過去のドンドコ掲示板
2001年11月16日〜30日

S.S☆「傍観者」☆     あや太郎

 コメンテイターの目の前では、めまぐるしくニュースが流れていた。
「倒産のニュースです。老舗として知られる××商社が経営不振から、会社更生法を
申請しました。またもや寂しいニュースですねぇ、先生」
「経済界も厳しい時代ですからね。しかしまだ会社復興のチャンスは有るわけですか
ら、関係者の方々には頑張って欲しいものですね」
「続いてはスポーツの話題です。世界選手権での活躍を期待されていた○○選手が、
優勝を目前にして痛いミスを犯し、四位に終わりました。彼の年齢から言っても最後
のチャンスと思われるんですが、それにしてもここ一番に弱いですねぇ」
「残念でしたねぇ。でも引退なんて言わずに、この失敗をバネにしてもう一花咲かせ
て欲しいものです」
「続いては芸能ニュースなんですが−−泥沼の様相を呈していたA氏とB夫人がつい
に離婚という事になりました。銀婚式も間近でオシドリ夫婦と呼ばれていたんです
が、見かけによらないもので、A氏はよく暴力を振るい、Bさんはアルコールに逃げ
るという悲惨な暮らしが続いていたようです。驚きましたねぇ」
「キンチンドリンカーの上にパンチドランカーになってしまっては正に二重苦です
な。しかし人生は長いですから、まだやり直しは出来ますよ。それぞれの幸せな今後
を祈りたいものです」
「続いては尊厳死をめぐる問題です。九十九才の親が植物状態となり、もう生命維持
装置を外して楽にしてやりたいという子孫たちの訴えが最高裁により否決されまし
た。これについてはどうお考えですか、先生?」
「難しい問題ですが、やはり人の命は何よりも尊いですから、いかなる理由があろう
と生き続けさせて上げて欲しいですね。特に九十九歳という事は、もうすぐ百才にな
るという楽しみがある訳ですから、記録への挑戦という意味でも頑張って欲しいもの
です」
「これは重いご意見でした。さて、最後は特集です。あの大地震から一年たった△△
市の現状ですが、市民生活や地場産業はなかなか立ち直れずに苦しんでいるようで
す。先生も最近視察なさって来られたそうですが、如何でしたか?」
「そうですね、交通機関や主要施設は復旧しましたが、一般市民の暮らしは確かにま
だ苦しいようです。しかしこういう試練を受けた市民は精神的な逞しさを身につける
ものですから、いずれ力強く立ち直って行く事でしょう」
「本当にそれで大丈夫なんでしょうかねぇ、先生?」
「大丈夫でしょう。少なくとも私はそう期待しています。みんな頑張れば、何とかな
るはずだと。何とかなるはずです。また、そうあって欲しい。たからみんな頑張れ。
頑張って足らなければ、もっと頑張れ。出来るまで頑張れ。とにかく頑張れ。そんな
ふうに…頑張って…頑張って…頑張って…頑張れば…」
 と、力説しているところで目が覚めた。
「なーんだ−−−夢か」
 そう−−−すべて傍観者の〔夢〕なのだった。
                  (完)

2001年11月30日21時44分23秒投稿

S.S☆「瞼の母」☆     あや太郎

 私の母は教育ママだった。子供の頃は勉強や稽古事の事でうるさく言われて難儀した。
 大学に入って解放されるかと思ったら甘かった。市内の大学にしか受からなかった
のが運の尽きで、自宅通学の悲しさ、交友関係から飲むお酒の量まで指図された。
 就職しても自由の身には成れなかった。就職難の折り、母親の親戚の会社へ頼み込
んで入社したのが負い目になった。身内の気楽さどころか、余計な気を使う。母親も
以前に輪を掛けて処世術の補修授業に血道を上げた。
 末は会社を乗っ取る気で頑張れ!…と、私が望んでもいない夢を無理やり押しつ
け、大いにストレスを溜めてくれたものだ。
 ついに結婚する時が来た。案の定母親の介入は熾烈を究めた。私にも甲斐性がな
かったのだろうが、好意を持っていた女性達には「マザコン」と退けられ、他に持ち
駒もない身としては結局、母親の好み通り、将来の出世に備えた「お目付け役」のよ
うな女を嫁に迎える事となってしまった。
 何となく暮らし、何となく子供も出来た。恐らく私が志半ばで果てた時には、この
子らの誰かがあの母の「夢」を背負わされる事になるのだろう。
 気がつけば私には自分の人生が無かったかもしれない。子供の頃の思い出はガミガ
ミ言われた事ばかり。現在もガミガミ言われる毎日だ。それもこれも母親のせいなの
だろうが、それは世間に大声で言える恨み言ではない。「子供の為を思っての親心」
の一言で片付けられてしまうのだ。「将来の為、将来の為」と言われながら、昔も今
も将来も無さそうな私の方も、今更恥ずかしくて文句を言えた義理ではない。
 そんな訳で私の人生は泣き寝入りに始まり、泣き寝入りに終わってしまいそうだ。
そして私は、人生が空しくなってしょうがない時、母の姿を見ながら目を閉じる事に
している。
 なぜそんな事をするのか−−−
それは上と下の瞼をしっかり閉じれば、母の顔が・・・見えなくなるからである。
                      (完)

2001年11月29日21時30分12秒投稿

オーダーメイドの枕の注文に行ったら、担当の店員に「お客様、背中に丸みが
あるので、
普通より厚さの薄いほうが」といわれました。
  
  デブやからと言われたほうがよかった。

         淀川のへりくつ屋               

2001年11月28日11時08分44秒投稿

↓某大正区民さま

   咲く前につぼみのまま腐ってたら、どうなるの?

                       淀川のへりくつ屋

2001年11月28日11時08分42秒投稿

春なのに、つらい。人生じゃありませんよ、花粉症。
 おかげで頭クラクラ、鼻はグスグス、体はブクブク・・・ほっといて。

                    淀川のへりくつ屋

2001年11月28日11時08分40秒投稿

S.S☆「因縁請け負い業」☆     あや太郎

 とあるホテルの喫茶室で、小さな事故が起きた。ウエイターが客のズボンにコー
ヒーをホンの少しこぼしただけの事なのだが、この被害者が◯に暴の字の面々だった。
 そしてウエイターの足を引っかけ、事故を誘発したのも無論この面々だった。
「よぉよぉよぉ…この落とし前をどう付けてくれるんだよぉ?」
「いえ、あの…そちら様が不意に脚を出されましたので…」
「なにぃ…こんなに汚しといてゴマかす気か〜!」
 反論も無論計算の内で、○暴諸氏は因縁に勢いを付けてゆく。
「こんな躾の悪いホテル、見たことがないぜ。ちょっと支配人に教えてやらないと。
さぁ、呼んでこい。」

