしはようござんす。…親父さん、命拾いして良かったなぁ」
「あ、ありがてぇ。でも本当に助けてくれるのかい?あとで気が変わって、孫たちも
一緒に殺すなんて言われた日にゃ…」
「そんなむごい事はしねぇよ。お前さんちの苦境は良く分かった。あんな苦労話を、
聞いたからには仕方がねぇ。もう手は出さねぇよ」
「あ、ありがとうございます…」
そば屋は拝みながら走り去った。
「聞かせてもらったぞ」
一難去ってまた一難−−その時、木立の影から一人の男が出てきた。ひと目見て八
丁堀の同心と知れた。
「し、しまった。役人だ。今の話を聞かれたからにはしょうがない。親分、ここは
あっしが…」
一の子分が匕首を構える。しかし役人は意外にも笑いながら近づいてきた。
「今時、滅多にない美談だなぁ。殺さず犯さず−−そして立ち聞きされても結局命は
取らずじまい。噂通りの殊勝な盗人だなぁ」
「旦那は、あっしらの事を?」
「大方の察しはつく。悪徳商人しか狙わないあの連中だろう。本来なら早速お召し捕
りというところだが、あんな良い話を聞かされたからにはしょうがない。何も見な
かった事にしてやろう。その代わり、もう二度と江戸の町を荒らすんじゃないぞ」
「恐れ入りました。もう二度と…」
二人が挨拶をし、同心も引き上げようとした時、石灯籠の陰から人影が−−
「聞かせて貰ったぞ。近年に無い味のある話だ」
「あっ、これはお奉行様!」
同心も盗人も思わずひざまずいた。
「こんな不手際を見られるとは、申し開きもございません。この上は一命を以て…」
腹を切ろうとする同心を制し、奉行はニヤリと笑った。
「本来なら切腹申しつける所なれど−−こういう事情を聞いてしまったからには仕方
が無い。わしも一蓮托生ということで、咎め立ては出来んわのぉ」
思わず一同の間に笑いが起きた。
それでは、と、全員が引き上げようとした時、今度は川のほうから声がかかった。
「余も仲間にしてくれんか」
見ると屋形舟が一艘近づいてくる。そこから姿を表したのは何と、お忍びで町を視
察していた将軍様であった。
「こ、これは上様!…このような醜態を晒し、お詫びのしようもございません…」
全員、打ち首、切腹を覚悟して平伏すと、将軍は穏やかな声でこう告げた。
「このような良い話を聞いたからには罰する訳にも行かぬ。これはここだけの話じゃ。今
夜は何も起きなんだ−− 分かったのぉ、皆の者」「ハハーッ…」
上様の寛大さに一同がまた平伏した時、辻堂の中から、頭に手拭いを載せた町人が
一人、威勢よく飛びだしてきた。
「こりゃあ本当に良い話だ。近頃聞かない美談でござんすよ。これを書かない手はな
いや。早速、江戸の町中に知らせてやります」
「そういうお前は何者だ?」
「ヘイ−−今評判の瓦版屋でござい。こんな良い話を広めりゃ、お役人もお奉行様
も、上は将軍様まで株が上がるってもんだ。こりゃあ大評判になりますぜ。いやぁ、
めでたいなぁ−−−おや?皆さん、どうなすったんです?」
見ると、瓦版屋の周囲を役人たちと盗人が取り囲んでいた。それぞれが大刀や匕首
を抜きながら−−
「な、なにをする気です!折角、美談を聞いたっていうのに…」
「今度こそ…聞かれたからにはしょうがない−−」
(完)
2001年12月19日22時05分45秒投稿
替え歌綴り あや太郎
童謡で、まだノックちゃんと田代君をいらいましょう・
年末にふさわしく・・・「夏は来ぬ」です
♪風呂場まで 覗くチョビ髭、
ほとぼりが 冷めるどころか、
息の根 止まり、ヤツは逝!〜〜。
続いてはホンマに季節のモン…「きよし、この夜」です
♪さびし〜〜あの夜〜〜
灯り〜〜ともる〜〜
風呂場の前で〜〜しばし たたずむ〜〜、
信じておくれ〜〜、
他意は 無かった〜〜!
ついでに「赤鼻のトナカイ」も行っときましょう。
♪真っ赤な恥かく、粉買いさんは
今度もみんなの 晒し者。
また独り身の寂しさゆえに
覗きとクスリの 魔が差しました。
暗い夜道をトボトボと
歩いていたら 希望の火。
家族逃げても、元気にしてる、
ピッカリ坊やを 見習いましょう。
ナツメロ「二人は若い」です
♪「田代君」と呼べば、「ノックさん」と答える、
同じビョーキの 親しさよ。
「ノックさん」「あーいよ」
あとが無いのに、屈託ないない。
「おんなひとり」です―――
♪覗き〜〜済んだら 覚せい剤。
懲りぬ 疲れぬ 理由は・・・ヒロポン。
クスリでフラフラ、覗きムラムラ、
田代、鴨居で ブーラブラ。
あとは 楽しや、関係者。
芋づる捜査で 大物が・・・ズラリ。
最後は黒沢年男「時には娼婦のように」です。
♪時には 僧侶のように、
禁欲生活しなよ。
指パッチンなどしたり、
手翳し治療も で・き・る。
* 空々しい〜〜反省より、
地獄行きの 急降下が嬉しい、
ん〜〜ン〜〜、ン〜〜ん、んんんん・・・
オマケはナツメロ・ポップスです。
ニール・セダカ「恋の片道切符」ですーーー
♪チューチュー・タコ、タコかいな、
覗きに 盗撮、覚醒剤、ウウウウ〜
やった悪さのツケ――ブタ箱〜〜。
(代書:穴子 これぐらいは追い打ちかけとかんとね!)
2001年12月17日22時18分14秒投稿
替え歌綴り あや太郎
田代君以外のネタも少々・・・
先ずは『鉄腕アトム』のテーマに乗りまして―――
♪岡田 越えて〜〜ラララ、星の来たか〜〜。
良くぞ〜〜名古屋〜〜中日見限り〜〜。
心 熱し〜〜ラララ、過激な子〜〜。
乱闘は任せろ、鉄腕カント〜ク〜〜。
続いては森昌子「せんせい」です―――
♪淡い初恋、タイガース。
ついに来ました、やって来た。
同期の田淵が 用心棒。
仲間で固めて 大改造。
幼い頃には 虎ファン、
呼ばれ、たまらず、来た人は・・・タンタタタタタ、
仙一・・・パパッパパー。
仙一・・・パパッパパー。
星野 仙ちゃん。
おまけは去って行く人です・・・
やはり「サッちゃん」の節で―――
♪サッチーがね、刑務所 行くって 本当かな。
だけど 最初っから、胡散臭い、鬱陶しい、オバハンだったし、
逝って良し!・・・サッチー。
(代書:穴子 うーーん!私(個人的に星野さんファン)以外の虎ファンはどうなの?)
2001年12月16日16時53分23秒投稿
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