 強持て仲間が立ち上がりそうな剣幕でまくし立てる。ウエイターが支配人室のドア
の前まで駆けつけると、その中では支配人が、震える手に名刺を握りしめながら電話
のナンバーをプッシュしていた。
「もしもし・・・来てます・・・お願いします」
 間もなくホテルの正面に小さな赤い車が止まった。若い女性が一人、足早にホテル
へと向かう。
「遅いなぁ−−−支配人は何やってるんだ。こちらから出向いてやろうかぁ?」
 ○暴の一人が灰皿をゴツンとテーブルに叩きつける。
−−−割れそうなカップやグラスはぶつけない。破損させると脅かす前に警察が来て
しまうから、壊さない程度に、傷つけない程度に脅かすのがこの業界のコツだ。
「話は私が聞きますわ」
 さっき車から下りてきた女が、立ち上がりかけた○暴に面と向かって言った。
「な、なんだぁ、お前は?お前が支配人か?」
「支配人の代理です。さぁ苦情を聞かせて頂きましょうか」
 冷たい口調でキッパリと言った。無論○暴の癪に触らぬはずがない。
「小生意気なネェちゃんだ。俺たちゃな支配人に小言を言ってやりたいんだよぉ。お
嬢ちゃんは引っ込んでろ」
「話を聞くのは私だけです。私に用が無いのならさっさと帰って下さい」
 いよいよ挑発的だ。喫茶室の周辺には見物人の人垣が出来た。○暴たちとしても
引っ込みがつかなくなった。
「用が無いのはお前なんだよ。引っ込んでろい!」
 ポンと軽く肩の辺りを突いた−−−それが始まりだった。
「キャー!」
 けたたましい悲鳴と共に、女が吹っ飛んだ。隣のテーブルを飛び越え、椅子と一緒
に転げ落ちる。しかし、気丈にも彼女はすぐに立ち上がり○暴に突っかかった。
「何をするのよ!暴力を使ったわね」
「いや、俺は何も・・・」
「警察に突き出すわよ!」
「警察に?この野郎、言わせておけば−−」
 腕を掴んだ途端、また女が悲鳴と共に吹っ飛んだ。観葉植物の鉢を倒し、何かのガ
ラス片をまき散らしながら壁にゴツンとぶつかった。
「ひどい!皆さん、暴力団です−−−早く警察を呼んでー!」
 いつの間にか血だらけになった顔と破れた服を引きずりながら、尚も○暴に向かっ
て行く。従業員が電話に飛びつき、見物人もあちこちで携帯電話を取り出し始めた。
「ど、どうなってんだ?・・・おい、引き揚げるぞ−−−」
 強持ての一団も慌てふためいて、ついに逃げ出した。
「ごくろう様。いやぁ、こんなに真に迫ってるとは思いませんでしたよ。」
 支配人がようやく奥から顔を出した。
「アクション・クラブで鍛えてますから。それではこれが請求書です−−−」
 血糊らしいメイクを拭き取り、早替わり用の衣装にコートをはおると、女はまた足
早に赤い車へと戻って行った。
「それにしても色んな仕事があるもんだ−−−因縁つけられ屋か」
 名刺を見直しながら支配人が苦笑いしていると、ホテルの表で急ブレーキの音がし
て、ドスンという物音が続いた。
 何と、女の車の前で屈強の男が倒れている。どうもこの辺りで札付きの「当たり
屋」が、発進したばかりの彼女の車に体当りしたらしかった。
「イテテテテ〜−−−身体の骨がバラバラだ〜・・・」
「弟分の怪我をどうしてくれるんだよぉ!」
 二人組の当たり屋が凄い剣幕で車の中を覗き込む。しかしどうしたことか、ウォッ
と声を上げると、そのまま逃げだしてしまった。
そのまま逃げ出してしまったではないか。
 心配して支配人が様子を見にゆくと、車の中で又あの女が血糊と破れた衣服に身を
包み、ぐったりと死んだフリをしていた。
「もしもし−−−大丈夫かい?それにしても凄い演技力だねぇ」
「お仕事ですから。あ、そうそう・・・新しい名刺をお渡しするのを忘れてましたわ」
 新しく刷った名刺には、見慣れぬ肩書きと広告文が一行書き加えられてあった。
−−−当たられ屋、始めました−−−
                      (完)

2001年11月28日21時28分36秒投稿

落札仕事人、走る。     作・あや太郎

♪チャラリ〜〜モチャララ、ララララ、チャラリ〜〜チャリン・・・
「あっ、五円玉が落ちてる。今日び小銭でも大切にせんとね。ゴエンがありますよう
に、と。…うちは何にも安い事おまへんけどね…美味しい事も、得する事もおまへん
けどね…。アカン、アカン。実体は隠して商売しょう。ところでこの五円玉…オーク
ションに出したら十円で売れへんかしら」
「♪チャラリ〜〜。何を厚かましいこと言うてるの、ツムギっぺ。そんな甘い考えで
一人前の落札仕事人に成れると思てんの?」
「あ、山田五十鈴・・・いや、小商いの鬼・穴子姉さん。やっぱり私ってまだまだ甘
いかしら?」
「甘い甘い。蟻がたかるぐらい甘い。そもそも五円玉を十円で売ろうやなんてお話に
なれへん」
「やっぱり吹っかけ過ぎかなぁ」
「五万円で売りなさい」
「ヒャ〜〜、そんな無茶な…。送料さえ出たら御の字やのに」
「そんなセコイ根性でどうすんの。オークションはハッタリ勝負よ。プレミア、付加
価値を付けた者の勝ち。漆器を売るときでも『木やと思う』てな弱気なことを言うて
たらアカンの。たとえ紙のお椀に漆を塗ったモンやと思ても、白木のヒノキの最上級
品です…ゆうて言い張るんよ」
「そんなウソ言うてバレへん?」
「相手も漆を剥がしたりはせんやろし、自分も確かめた訳やないから中身は知らん。
どうや?…ウソなんかついてへんがな」
「ふーん、やっぱり勢いが大事なんやね」
「例えば私が注文した総ゴムの腰巻・・・あれもモー娘の後藤真希愛用の品と言うた
ら、飛びついて来よるで」
「せやけど、バレたら?」
「その時は・・・あっ、ご免ご免。ゴマキと腰巻を間違えた…ナハナハナハ…言うて
ゴマキカシ・・・言うたりして、これなんか三つも掛けたぁる」
「謎掛けやないねんから。サイズも違うし、匂いも違うし、まぁこれは自主規制させ
てもらうわ」
「まっとうな商品だけで儲けようなんて思たら甘い。今時、法律ギリギリの商品でな
いと、みんな買わんよぉ。例えば今ちょっと流行りの…人間辞めさす白い粉とか」
「ゲッ!覚醒剤まで売るか?それとも炭ソ菌?」
「それは買う人が好きに想像したらエエがな。売るのは白粉なんやから」
「オシロイ?それが何で人間辞めさす粉やの?」
「こないだ、見合いに備えて散々白粉ハタいたら、皆に言われたえ。…人間とは思え
んなぁ、ちゅうて。もう大笑い」
「まぁあ、オシロイでオモシロイ顔!さすがは穴子姉さん。シャレてるわぁ」
「気分悪いわ。帰ろ・・・」
「あっ、オーダーメイドの総ゴムの御腰…。今更売りつけにくいから、白い粉と一緒
にオークションにでも掛けよ〜〜っと」
「あぁ、ちょっとお邪魔します。お尋ねしたい事がありまして」
「あら、白い粉やったら、入札で競り合うて思い切り吊り上げてから買うてね。とこ
ろで、あんた、どなた?」
「警察の者です」
「ヒエ〜〜…。い、いえ、あの・・・♪あ〜の粉の白い色は〜…白粉の色〜〜。決し
て怪しいモノではございません」
「いや、そんな話題やなしに・・・亡くなったお父様の事でお聞きしたいんですわ」
「あらぁ・・・父が生前に一億円拾って届けてたのが半年経って娘の私のモノに、と
か?」
「いや、そんな美味しい話ではないんです」
「ほな・・・大阪の土地の半分は実は父のモンで、それをスックリ娘に…?」
「浜村淳やあるまいし、そんな土地持ちのワケがない!もっと現実的な問題でし
て…」
「と言いますと?」
「お父上の死因について些か疑惑がこれあり候」
「ドキッ…」
「どうも息の根を止めた人物が居たような気配がこれあり候」
「ヒヤリ…」
「そこで、つかぬ事をお聞きしますが・・・親子の仲は良かったんですか?」
「ま、まぁ、普通かな」
「その割にはケロリとなさっておられるようですが…?」
「顔で笑って心で泣いて、これが薬剤師の生きる道・・・まぁ、仕事は違いますけどね」
「臨終の瞬間に、ガッツポーズを取った…という噂は本当ですかな?」
「失礼な。もう涙、涙、涙、涙の出船でした。連絡船と言わん所がオリジナリティ」
「何やら危篤の病床で、替え歌ごっこに興じていたとか?」
「それは…周りの人たちに気を遣わさんようにとの配慮やないですか。そこでこらえ
にこらえた涙が葬儀の時に滂沱の如く…」
「香典集めですか」
「まだ受け付けてまーす。そんな小ネタで悲しみに打ちひしがれた自分自身を慰めて
いる私です。ああん、淋しい、悲しい、ホッとした」
「これが参考写真なんですが・・・酸素吸入のチューブが押しつぶされておるんです
よ。心当たりは?」
「あ・・・それは、数え切れないほどの見舞い客が、足元のチューブをうっかり踏ん
だんちゃいますかねぇ」
「娘さん・・・病室の酸素チューブは壁から出てるんですよ。足で踏むようなところ
にはありませんな」
「あっ、ほんなら・・・看護疲れの、か弱い私がヨロヨロっと壁にもたれかかった
時、うっかり手で押さえてしもたんかも」
「それぐらいでは破損しません。あの潰れ方は何か鈍器のようなモノでないと」
「あっ、思い出した!…実は高原に住む薬屋さんが是非とも父をネタにして替え歌合
戦をしたいと押しかけまして、その時ちょっとした座興を見せはったんです」
「ほほぉ、そらどんな…?」
「椅子に座ってた薬屋さんが替え歌を考えながら、腕組みして後ろに凭れ掛かったん
です。ところが椅子には背もたれが無い。ゴロリと後ろ向きに転がった拍子に、何と
向こう脛で酸素チューブに蹴りを入れたんです」
「そらまた、お連れさんは御器用な。よっぽど身体が柔らかいんですな」
「ハイ、そらもう。腰さえ痛めてなければ、自分のアソコをくわえられる程」
「それは、いかがわしい」
「いえ、加古川市の在です」
「ふーむ、その人物も怪しいが,共謀の可能性も捨てがたい。しっかり裏を取ってか
ら、またまたお邪魔、パジャマでお邪魔。今日はこれぐらいにしといたらぁ。バイバイ…」
「あんな捨て台詞言うから近鉄負けるんやんか。せやけど、これはヤバイ。調べられ
たら、あの前後に散々替え歌で遊んでた事や、以前から殺人カチカチパンをぶつけて
た事や、昔、木に登らせて、片手を離して〜・・・言うて遊んでた事がバレてまう。
そうなる前に・・・せや、あの刑事さんを『仕事』にしてオークションに掛けよ。
ピッポッパッ・・・刑事を一人始末してください。一万円でお願いします、と・・・。
・ ・・おかしいなぁ。入札者がおらん。そらそやわなぁ。いくら不景気でも一人一
万円でヤルっちゅう物好きは少ないわ。…二万円にしていたら良かった。いやいや、
素朴なボケ入れてる場合や無い。名誉が懸かってるんやからね。こうなったら高原の
オッタンも巻き込んだろ。ピッポッパッ・・・喪主も主、おとうさんですかぁ?」
「はい、大阪はじめです。あぁ、大阪時代は良かった…。誰かと思たら駄ジャレー婦
人やないかいな。喪主喪主、お宅のお父さんは?」
「ハイ、大阪おわりです…チャンチャン。そんなこと言うてる場合やないよ、オッタ
ン。あんたも疑われてるんやで。かくかくしかじかで、あんたが酸素チューブを蹴飛
ばした事になってるんやから」
「見舞いにも行ってないのに何という濡れ衣であらう。訴えてやるっ!…コーヒーは
やっぱりUCC」
「なんぼか貰うてんのか?…せやけど濡れ衣と暢気にも構えとられへんでしょ。替え
歌仲間やねんから、もう一蓮托生みたいなもんやんか。大阪に出てきて一緒に仕事し
てもらうよ。
ガチャッ!・・・」
 かくして某日、夜の闇に紛れて二つの影が大阪府警に忍び込んだ。
刑事「どっからどう見ても怪しいなぁ。葬式の後、喪主の目尻から大量の茶殻、
   茶カスが検出されてますし」
検察官「在の健康ランドでも、謎のバック転ひざ蹴りの特訓に励む人物が
   親子連れに目撃されてますな。またその背後には、もーっと怪しい
   リスナー同好会の影が見え隠れしている。これは新種のカルト教団かも」
刑事「それどころかテロ集団かも知れませんでぇ。
   この際、一網打尽にしといたほうが宜しいな」
検察官「それがいい、それがいいと言いました…丸!」 
 ♪チャラリ〜〜・・・
つむぎ「あぶない、あぶない。すっかりバレてるがな。
   一刻も早よう始末しよ、オッタン。さぁ、行きなはれ」
OTC「いや、行きたいのは山々なれど、なんせ腰が痛うて、
   なかなかイキそうでイケん」
つむぎ「ほんなら、このキャスター付きの風呂用手桶に座りなはれ。
   さぁ、押したげよ。エイヤ!…行ってらっしゃーい」
 ♪チャラリ〜〜…ズルズル・・・・
刑事「ギョギョ・・・手桶に座ったオッサンが滑って来ましたで!」
検察官「お前は何者だ?…おっ、こっちに背を向けて止まったと思ったら…
   ひっくり返った!」
 ツルッ・・・ゴロン・・・ボカン!
検察官「ぎゃああああ、やられた!〜〜」
刑事「何と、バック転ヒザ蹴り!・・・おっ、今度は不気味な笑顔を浮かべた
   ブチックの女店主…」
つむぎ「総ゴム殺法、受けてみよ!」
刑事「何や、この酒くさいオッサンくさい御腰は?
   こんなユルユルのゴムでは首も絞まらんぞ」
つむぎ「あっ、その言い方は穴子姉さんに失礼やわ。
   薬屋さん、トドメを差したって」
OTC「よっしゃ。山田五十鈴…いや、穴子姉さんの恨みも込めて、
   本腰入れた必殺の蹴り…!」
  ―――ツルン―――ドテッ―――ビシッ!
刑事「うーん、眉間をヤラれた〜〜。
   犯人の…顔が割れたら…頭割れ、一茶。コテッ」
つむぎ「さすがやねぇ、薬屋さん。いつもながらの見事なバック転!」
OTC「アソコもくわえております〜」
  わーわー言いながらもソソクサと闇に消えてく落札仕事人。
・ ・・走れ、ツムギ。超えろ、郵送費!
  ――――――完――――――


(代書:穴子  あ、あのねぇぇ……)(う、上手い!)

2001年11月27日21時46分58秒投稿

『やぶにらみ映画情報』
                  細川玉代
* スウィート・ノベンバー
   あ・あ・あ・阿呆くさー あほくさー アホ草ー 。
   金はエエ(金なら あるねん、腐るほど)嘘ですよ、言うのは自由。
   時間返せ。  キアヌよ、君はそれでエエのんか?
   今年ワースト1決定確実。 あーぁ、もういっぺん言うとこ、アホくさ。
* ムーラン・ルージュ
   はい、はい、はい、おつかれさまでした。以上。
*ブリジット・ジョーンズの日記 
   パクリで言わせてもらいます。
   「戸籍は真っ白、未来は真っ黒」な B嬢に エールを送る。
   ヒューグラントは悪役が良く似合う人生そのまんま。

2001年11月27日11時21分12秒投稿

今日は、亀虫ぷっぷです。

11月24日 Team火の車稽古場 「第3回ごかいらく落語会」

出し物

●「開口一番」    桂 九雀(小佐田定雄 作)
●「禁断の宴」    桂 小春団治(くまざわあかね 作)
●「のこぎり演奏」  サキタハヂメ

  中 入

●「稲荷の富」    桂 吉朝(小佐田定雄 作)

詳しくは会員番号さんのレポートをご覧下さい。
けど、なんか言いたいんでちょっと補足。

「稲荷の富」
演題に耳馴染みが…と思ぉたら、南光さんがべかこ時代に演ったはったんですな。
今回のはリメイク版。
前のを聴いた事が無い…のか忘れたのか忘れましたけど、とにかくほとんど新作同様
やそぉです。
この噺、以前〈まんが日本昔ばなし〉にありました。
もちろん設定は違いますけど、大筋は同じ。

ひとりの百姓が狐の為に善かれと思い、巣穴の前の草を刈ってしまいます。
その夜訪れた狐。
「うっとぉしぃ草を刈って下さってありがとぉございました。
 お礼に江戸で売り出す富くじを当ててしんぜましょぉ。
 何時何時に此れ此れの場所へ行きなさい。」
旅費捻出の為、家の戸板、障子から畳、夜具まで売り払い、勇んで指定の処へ。
が、そこにはそんな催しの気配すら無い。
呆然として帰って来た我が家は、今や床板と屋根と壁と柱だけ。
夜中、寒風吹き抜けるというより屋外同様の中でむしろに包まった百姓夫婦が震えて
いると、狐が現われて言います。
「巣穴前の草は風除けであったのに余計な事をしおって。
 お陰で風を引いてしもぉたわ。
 これで儂の難儀が身に染みて分かったであろぉ?ざまぁ見ろ。」

吉朝さんの噺では、主人公は大阪のぐうたら。
近所の参拝者も無い通称貧乏稲荷の境内の草刈りを思い付きます。
もちろん御利益目当て。
その最中に見付けた狐の巣穴周りの草も刈ってしまい、
「さっぱりしましたやろ?
 儂の借金とかなんやかやもさっぱりさしてもらえまへんか?」
その夜狐がやって来て
「お礼に富を当ててあげましょぉ。」
富札を買う為に家財を売り払ぉてしまいますが、はずれ。
で、狐がやって来て
「どぉです、さっぱりしたでしょ?」
表現は柔らかいけど意味は一緒ですな。
まさか小佐田先生ともあろぉお方が、番組からパクったなんて事は無いと思います。
思うんですよ、無理からでもね。
地方の民話とか言い伝えをベースにした落語も結構有るよぉですな。
例えば上方で「蛇含草」、江戸で「そばせい」も根っこは地方の話みたいですしね。
因にこれも〈昔ばなし〉でやってました。
なんでも観とかにゃならんもんです。

サキタハヂメさんはハヂメニキヨシというコンビの片割れやそぉです。
観た事無いんですけどね。
この音はスリラーはもちろん、昔のSF映画でもよぉ使われてましたな。
円盤から異星人が現われたりする時なんかにね。
妙に懐かしい音です。

「アルカトラズ病院」以外はもぉひとつの小春団治さんの新作「禁断の宴」。
作者を別にした今回の噺はおもしろかったですな。
自作の場合にちょくちょく顔を見せてテンポを遅らせる下手な理屈付けが無かった。
さすが専門家。
演者さんの悪い処を押さえ込んでええとこを引き出してました。
自作一辺倒ではどぉしても限界が有ります。
やっぱり自分を他人の目では見られませんもんね。
新作百本とか言うたはるあの人も考えにゃいかんね。
おもしろぉない原因はそれだけや無いけど。

九雀さんは形から師匠に迫ろぉというんでしょぉか?
青々とした素頭が気持ちよさそぉでしたな。

2001年11月26日16時21分16秒秒投稿

S.S☆「子離れ」☆     あや太郎

「娘も年頃になったか…」
 父親は感慨深かった。
「もう構い過ぎはイケないな」
 さっきもそれで喧嘩をしたばかりだった。
 どうも彼氏が出来たらしい。デートで帰りが遅くなったのを咎めたところで反撃が
来た。
「いつまでも干渉しないで頂戴。私はお父さんの持ち物じゃないんだから」
 思えば、もう二十歳すぎだ。彼氏がいるのも当たり前なら、大人の付き合いを始め
るのも当たり前だ。過保護にしているつもりはなかったのだが、末っ子で一人娘とも
なると、やはり心配の度合いが違ってくる。
「しかし、もう解放してやらないとな」
 父親は一大決意で、一人娘の自由な青春を認知する事にした。
 そんな決意の助けに一杯やって家に帰ったらもう十時を過ぎていた。
 他の家族は、旅行に出ていて今夜はいない。思えば娘だけを残してプイと家を飛び
だしたのだった。肝心のところで不用心になっている自分に苦笑した。ドアに手を掛
けると鍵はかかっていなかった。
「こりゃ本当に不用心だ」
 こればかりは娘を叱ってやらねばと思った時、今夜彼氏が初めて家にやってくる予
定を思い出した。そもそも、それがきっかけでデートの時間や何やら、もめ出したの
だ。娘を取られそうな父親の嫉妬心が今日の喧嘩の発端だったのかと思うと又苦笑し
た。
「そうか…彼が来てるのか」
 ならば二人して自分の帰りを待っているはずだ。父親は廊下を歩いて茶の間を覗い
た。ここには誰もいない。すると二階の娘の部屋だろうか?その時、天井越しに物音
が聞こえた。やはり二人とも上にいるようだ。こちらの帰宅に気づいて下りてくるだ
ろうと待ってみたが、その様子もない。今夜は対面を見合わせて一回パス…という事
かもしれない。
「まぁ、会いたくなければそれでも良いんだが」
 一服やりながら、ホッとしたような、物足りないような気分でいた。
 しかしいつまでこうもしていられない。抵抗があるとはいうものの、お客様に違い
ないし、第一今さっき娘を解放してやろうと決めたばかりではないか。
「ひとつ、ご挨拶しとくか」
 自分から顔だしする事に決めた。
 彼氏にプレッシャーを掛けないように…娘にも嫌われないように…怖い顔を無理や
り綻ばせて、いつにない静かな足取りで、階段を登った。
−−−フフッ、フフッ−−−
 という吐息のような声がドア越しに聞こえる。どうやら会話が弾んで親父の帰りに
も気がつかなかったのだろう。驚かさないように…という気持ちと、いっそ驚かして
やろうという意地が一緒になって、ドアを開けるのと声を掛けるのが同時になった。
「どうも、いらっしゃ…」
 中の光景を見て、こっちが驚いた。−−何と二人はベッドの上で重なり合っていた
のだ。
「お父さん…!」
 顔を上げた娘の顔が真っ青になっていた。
「あっ、失礼…」
 男の顔を確認する間もなくドアを閉しめていた。
 ドキドキする胸を押さえながら気持ちを落ちつかせる。
「昨日までなら、有無を言わせず男を叩き出していたところだ」
 気を利かせて階段を下りようとすると、娘の部屋の中がバタバタ騒がしい。間もな
くドスンと何かが屋根に落ちたあと、またドサッと地面に落ちたような音がした。
 只事ではないと、またドアを開けてみると−−
「お父さん−−突然、男が窓から…」
 何と、父親が遠慮したのは暴漢だったのだ。
「あぁ、怖かった。なぜすぐ助けてくれなかったの!」
 怒る娘に父親は精一杯落ちついた口調でこう言った。
「娘よ−−早く親離れしなさい」
                  (完)

2001年11月25日22時04分37秒投稿

下駄屋の喜六

昨日の朝日新聞に、来年W杯が行われる韓国での「犬肉騒動」の記事が載っておりま
した。韓国では歴史的に犬肉の食習慣があり、それに対して欧米の動物愛護団体や愛
犬家から「残虐なのでやめるべきだ」という抗議が相次いでいるとか。

犬を食ってなぜいけないのか?それを残虐行為というのなら、牛や豚を食う事は残虐
行為ではないのか?ガチョウに異常な過食をさせて人工的に肝硬変にして、その肝臓
をフォアグラとして珍重することは残酷なことではないのか?

互いに異文化を認めて尊重し合う、どうも欧米の動物愛護団体や反捕鯨団体には、そ
んな寛容性と思想の柔軟性に欠けるように思われます。牛を食べないヒンドゥ−教徒
も豚を食べないイスラム教徒も、自らの戒律を異教徒に押し付けたりはしません。牛
も豚もフォアグラも鯨も羊も馬も鹿も猪も猿も、その国の食文化の材料として定着し
ているものであれば、そんな習慣は絶対に認め合うべきものであります。

いうまでもなく、人間にある種の動物を絶滅する権利なんてないし、そんなことはす
べきではありません。なぜなら、それらの連鎖が環境の悪化となって必ず人間にはね
返ってくるのだから。

鯨についていえば、たしかにシロナガスクジラやセミクジラは絶滅の危機に瀕したこ
ともあったけど、今は完璧に保護されているし、マッコウクジラやミンククジラ、ニ
タリクジラなどは海の生態系を乱すほどに繁殖しているそうです。それでもグリ−ン
ピ−スや愛護団体は商業捕鯨どころか、調査捕鯨さえ認めようとしない。鯨は観賞す
るものであって、食するなんてとんでもないことらしい。彼らにとってはアジアの人
間よりも犬や鯨の命のほうが大事なのでしょうか。そう考えればなるほどと思えるベ
トナム、アフガンでの民間人への手ひどい殺傷行為(これはわが国も偉そうなことは
いえませんが)。日本へも、ごっついやつを二発落としよりましたな。

譲れる範囲ならば、価値観、好みの押し付けや強要はやめましょうぞ。そうすれば世
界はもっと平和になると思うんやけど・・・

最後に韓国人たちの集約的なお言葉をば。「犬を食うな?大きなお世話だ!」

2001年11月25日21時59分23秒投稿

 今日は会員番号245番です。
 第3回 ごかいらく落語会に行って来ました。
 
 桂 九雀・・・・・「開口一番」(小佐田 定雄 作)
 サキタハヂメ・・・「のこぎり演奏」
 桂 小春団治・・・「禁断の宴」(くまざわ あかね 作)
   中入り
 桂 吉朝・・・・・「稲荷の富み」(小佐田 定雄 作)

 すべて新作というもので、「開口一番」は新作で、なかなか落語界のことを皮肉っ
ていました、これはラヂオやテレビでは、やられへんけれど、これはおもしろい。九
雀さんは丸坊主にしてはりました。
 のこぎり演奏は、たたくのではなくて、ヴイオリンの弓でひきはりました、哀愁
のある音でした。
 「禁断の宴」は、カツラをかぶっている人が、定年の時にカミングアウトするつも
りが皆知っていて、告白する前に、ほかの人に、先に、カツラや整形やメキシコ人や
と告白されて、最後はホモの部長まででてきて、浪速のモー○ツ○トがモデルではな
いかと、思いました。
 「稲荷の富」は、高津の富が当らなかった人の御噺でした、さげが、いまいちでし
た。吉朝さんは、ひさしぶりに聞きましたが、はまりそうになりますね。
 やっぱり落語は、なまで聞きにいかなあきませんね。

2001年11月24日23時41分48秒投稿

S.S☆「人口問題」☆     あや太郎

 国連会議場において人口問題が真剣に討議されていた。
「このように、世界の人口は21世紀初頭に七十億人を越え、世紀の中頃には何と百
億に達すると予想されています。その時、食料はどうなるのでしょうか?この危機的
な状況について各国代表のご意見をお聞かせ願いたい−−」
「何が何でも食料の増産だ。有効な土地利用で農業を拡充する他は無い」
「そのまえに人口抑制です。少なくとも現状維持を目指さねば…」
「いや、人口は増えるのが自然である。やはり食料増産の為の技術革新を図るべきで
あーる」
「人口も増える、消費も増えるでは地球環境が耐えきれない。何としても規制と枠組
みで対処せねば…」
「いや、食料増産だ」
「いや、人口抑制だ」
 論議が白熱した時、先程から小首を傾げていた某国のオブザーバーがポツリと言っ
た。「おかしいなぁ−−そんなに心配する必要があるのかなぁ?」
「何を呑気なこと言ってるんだ。こんな深刻な状況を目の前にして」
「いや…だけどね−−人間は食料の分だけしか生きられない訳でしょ。じゃあ、食料
が足らなくなれば…人口は自然に減るんじゃないの?」
 一瞬静まり返ったあと、会場全体がこの発言者に対して激しく罵った。
「この…正直者めが!」
                  (完)

2001年11月22日21時20分47秒投稿

今日は、亀虫ぷっぷです。

11月17日 厚生年金会館芸術ホール「立川談志独演会 極め付き大阪寄席 第四弾」

出し物

●天災

 中 入

●富久

前座無し。
昨年は若いお弟子さんが務めたんですけど、これがひどかった。
あたかも客を無視するかのよぉに古典をぶつぶつ。
広いホールがシンとして実に辛い状態。
後の談志師匠が高座できっちりぼやいたはりました。
師匠の出まで時間が空いた処を見たら、小言のひとつも言うてはったんでしょぉな。
今年は家元ひとりの文字通り独演会。
客もいきなりの主役登場で喜ぶのなんの、会場の空気が一気に盛り上がりました。

楽屋に可朝さんとノックさんが来てはったよぉです。
よっぽど隠遁生活を強いられてるノックさんの現状が気に入らんみたいで、昨年に引
き続きその魅力、存在価値等をひとしきり。
「本人は未だに自分が何をやったか分かってねぇかも…。」
満更冗談とも思えませんな。
当然のごとくテロ事件も登場。
崩壊したニューヨークWTCの跡に何を建てるか。
〈嘆きの壁〉は秀逸。
志ん朝師匠の事。
「志ん朝の客は俺が嫌いだし、俺のファンは志ん朝の芸を認めない。」
確かにそぉいう傾向は有りますな。
けど、双方を無理無く受け入れられる人間も存在します。
談志師匠が
「今、金を払ってもいいのは志ん朝くらいだね。」
と評した事が有るという話に思わず歓喜。
お気に入りの北朝鮮の話も加わって、いつもながら危険度盛り沢山でした。
私の好きな小咄に左程笑いが無かったのにはちょっと不満。

出だしの
「去り状五、六本書いてもらいてぇ。」
で「天災」やと分かったんですけど、その後の
「ざこばのとは違う処を…。」
に反応したのは私含めてほん僅かでした。
皆、知らんのかえ?
談志師匠の描く主人公は、単にやたけたなだけの人物や無い。
心学の先生の尤もらしい御説に対して、自分独自の基準に照らした理屈をこねます。
ともすれば、乾いた口調で学者を遣り込めたりして。
(上岡さん、どないしてはんねやろ)
あくまで、極端に種類は異なるけども対等な人間同士の会話という扱いですな。
確かにざこばさんのとは違う味付けでした。

志ん生と文楽では構成・演じ方がまるで違う「富久」。
談志師匠はほとんど志ん生流、部分的に文楽流でした。
当日受け取ったら奉納金とか手数料とか色々引かれて七百両になる(文楽師匠は八百
両)なんて説明が折り込まれてる処がそれ。
しくじりを取り返そぉと奔走する幇間の久蔵。
それに報ぅてやる旦那はええ人ですな。
寒風吹きすさぶ真夜中、その旦那の元へ駆け付ける途中犬に吠えつかれます。
「うるせぇな!泣きてぇのはこっちだ。」
切羽詰まった芸人がもがく哀れさが端的に表現された台詞ですな。
この噺の核であり全体を貫くバックボーンです。
千両の当たり札を自宅の火事で焼失したと思い込んだ久蔵。
無理を承知で彼に富札を売った世話役に金の引き渡しを懇願します。
が、当然拒否されますな。
「七百両でなくても…五百両…三百両…二百両…百両…五十両…三十両…十両…。
 いらねぇやぃ!ちくしょぉ。」
尻を捲った啖呵も虚し。
我が身の不運と不甲斐無さ、情け無さに拳を噛み締め涙します。
後で言いはった
「少々やり過ぎかな?」
の言葉はこの辺りの表現についてやと思うんですけどね。
ひょっとして地域限定のサービスやったのかも…。
私としては良かったと思いますが。
最後は富札が無事でハッピーエンド。
ドジで運もだらしも無いけど気の良さそぉな主人公に、なんとかひとつ光明を…。
そんな心情になってる客は、久蔵共々救われますな。
末路哀れじゃ聴いてらんねぇじゃねぇか、情けなくってよぉ…うっうっうっ。

昨年の「らくだ」は正直言うてもぉひとつでした。
途中から妙にテンションだけが高ぉなって、噺自体が崩れてしもぉたよぉな具合。
師匠も会の最後でもぉひとつの様子でした。
体調が…と思ぉたりしましたな。
今年も元気一杯とは言い難い感じ。
太ぉても細ぉてもええから長く顔観せていただきたい…そんなとこでまた来年。
そぉそぉ、締めくくりに言いはりました。
「ノックさんは必ず出てくるよ。そん時ぁよろしく。」
ちょっと付け加えときましょ。

2001年11月21日16時54分38秒投稿

S.S☆「昔の名前で…」☆     あや太郎

「リナ婆さん」
「何です、サヤカ婆さん」
「近頃は、女の子にヘンな名前を付けるのが流行ってるねぇ」
「そう言や、キクとかイトとかシンとか…妙な名前が多いですねぇ」
「ミツとかタネとか…クマやトラって名前まであるらしいよ」
「ヤだねぇ、まるで動物みたいだわ」
「子供の頃はまだ珍しがられてイイかも知れないけど、年を取ったらドウなるんで
しょうねぇ」
「おきくさんとか、おいとさんとか、おしんとかおとらとか?…ヤだぁ、ヘンなの」
「私らの世代は良かったねぇ。リカとかジュリアとかマリナとか…」
「ユウとかマイとか、洒落てたから年寄りになってもスッキリしてる」
「心配だねぇ、こんな名前付けられた子供たちがお婆さんになった時、周囲の人に笑
われないかねぇ…?」
 21世紀も半ばを過ぎた頃の繰り言でした。
                  (完)

2001年11月20日21時46分26秒投稿

 今日は会員番号245番です。
 ああ今年もあとわずかです、別にやりのこしたもなく、平々凡々とした私に比べて、
近所のおばはんたちはとってもお元気です。           
 買い物に遅くいけば何してたんと聞くおばはんあんたも同じ時間にきてるやんと言
い返す元気もなく、ハハハといってる私。
 リストラされて、収入がなくなった息子一家が帰って来て同居となって、大喜びし
てはりきっているおばさん、あんたの年金では、太刀打ちできへん後でえらいことに
なるでといってやりたいけれど、よういわん私。
 何年ぶりかで植木屋さんをたのんで、仕事してる植木屋さんの後を、ついて回って
仕事の内容を?チェックしてる奥さん、ついてまわったて仕事は同じ、素人にはわか
らへんでといってやりたい私。
 お料理はなんでも出来ます、お掃除はすごくうまいのよ、なんでも家事はできます。
なんて言ってるおばはん、あんた九時迄ねてて、旦那さん缶入りお茶飲みながら会社
いってるやんなんてよう言わん私。
 近所の不法駐車が嫌で、神戸市が側溝にかぶせた、グレーチィングはずしたけれど、
いつも止める車じゃなくて、来たお客さんが溝に、車おとして家の階段まで壊された、
奥様、物凄い力持ちやねー、といってやりたい私。
 ノックちゃんのもあいたいけれど、たにがきすみえさんにもあいたいですね。

2001年11月20日21時30分26秒投稿

下駄屋の喜六

「モザイク国家」とよばれた多民族国家であった旧ユ−ゴスラビアと同様、アフガニ
スタンでも民族間の内戦の様相を呈してきました。北部同盟を構成する各派は、単に
反タリバンだけの野合同盟であって決して一枚岩とはいえず、いずれウズベク人、タ
ジク人、ハザラ人の間でのヘゲモニ−争いが激烈なものになることは火を見るよりも
明らかなことであります。

さて、アフガンにはもう一つの多数派民族があります。タリバン政権を担っていた
「パシュトゥン人」。これは言いにくいねえ、キ−ボ−ドでも打ちにくい。できうる
ことなれば、前大阪府知事に言わせてみたい。「大パシュトゥン人、中パシュトゥン
人、小パシュトゥン人」。デュカキスやリオデジャネイロがどうしても言えなかった
前大阪府知事なら何と仰るのでしょうか。

嗚呼、ノックさん。

2001年11月19日23時56分14秒投稿

星に願いを…

♪街の灯りが〜とても少ない田舎は〜♪

に住んでいる私の部屋の窓からは「獅子座流星群」が良く見えました。
ニュースで聞いた通りの午前2時〜3時の間。
寒がりの私が窓を開け放って覗いていたのは、ほんの数分間でしたが、いくつもの星
が流れていきました。
そして、あんな事とか、こんな事とか、そんな事とか、えっ?っていう事とか、いや
ああああって事とか、ふふふって事とか…おっ!って事なんかをお願いしました。
えっ?内容ですか?
ひ・み・つ!

でも、願い事まで重量オーバーだったような…気がします。
「楽して痩せたい!」だけにしとけば良かったかな?願い事…。


たかさごの穴子

2001年11月19日21時49分11秒投稿

S.S☆「屋台村」☆     あや太郎

 屋台村が近所に出来たので友人と行ってみた。小さな公園をグルリと取り巻く形で
数十軒の食べ物屋台が並んでいた。
「ここだと会社の帰りにちょっと寄って一杯やるのに便利だね」
「それにこれだけ店が並んでいれば自分の好みに合わせた店を選べるからな。早速ど
こか入ってみようか」
 我々は共に好物のおでんを求めて一軒の店を覗いた。
「いらっしゃい−−−ご注文は?」
「先ず玉子を貰おうか。これに味が染みてるかどうかでおでんの善し悪しが分かる」
 そんな事を囁きながら二人で味見すると−−これが不味かった。
「それじゃ…ガンモドキと厚アゲを−−」
 揚げ物に期待したがこれも駄目だった。
「じゃあ、お勘定おいとくよ」
 次の店に期待する事にして、我々はその店を出た。
「どうも焼き鳥やラーメンがが多いみたいだな」
 屋台村を周回しながら二人でボヤく。おでん好きとしては大いに物足りないところ
だ。 かなり探して、ようやくまたおでん屋を見つけた。早速入ってみると−−
「いらっしゃい−−−ご注文は?」
 さっきと同じ店だった。どうやら一周してしまったらしい。すぐに出る訳にも行か
ないので、大根とジャガイモを注文した。野菜物は美味しいかも知れない−−
「ハイ、どうぞ」
 今度こそは、と期待したが甘かった。
「どうもここの味付けは合わないなぁ」
 小声で確認しあって、我々はまたそそくさと店を出た。
「確か途中にもう一軒あったはずだよ」
 目を凝らして別のおでん屋を探す、暗がりに同じような暖簾が掛かっていて紛らわ
しい。
「ここにしよう」
 間違いなくおでんの匂いなので飛び込んだ。
「いらっしゃい」
 何とした事か、またあの店だった。
「お客さん、何度もお越しだねぇ。すっかり顔を覚えちまいましたよ」
 愛想よく亭主が会釈する。
「今度のご注文は?」
 下手をすると、気に入っているように取られかねない。
「えーっと…サツマアゲにチクワ…」
 それでも何か注文しないと気まずい。
「今度こそは、ひょっとして−−」
 という期待も込めて注文の品を頬張ったが−−−やはり駄目だった。
 口に合わないというより確かに不味い。もうこの店には二度と来るまい−−我々の
見合わせた目がそう決意していた。しかし−−
「お客さん、次は何にします?」
 ぐずぐずしている間に、追い撃ちが来た。
「お客さん、ご注文は?」
 返事に詰まった我々は、ついうっかり注文してしまった。
「今度顔を見かけたら…追い返してくれ」
                  (完)

2001年11月19日21時23分25秒投稿

S.S☆「子役」☆     あや太郎

 子供を主役にした感動文芸作品が映画化されることになった。
「…という訳で、先ず子役の選定が問題なんだ、なにせ苦労をして飲まず食わずの生
活の果てに死んでしまうという話だから、普通の子役ではちょっとイメージが合わない」
「しかし、そんな風にどんどん窶(やつ)れて行くなんて演技が出来る子供がいます
かねぇ。大人ならダイエットして十キロ二十キロ痩せるぐらいは出来るでしょうが」
「子供でそれをやると児童福祉法に引っ掛かるから、それは無理だな」
「もともとデブの子役を使って健康的にダイエットさせるという手はどうです?」
「それじゃ最初っから主人公のイメージに合わんよ。そこで私に妙案がある。特に病
気は無いが、思いっ切り痩せてて思いっ切り貧相な子役を探してくれないかね」
「そんな子をどうしようって言うんですか?さては前半と後半で子役を替えるんです
か」「いや、そうじゃない。一人の子役で通すつもりだ。但し撮影の手順を少々変え
てね」
 かくして一年間の時間を費やした文芸大作は完成し、公開と同時に大好評を博した。
「いやぁ、監督。実に見事な作品に仕上がりましたね。ラストシーンで、やつれ果て
た主人公の男の子が息を引き取るシーンなんか落涙を禁じえませんでした。我々評論
家仲間でも近年の傑作だと褒めそやしてますよ」
「有り難うございます。スタッフ一同の努力が実って私も嬉しいですよ」
「何より感心したのはあの子役の名演技ですよ。ラストの死ぬシーンでは、ただ痩せ
こけてるだけじゃなくて、まるで身体が一回り小さくなったように見えたんで驚きま
したよ」「いや、そうですか…。なにせ迫真の演技でしたからねぇ…ハハハハ」
 撮影の秘密を打ち明けようとして、監督は思い止まった。
「撮影の順序を変えた事を明かすと夢を壊しちまいそうだな」
 最初に撮った〔ラストシーン〕で小さく見えたはずである。
育ち盛りの時期に栄養を付けさせたせいもあって、冒頭のシーンでは二十センチも
背丈が伸びてしまったのだ。
「しかし、その冒頭のシーンで、共演者に高下駄を履かせたところまでは気づかれて
ないだろう」
 苦笑しながらも監督は名作の栄誉に浸っていた。
                  (完)

2001年11月18日21時34分03秒投稿

S.S☆「薬の飲み方」☆     あや太郎

 大都会の片隅に「ハーレム」と呼ばれる一角があった。
 路上生活者の溜まり場だ。冬ともなると木枯らしに吹き寄せられるように、そんな
仲間が集まって来る。ましてや今年のような不景気の時にはその数もいやましだ。
 ここには教会や慈善団体が配ってくれる温かい食事があるのだ。そして治療費を払
えない病人のための診療所もあった。
「また肝機能の数字が良くないねぇ。悪い酒でも飲んでるのかい?」
「良い酒なんか飲める訳ないっしょ。この不景気だもん」
「ほるほど。それでも飲まないではいられないか…。ほら、ここに貰い物のウィス
キーがある。これをチビチビやってご覧。できるだけ少しずつな」
「へへへ、先生は話が分かるから好きだぜ。ありがとよ」
 赤ら顔のホームレスは上機嫌で帰っていった。看護婦が恐る恐る訊く。
「ドクター。ウィスキーなんか飲ませたりして良いんですか。もう肝硬変一歩手前な
んですよ」
「この寒空だぜ。肝硬変になる前に肝臓も身体もコチコチに凍りついてしまうよ。
さぁ、次の患者さん、どうぞ」
「先生−−最近よく吐くんですよ。胃の具合が悪くてねぇ。胃ガンじゃないかねぇ」
「どれどれ、ふむ−−特にシコリのような物は無いね」
「そうかなぁ。一度検査入院したほうが良いんじゃないかなぁ。何だかそのほうが良
いような気がするんだけどなぁ…」
「大丈夫だよ。さっさと仕事を探して汗流して働いたら、元気になるよ。バイバイ」
 また看護婦が心配げに言った。
「ドクター。ほんとに大丈夫なんですか。検査してみたほうが…?」
「あれはウソの腹痛さ。この診療所なら無料で泊まれるから検査してくれって訳さ。
大体よく吐くってのがウソっぱちだな」
「なぜ分かるんです?」
「吐くほど食べてないからさ。じゃ、最後の患者だ」
「あのぅ、なかなか頭痛が良くならないんだわ」
「どれどれ−−−血圧が上がってるじゃないか。ちゃんと薬は飲んでるんだろうね」
「それが良く忘れるんだわ。一日何回飲むんだっけね」
「しっかりしてくれよ、お婆さん。一日三回って口を酸っぱくして言ってるだろう。
必ず食後に飲んどくれ。そうすりゃ間違いないんだから」
 しかしこの時とばかり、看護婦が横から口を挟んだ。
「あら、先生−−−それは無理な相談ですわよ」
「おや、なぜだね?」
「だって、みんな一日に何度食べられるか分からないのよ」
                  (完)

2001年11月17日22時00分24秒投稿

今日は、亀虫ぷっぷです。

大阪府警堺北署巡査部長(32歳)公然わいせつで逮捕。
13日午後2時頃南海高野線電車内で、中学2年の可憐な美少女(未確認)と23歳の清楚
な美人主婦(未確認)に陰部を露出して見せる。
当日非番、同僚と飲酒。
「女性のびっくりする顔が見たかった。」
などと供述。

警官「おじょ〜ぉちゃん、バア!」
少女「…。」
警官「び、び、びっくりしたやろ?な?な?な?」
少女「また、こんなんやがな。
   美しき偶然の出会い求めて毎日欠かさず乗ってるのに声掛けて来るのんいうた
   らこんな奴ばっかりや。
   呪われてんのかいな。
   ええ加減むかつくっちゅうねん。」
警官「なにブツブツ言うてるの?
   おっちゃんのな、こんなん…あ、あのな、いきなり鞄ごそごそと…。
   ちょっとこれ見て…何や、それ…。」

〈チキチキチキ〉

警官「カカカカカッターナイフやないか。
   どどどどどないしょっちゅうねん。」
少女「どないするやとぉ?
   こら、おっさん。
   純真無垢な乙女にそんな事しといてただ済むと思ぉとんのか、おお?
   これがトラウマになって男嫌いになって結婚も出来んと女一人三千院とか大覚
   寺うろついてるてな生涯送らんならんよぉになったらどないしてくれるねん。
   そりゃあんまり御無体な、ちゅうやっちゃ。
   おのれに他人の人生どぉこぉする権利でもあるのか、こら。
   涙ぐむな、ええ歳さらして。
   分かったんかい?分かったら分かったて言わにゃ分からんやろぉが。
   ほれ、出さんかい。」
警官「え?出してますけど…。」
少女「いちびっとったらちょん切って柳川鍋にしてまうど。
   違うがな。銭や、銭。慰謝料やっちゅうねん。
   精神的苦痛を与えたやろぉが、儂に。」
警官「女子中学生が儂て…。
   それで如何程…?」
少女「まぁそぉやな。本日の処はほんのお志で結構です。初回やし。」
警官「ほな、こんなもんで御勘弁を。」
少女「ちぇっ、湿気てけつかるのぉ。しゃぁないか、この御時世やさかいな。
   以後は気ぃ付けぇよ。」
警官「おおきに。この御恩は一生忘れまへん。ほな失礼さしてもらいます。

   あぁびっくりしたぁ。
   しかし堂に入った啖呵やったな。
   ただもんやないで、あれは。
   きっとその筋では名の通った中学生なんやろぉな。
   きょう日の小娘は怖いわ。
   やっぱり常識有る家庭人がええな。
   おっ、いかにも若奥さん風やがな。
   これにしたろ。
   おぉ〜くさん、ほれ!」
主婦「…んま。んまんまんま…んまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…んま。」
警官「んま売りか。」
主婦「んまぁ…そんな…あらぁ、いややわぁ…ほほほ…もぉたいへん…ほほほほほ…
   こんなん有りぃ?…主人は…主人が…主人の…きゃはきゃはきゃははは…。」
警官「そない笑われたらなんか居たたまれんがな。
   まぁ、こんなもんで良しとしとこ。」
主婦「ちょっとちょっと。変態屋さん。」
警官「妙な呼び様しなさんな。なんです?」
主婦「記念に一枚。」

〈パシャッ〉

警官「こらまた旧式なカメラで。」
主婦「手動で世話するアナログ感が堪らんのよ。
   趣味とはそぉいうもんよ。」
警官「なるほど、いっちょ前やね。
   ほんでこんな写真どぉするんです?」
主婦「年賀状に。」
警官「あ、阿呆な事言いなさんな。捕まりまっせ。」
主婦「マジック塗っとくし。」
警官「余計猥せつやがな。
   それよりお返しに撮ったげましょ、僕とおんなじ趣向で。」
主婦「ちょっとそこの女子中学生。カッター貸してくれる?」
警官「冗談冗談。ほな撮りますで。」
主婦「馴染みの無いカメラで大丈夫?」
警官「心配おまへんて。露出の事は任しなはれ。」

2001年11月17日15時17分27秒投稿

S.S☆「ヒーローは死なず」☆     あや太郎

「先生−−何か良い脚本はありませんか。テレビ時代劇に新風を吹き込むような斬新
な企画が」
「ふむ、新鮮味を出そうとすれば、新しいキャラクターを造りだすのが早道だろうな」
「ところが時代劇の場合は、新しいキャラクターを定着させるまでが大変なんです
よ。何かこれまでの馴染みの顔で新機軸を打ち出せませんかね?」
「これはなかなか難しい注文だねぇ」
「たとえば例の〔天下の素浪人〕の主人公を使って新企画とか…」
「あの主人公ねぇ…。よし、こんなのはどうだ−−−毎回、悪者を退治したあと必ず
主人公が死ぬっていうのは」
「主人公が死ぬ?…じゃあ毎回主役が変わる訳ですか」
「いや、それでは何も面白くない。同じ主人公が、毎回毎回ラストで死ぬというパ
ターンだ」
「えっ!それじゃ一回で終わっちまうじゃないですか」
「そこは脚本家の腕の見せ所だ。まぁ任せておきたまえ。早速スタッフを集めて製作
開始だ−−」
 かくして新番組「生きていた素浪人」の第一話、第二話が放映された直後−−−
「先生−−いやぁ驚きましたよ。第一話で主人公が悪者を退治したあと命を落として
葬式まで済ませたのに第二話の予告編をやるもんだから、二回目の視聴率が倍に跳ね
上がりました」
「計算通りだろう。その第二話のストーリーが、主人公の死ぬ前に逆上るという趣向
で、先ず意表を衝く。そして又そこでも主人公が崖から転落して死んだかのように見
せる…」「それで第一話の冒頭に〔生きていたのか、素浪人〕、〔俺は不死身だ〕と
いうやり取りがあった訳ですね。しかし第二話まではそれで良いけど、問題は第三話
からですよ。全五十回のシリーズなのに、どうやって続けるんです?」
「ちゃんと見てないのかね。第二話の冒頭でも〔生きていたのか、素浪人!〕という
台詞があったろう。また話はその以前に逆上って行くんだよ。あとはどんどん古い話
になっていって、〔生きていたのか?〕と〔死んだかな?〕をつなげて行けば幾らで
も引っ張れる」
「何だか無限地獄みたいでうなされそうだなぁ。それにパターンが決まってくると先
読みされて、緊迫感がなくなりますよ。又どうせ死んでないんだろうってね」
「そうなるまえに手を打つつもりだ。例えばまた本当に死んでリアルな葬式をやっ
て、今度こそは…と思わせといて、翌週は生前の思い出話…」
「待って下さいよ。本当に死ぬ手はもう使いましたよ。いくら作り話だからって、二
度死んだりしたらヒンシュク物だ」
「心配ないって。その頃にゃ視聴者も第一話で死んだ事なんか忘れてるよ」
「そうでしょうか」
「決まってるさ。テレビを観てる連中なんて、生身の芸能人がもう死んだのか、まだ
生きてるのかさえ、ろくに覚えてないんだぜ。ドラマの主人公が生きてるのか死んで
るのかなんて気づく訳ないさ」
                  (完)

2001年11月16日21時59分11秒投稿

【end of file】